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   尺八を携え歩いた四国遍路    夏の花 H15/3/20up
         
卍25 津照寺

 24番最御崎寺のすぐ近くに、室戸岬灯台があり大きいレンズが見えまっせぇ。
室戸岬灯台
 寺のすぐ近くに灯台が有るのですが、灯台へ行く少し急な坂道を見て、諦める人もかなりおるようですなぁ。

 灯台は100数年の歴史があり、明治時代に建設された当時のままの姿・材質で今も変わらず光を放っており、レンズは太平洋戦争とか地震で壊れっまい、現在のレンズは3代目だそおです。

 この灯台は、戦時中に米軍機の襲撃を受けるので、灯台に網を被せて小枝や樹木でカモフラジュしたらしいですが・・アカンかったやろおなぁ・・ゴマかそうと思ってもバレっちまって・・・、室戸岬灯台

 終戦間際には他の灯台も攻撃目標となり、主に太平洋側と九州地方の灯台が、よお〜けぃ襲撃されたようです。

 地元民に当時の話を聞くと、反撃する事もできない灯台を目の敵のように執拗に銃撃して行ったそおです。

 寺の駐車場からスカイラインの長いU字カーブの道を降りると、室戸市が見えます。

 私が50才の頃に住んでいた所で、写真の漁港近く一隅に、ヒッソリと静かに3年間、目立たないように生きておりました。

 三巡目に25番津照寺へ行ったのは暑い夏でした。最御崎寺 スカイラインから室戸市を望む

 この寺は山門に入る前から長い階段が見えましてなぁ・・あの階段登るの?・・とまず思う所です。

 その階段を上がる途中に「一木神社」が有り、ほとんどの人は、この神社の由来も知らず見もせず、「ゲッ・・まだ階段が有るなぁ・・」と思うだけで通り過ぎます。

 実はこの神社には、そりはそりは、えらあ〜ぁい〜公務員の鏡みたい人が奉って有るんです。

 昔、この室津の港を開拓しようとしたんですが、岩等がゴロゴロしており難工事でした。室戸市へ

 そのうち大きい岩が出て来て、どおしても岩を砕く事が出来なく、責任者が「こりゃアカン・・」と思って尻尾を巻いて逃げ帰りました・・・早い話が職場放棄でんなぁ・・・・

 しかし、その逃げる途中にふと思い直し、もしあの岩を砕き工事が完成した時には、ワシの命を捧げようと神仏に誓ったらしいです。

 で、再び現場に戻り、問題の岩を砕く事が出来て、工事も完成し港も出来た・・・めでたし、めでたし・・!(^^)!

 まるで絵に描いた物語のような話でんなぁ。
 これで、この話が終わっちまったら・・皆怒るやろおなぁ・・・

 そおなんです・・かの責任者は、工事も完成した事だし、思い残す事はなく切腹しようとしました。

 皆の衆は 
「アンサン、何も死なんでもええやんけぇ・・そなんもん忘れたフリしときなはれ。
 そりよりも竣工祝賀記念パーティを開きましょうや・・津照寺
 バアッ〜と・・ハデに・・・!(^^)!」


 
「そおじゃ、そおじゃ・・、神様もきっと許してくんなされる。
 野郎ども宴会の準備じゃあぁぁ〜・・餅撒きもするでぇ〜(^_^)v」

 と言って引き留めます。

 かの責任者は、宴会に出席したかどおかは、わかりまへんが、立派に切腹して誓いを守り、今は完成した港を見下ろす位置に「一木神社」に奉られております・・エライでんなぁ。

 階段を上りきった頂上に本堂が有ります。

 堂内に入って参拝しましたが、小さい窓が下の所に数カ所有るだけで風が通らなく、しかも囲まれた建物なので蒸し暑く、汗がダラダラ出てきます。

 薄暗い本堂の中にまで入って参拝する人は、ほとんど居ないく、一台の扇風機がサミシソウに首を振って熱い風を送ってます。

 尺八の吹き口に直接風が当たると、音が出にくくなるので離れて座り・・・・
 時々窓から涼風が入り・・また無風で暑くなり・・胸や背中が汗でビッショリ・・。津照寺

 汗に関してですが、歩いてる時は和風手拭いを鉢巻きをして笠を被り、参拝する時は笠だけ取り手拭いの鉢巻きは、そのまましています。

 この鉢巻きをしていると、どんなに汗が出ても目に汗が入りませんし、普通の時や寒い時でも一応気が引き締まります。

 日本人でんなぁ・・・(^O^)
 この鉢巻きの効用は、漁船に乗ってる人から聞きました。

 参拝が終わり、長い階段をコツッ・コツッ・・・と杖を突き、手摺りに掴まりながら、ゆっくり下りました。

 なんせここで転んじまったら最後、階段の下まで落っこちるくらい急な階段で、落ちたら痛いやろうからなぁ。
津照寺
 階段途中の神社境内から話し声がするので、見るとネエチャンと上半身裸の太ったトッアンが並んで座って話してます。

