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  尺八を携え歩いた四国遍路   中山峠より行当・室戸岬を望む  H15/4/6 up
                   中山越え  


 一巡の夏、羽根付近から中山越えの遍路道へ入る古い町並みを歩いてると、家の中から「お遍路さあ〜ぁん」と呼ぶ声がします。
中山越え 遍路道
 はて、どこからじゃろ・・・人影も見えないし・・・と思って立ち止まりキョロキョロしてると、スダレの掛かった家の中から、もう一度呼ぶ声がします。

 恐る恐る近づくと、家の中でジサマがベッドに座って手招きし、家の中へ入れと言います。

 笠を脱いで家の中へ入ると
「あらぁ〜丁寧に笠まで脱いで下さって、そのままで良かったのに・・」と言って1円玉が50個包んで筒になっている包みをくれました。

 聞けば足が悪く、家の中から遍路が通るたびに声を掛けて接待してるとの事。

中山越え遍路道 そおいえば、家の中には遍路の納め札がゴッテリ貼ってあります。

 σ(*_*)らが杖を持ってないのを見とがめたジサマが
「杖をなくされたのですか?・・私のを差し上げましょう。」と言うので

 
「いや・・あの・その・・家が近くなので・・・、今日はお日柄も良く中山峠をチラッと歩いてみようかと思い・・・スンマヘン・・・」と、しどろもどろに汗かきながら言い訳し、お礼を言って退散しました。

 その頃は、大師様の分身と言われる杖なんか不要じゃ・・信心もねぇのに金がもったいない・・と思って杖を持たずに歩いてたのです。

 いくら信心が無くても、やっぱす笠かぶって遍路のフリして歩くと、地元や他の人は、そおいう目で見るんだし、それなりのカッコウしなきゃアカンなぁ・・と反省し、その後は杖を持ち始めました。

    中山峠より室戸岬を望む       中山越え 

 やっぱり歩く時は杖を持っとる方が良いですなぁ、山道を歩く時は、これが有るのと無いのとは、もんのすごくちがいます。中山越え遍路道

 またトンネル内は暗いので、杖の1/3ほど反射テープを巻き付けており、トンネル内を突っ走って来る車に自分の存在を知らせております・・ぶつかったら痛いもんね。

 寺で売ってる杖は、高い値段の割に弱く折れたりするので、ホームセンターで2mの木の丸棒を買い(クリックしてね)、ちと長いので少し切ったのを使用しております。

 寺で売ってるのより丈夫で長持ちし、ガンガン突いてもええでっせぇ・・

 もちろん「南無大師金剛遍照」の文字も入ってなけりゃ、「同行二人」の文字も入ってまへん。中山越え遍路道

 「同行二人」の意味を一般には、「お大師様と一緒」という意味に言われてますが、「庵の坊さん」は別解釈を教えてくれました。

 それは「もう一人の自分と一緒」という意味であり、遍路して歩いてると昔の事を思い出したり・・・いろんな事を思い浮かべまんなぁ。

 あの野郎、あの時あんな事しやがって・・今なら、こおしてやったのに・・とか・・

 あの人には、ほんまに世話になっちまったなぁ・・・あのまんまになっちゃって・・とか・・

 あいつにイジワルしちまって、あんな事しなけりゃ良かったなぁ・・とか・・中山越え遍路道

 とか・とか・・あんな事・・・・こんな事・・次々と・・・。

 言われてみると確かに、もう一人の自分に対して怒ったり反省したりしながら、心の中で対話しながらテクテク歩いてます。

 私は信心が足りんから「お大師様と一緒」より「もう一人の自分と一緒」の方が、しっくりした実感が有ります。

 杖は卒塔婆代わりだと言われてますが、昔の遍路の写真を見ると背丈ほどの長い杖を持っており、たぶん文字なんか書いて無かったんじゃねえかなぁ。

 「老遍路」に聞くと
「高い金を出して寺で売ってる杖なんか買わなくても良いんじゃ、そこらで拾った竹棒とか木の枝を杖にして良いんじゃ」と言います。

 以前、「老遍路」が山で杖に良さそうなのを拾って使っていたが、途中一緒に歩いてた遍路がその杖を欲しがり、ダメじゃと言ったのに参拝しとるあいだに盗んでどっかへ行っちまい、代わりにその遍路が使ってた小汚い杖が置いてあった・・と笑いながら話してくれた事があります。中山越え遍路道

 杖は本来もっと長いはずで、車遍路が多くなったため、杖が長いと車の中に持ち込めなく短くなったと聞いております。

 何事も歩いとる遍路よりも、金を落としてくれる大多数の車遍路・団体遍路の都合が優先され、この世もそれに連れて変化して行くようでんなぁ。(^O^)

 寺の杖立てに、よぉ〜杖が忘れてあり、歩いて遍路するのでないのなら、いらねぇと思うがなぁ・・どうせ忘れっちまうんだから。

 ちなみに私は参拝中の時、杖に笠を「トックリ結び」で結んであるので(クリックしてね)、今まで一度も忘れた事はありまへん。弘法大師霊跡

 話は変わりますが、この中山越えの別ルートである国道コースの羽根岬先端付近で、国道脇に海を望むように「魚藍観音堂」が有り、この観音様は、なかなか気品のある姿形をしてまっせぇ。ます。

 余り目立たない小さいお堂で、地元の人以外ほとんど知られてません。

 この堂の「魚藍観音」は、歩き遍路の人が少なからずお世話になった人も多いと思われる高知市の丸和石材店の社長が奉納したもので、奉納したその年は地元漁協の定置網が大豊漁だったそうです。

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