HOME四国遍路記 > 高知(修行の道場) > 3 修行の道
   尺八を携え歩いた四国遍路   百合の群生     H15/3/14
                 
卍24最御崎寺
    

 24番最御崎寺は、法輪寺でジサマに尺八を勧められてから、一番最初に尺八を吹き始めた場所です。

 いんやあぁ〜・・・悩みましたなぁ〜・・・
 夜も寝んと、やろうか、やるまいかと・・

 やる決心をして寺へ行っても、グスグズしとりましてなぁ・・なんせ気の弱い性格なもんでして・・

 はよ参拝客が、どっかへ行っちまわんかなぁ・・国道55号線 室戸へ
 できれば人が少ない時を選んでやりたいなぁ・・

 吹き始めた、とたんに寺の人が飛んで来て「何やっとんじゃあ!!・・ 他でやれ!!・・じゃあぁぁかぁしい!!」と怒鳴られちまったら、弱るなぁ・・何と言い訳しようかなぁ・・・

 あぁでもねぇ・・こおでもねぇ・・・ウダウダ・・・グズグズ・・・

 越後屋は自分の参拝をトットと済ませております。
 あんたは、いいよなぁ・・・恥かかんでええから・・・

 他人のフリするから勝手に恥かいとれ・・・イヤなら、止めっちまぇ・・・とその顔にデッカク書いてあります。

 こっちは、出来る事なら、やっぱり「やんぴ」しょうかなぁ・・と切実に考えとるのにぃ。
 あいつは励ますとか、支え合うとか・・そおいう事をしねぇヤツじゃ。夫婦岩

 いくら待っていても、参拝者の数はあんまり変わらず、弱ったなぁ・・。
 しょうがねぇ・・やっちゃおうか・・・

 ギュッと目をつむり、吹き始めました。
 うむむぅ・・出足の最初の一発目の音が・・まずい。

 足が小刻みに震え始めます・・アカン・・みっともねぇ・・・

 それに比例して音も震え・・・うっ・・音が・・出ん・・・(;_;)

 完全に暗符して何回も吹いてた曲なんじゃが、家で練習して吹いとる時とは全然ちがう。

 せめて、曲を間違えんように・・・あっ・・音を間違えた・・・
 頭に血が上った状態でした。

 そこらをウロついとる参拝者と絶対に目を合わせんように、下を向いてコソコソと、恥ずかしそうに次の大師堂へ行きましたが、これもさんざんな演奏でした。

夫婦岩自販機で休んだ時の子猫「椎名」海岸

 それでも、恥を忍んで各寺を巡って吹奏し続け・・・
 よぉ〜恥さらしとったなぁ・・・今思い出しても・・・

 あっ・・どこの寺でも、叱られまへんでした。
 何、おっ始めたんじゃ・・という顔は、された事が有りますが・・・室戸 海岸

 なんとか人が聞くと、それらしく聞こえて恥かない程度に落ち着いて来たのは、高知県が終わって愛媛県に入った頃からです。

 これはその時に「庵の坊さん」に出会って教えられた影響がかなりあり、同じ一巡中に出会った「老遍路」で、さらに磨きがかかったと思います。

 この二人は遍路で尺八を吹き続ける事に対する疑問を聞くと(尺八の技法的な事は教わる事はできませんが)、別の角度から聞きたい事の本質を見事にズバリと指摘し、その解答とこれからの修行の道標を教えてくれました。

 この二人以外にも、これぞと思う寺の住職や永年遍路しとる人達とも話し、その都度いろんな事を教わりました。室戸 高岡神社

 この科学に囲まれた時代でも、そおいう人達が今も遍路しとって、出会うんですなぁ。

 小汚いカッコウしとるかもしれまへんが、人は見かけによりまへんでぇ。

 時代劇のドラマ等に、剣術修行している人が山の中で仙人とか老人に奥義を教わり開眼するというストリーが有りますが、私のように教わる師を持たない者にとっては、まさしくそれと同じでした。

 歩き一巡でこの寺本堂で吹いた時、
「なんか、サミシそうな曲やなあ・・次、大師堂へ行きよるから聞いてみよ」と二人の若いアンチャンが側で話してるのが聞こえました。

 しかし、その時はちゃんとマジメに般若心経を唱えてから吹いてましたので、経を詠み終えるのが待ちくたびれて行っちまいました。

 残念やったなぁ・・もおチット待てばえかったのに・・・(^_^;)

 三巡目は夏の夕暮れ時で、参拝客も居なく納経所のジサマもヒマそうに座っており、参拝が終わった後、しばらく納経所近くの石の椅子に座って尺八を吹いてました。最御崎寺への遍路道

 静かで、木陰に囲まれて涼しく・・良いでんなぁ・・

 たまに参拝者が来て、何やってんじゃとジロジロ見て行きますが、立ち止まってまで聞く物好きな人もおらず気になりまへん。

 そのうち、団体客のオバチャン達が遠くからキヤッキヤッと笑いながら登って来るのが聞こえ、鐘をゴンゴンと次々に鳴らし始めます。

 タダなモンなら、せっかく来たんじゃから何でも経験せんとアカンと思ってか・・

 本堂前でローソクやら線香をザワザワ言いながら立て、チラッチラッ・・とこちらを見ております。

 先達がオバチャン達に呼びかけて本堂で参拝し始める頃、曲の途中でしたが区切りの良い所で止めました。

 オバチャン達の参拝が終わり、ゾロゾロ大師堂へ歩いて行く途中、先達が参拝風景をボケェッ〜と見物していた私に近寄って来て
「歩きですか?」と聞き、良い尺八を聞かせてもらったと、礼をわざわざ言いに来ました。最御崎寺 境内

 大師堂でオバチャン達が、再びザワザワと線香や蝋燭を立てている時、もう邪魔にならんから良いだろうと、曲を終えた所から吹き始めました。

 すると、先達が再び戻って来て
「これで何か冷たい物を・・・」と言いながら、テーブルに置いてあったリュックの下にソオッーッと千円札を入れます。

 曲の途中だったため、軽く頷いて礼をし吹き続けました。

 団体が終わって帰る時、先達がそのまま吹き続けとる私に立ち止まって合掌してから行くもんだから、他のオバチャン達も、次々とマネして合掌して行きます。

 あんらぁぁ・・そんな事されんでも、ええのに・・心が痛むなぁ・・・

         目次等へ
              home

   四国遍路記/高知

関 連 ペ ー ジ
 四国遍路記 第二章 四国遍路記 第三章 小豆島遍路記 篠栗遍路記 
 当 H P   そ の 他 の ペ ー ジ
 熊野古道  西国霊場 木造校舎・廃校シリーズ  塩の道  イザベラ・バードの道 
尺八曲 音源  洋山流尺八  虚無僧寺訪問    遍路・野宿・車泊用具