 トッツアンと目が合ったので、軽く会釈をすると
「氷持ってるから、あげましょうか。」と、ビニール袋に氷片が一杯入ったのを見せてくれたので、「それじゃ少し頂きます」と言って貰いました。

 トッツアンと話してみると一巡の時「ひわだ峠」の東屋で話した遍路のKさんでした。

 あの時は少し会話をして、すぐに別れたので、お互い顔も忘れていましたが、しばし当時からの話しをしました。

 Kさんは、数ヶ月前から室戸の某所で野宿して室戸付近を托鉢して回っており、ネエチャンとは数日前に知り合って一緒に歩き、遍路についての話をしているとの事。

 ネエチャンがKさんに質問すると、ぶっきらぼうに答えますが、なかなか味の有る言い方をして本質を突いた事を言っております。

 ネエチャンが納経所へ行った時、安物のタバコを吸うと
「2・3本くれ」と言うので、少し手をつけただけだったのですが箱ごとあげました。

 普段は吸わないが人が吸ってると、やはり吸いたくなるらしく・・へい、その気持ちよぉ〜わかります。(^O^)津照寺横の神社 遍路Kさんと話す

戻って来たネエチャンに、Kさんが
「ほれ、タバコ貰ったぞ」

 「エェェッッ〜〜・・・せっかく私、タバコ止めようと思ってたのにぃぃ〜・・・」

 「だから、お前はダメなんじゃ。

 これを家へ持って帰ってなぁ・・朝昼晩、毎日飯を食う前に、このタバコを目の前に置いて、どういう気持ちで、この人はタバコをくれたのか、毎日手を合わせて、よぉ〜く考えてみろ。」


 「うん・・・わかったあぁ・・・」
と言い、止めるはずのタバコに手を出し吸い始めました・・素直でんなぁ・・・(^_^;)

 Kさんは歩いてる若い遍路を捕まえると
 「どおじゃ・・遍路しとって、家に居た時の有り難さがよぉ〜わかるじゃろおぅ・・・・家じゃあ、黙っていても飯が出てくるからのおぅ・・・」
と言うと、たいていの人は「うん」と言うので、すかさず


 「そんなら、お前は、ここからすぐに家へ帰れ。
 帰って家の人に「ありがとうございました」と言ってから、もう一度遍路に来い。

と言った事も有るそうです。

 もっともその若い遍路は、そのまま帰ったか、どおかは聞きませんでしたが、Kさんは若い人にそのような事を教えてくれる人です。

 このKさんは遍路している内では有名な人で、一度は名前を聞いた事がある人も多いと思います。

 Kさんについて、良く言う人と悪く言う人もおり、また「庵の坊さん」についても、良く言う人もいれば「離れた方が良い」という人もいます。

 悪く言う理由を聞くと、そおいう一面があるかもしれんまへん。津照寺 一木神社

 しかし、それでも歩いて遍路する人達に、タテマエ論やキレイ事でない、本音の何かを教えてくれ、考えさせてくれる数少ない人達だと思います。

 ネエチャンは、σ(*_*)の名前と住所を教えてくれと言いましたが、
「遍路しとった時に出会った人」として、たまに思い出す事が有ればそれで良いから」と名前を教えませんでした。


 そのやりとりを聞いていたKさんはσ(*_*)の心情がわかるので、ネエチャンに
「お前は、まだ信用されてねぇんだよ」とズバリ言います。 (^O^)ダハハハ・・・

 Kさんや「庵の坊さん」「老遍路」等のような人達は、相手の本心を見抜きますからなぁ・・・どんなにゴマカシて隠そうとしても・・・

 「庵の坊さん」に
「今度来た時に、どう変わっているか・・・。ワシは人の心の中を見抜けるぞ。」と言われた時は、正直・・オトロシイ・・と思いました。

 別れて大師堂を参拝して外に出ると、Kさんとネエチャンが納経所前のベンチに座って尺八を聞いてたようです。

 ヒョットしたら一木神社まで聞こえるかもしれんなぁ・・・・とは思ってたんですが、私の出て来るのを見つけるや、二人して駆け寄って尺八を誉めてくれます。

 Kさんは
「うん、これなら大丈夫」と言いながら、ポケットから1円玉とか10円・50円・100円等が入り交じった小銭を鷲掴みにして、そのまま確認もせず私の掌にジャラジャラと押しつけてます。

休息所 スズメ 托鉢しながら遍路しとる・・いわゆる職業遍路と言われる人から、お接待を貰ったのは始めてじゃた。(^_^;)

 そいでもって鷲掴みにした小銭を、いくら有るかも確認もせず、そのまま渡された事も初めてじゃったなぁ・・・いかにもKさんらしいが・・・(^O^)

 Kさんの野宿場所を聞いてたので、別の日に尋ねてみると、ゴザに寝転がって本を読んでおり、別れる時に見送らなくても良いと言ったのですが、律儀に見送ってくれ、私の後ろ姿が見えなくなるまで手に印を結び不動のまま見送ってくれました。

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