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  尺八を携え歩いた四国遍路  5 ひわだ峠越え   H15/10/29 UP
     
十夜ケ橋 〜 突 合 〜 ひわだ峠   
 以前、善根宿や通夜堂を当てにしたり、頼るな・・と若いアンチャンにエラソーに説教しましたが、実は「十夜ケ橋」の通夜堂にだけ2度お世話になり、その時は越後屋を駐車場の車内で野宿させました。十夜ケ橋

 「十夜ケ橋」に夜遅く着き、通夜堂に他の人が泊まってるので割り込める余地がありそうな事を確かめ、その人達に了解を得てから寺のピンポ〜ンを鳴らしてお願いしました・・・ホントは順序が逆やろうけどもね。

 一度目は4人居ましたが割り込ませてもらい、二度目の時は、若いアンチャンが一人でした。

 アンチャンは若いのに、えらい気を使ってくれる礼儀正しい人なので、話してみると坊さんで、どうりで今時珍しく頭を坊主刈りにしとるなぁと思ったんだ。

 坊さんは
「数日前に、ここまで歩いたが、その道中で心の中に悪心が芽生え、反省のため前寺の明石寺まで戻り、もう一度歩き直してここまで来た。」との事で、えらいマジメな人でんなぁ。
大瀬
 σ(*_*)なんか、悪心が芽生えるどころか、勢いよく成長し続けて刈り取る事も出来んのに・・・

 寺でどんな修行しとるのか、縁無き一般衆生には様子がわからんので尋ねると、けっこうありのまま答えてくれ、マジメな性格がよぉ〜出てます。

 なんかマジメ過ぎる気がするのは、ワシが適当にやっちまい、ゴマかしちまえという、立派な性格の持ち主だったからかもしれん。

 仏教の「声明」は邦楽の原点だと以前から聞いており、どおいうのが「声明」なのか知らなかったので、少し聞かせてくれと頼むと、チッコイ経本みたいのを取り出し、字の横に付いてる印の所をこんな風にやると説明してくれます。

 フムフム・・尺八の楽譜とチビット似てない事もないなぁと思いましたが、やっぱし、こおいうもんは口伝的なモノも有り、経本だけでは理解出来ないでしょうなぁ。

 「声明」を少し聞かせてもらうと、法事の時に最初に唱える祈りの歌というか、そんなようなモンで聞いた事があったので、あぁ〜・・あれなのか・・とわかりました。

 霊力か何かの話になった時、実際にそのような物は実存するだろおか?と尋ねると大瀬 付近

 「自分の尊敬する師は、木の枝を念でポキッと折らせる事ができると聞いた事があります。

 実体験としては、その師が座っていて軽くお辞儀をされただけで、対面に座っていた自分は、フワッと後ろへ飛ばされるような気を感じを受けた事がある。」
と言います。

 ううむぅ・・・それでもホンマに実際に、そおいう事が有るんやろかなぁ。

 朝出る時、σ(*_*)らが先に出発しましたが正座して見送ってくれて、やっぱりσ(*_*)らと違いますねぇ。大瀬付近 石仏

 ワシなら、立ったまんまで手を上げて「へい、お元気で。」と声を掛け、サヨナラしちまうんだが・・・・

 今頃どおしてるかなぁ・・・現代の葬式仏教に染まる事なく、衆生を導いて欲しいなぁ。

 この通夜堂に泊まらせてもらおうと思ったきっかけは、一巡の早朝「十夜ケ橋」に着き、参拝し終わると住職さんが話しかけて来て、自分も尺八やってるのだと言います。

 少し尺八の話しをした後、
「昨夜はどこで泊まったのか」と聞くので、
「近くの「五郎駅」で車野宿し、これから「ひわだ峠」へ向かって歩く予定だ。
 申し訳ないが夕方まで駐車場に車を置かせてもらえないか」
と頼むと、
「なぁ〜んだ、それなら通夜堂に泊まれば良かったのに」と言ってくれたのが縁です。

 二巡・三巡の時は若い住職さんでしたが、父君とよぉ〜似た顔しておられ、あんまり似ていたんで間違っちまった。大瀬付近

 この住職さんは、近辺でも尺八をしてるので有名な人らしく、臥竜苑とか出石寺の人も住職さんが尺八をやってるのを知っていました。

 内子の「道の駅」から急に車の通りが少なくなった川沿いの国道をテクテク・・・

 大瀬小学校では、巡るたびにグランドのベンチで休みました。

 一巡の時は、ちょうど秋の運動会をやってる最中で、時間は昼頃・・家族連れがシートに座って競技を観戦しながら弁当等を食べており、こっちも腹減ったなぁ・・と思い眺めてました。
大瀬小学校
 二巡の時も秋で、日曜のためか学校やグランドにはだれも居なく、一巡時のあの賑わいは、どこ行ったんじゃと思うくらい静かでした。

 と、そこへブラバンの楽器の音が遠くから聞こえてきますが、音の出し始めのためか、エライ下手くそで、小学生なら無理ねぇかなぁ。

 しばらくして、合図したのか急にメロディを合奏し始め・・・おぉぉ・・小学生にしては、なかなかやるじゃん。

 その内にメロディがジャズのようになり、かなり難しい技巧のリズムやソロをやり始めました。

 こ・・これは小学生ではねぇ・・・きっと名の有る人達の演奏だと思い、曲が終わった時に思わずパチパチと手を叩いて拍手しちまった。
 演奏しとる人達には聞こえなかったやろおけど・・・qtp
付近

 実はσ(*_*)、高校時代にブラバンでトロンボーンとドラムをやった事が有るので、演奏してた曲名はわかりまへんが、かなり練習しなければアカン、技巧的に難しい曲であるのはわかります。

 言っちゃあ悪いが・・・こんな山奥の田舎で、あんな素晴らしい演奏を聴くとは思わなかった。

 次の曲をやるかと楽しみに待っていたんだけど、休息時間になったのか、それで終わりでした。

 三巡の時は、昼休みで子供達がサッカーしてました。

 再び、テクテク・・・鬼の手橋

 途中の道は、所々道幅も狭くなり道幅を広くする改修工事をやっとります。

 たまたま、その付近の橋で工事する人達が休んでいたので挨拶した時、橋の名前が「鬼の手橋」だったので、その時の会話

  登場人物→
σ(*_*) 工事の人 別の工事の人

 「珍しい名前でんなぁ。ここらに鬼でもいたんでっか?」鬼の手形 岩
 「むかし、むかあ〜ぁしぃ・・・この後ろの山に大きい鬼が住んでおってのおぅ・・・その鬼が、この川へやって来たんじゃ・・・・」

 
「洗濯しに来たのでっか?(^O^)
 「違う・・水飲みに来たんじゃ。
 そん時、川縁の岩に両手を付き、顔を突き出して川の水を飲んだら、岩に鬼の手形がが付いたんじゃ。」


 「ほほおぉぉぉ・・・今も手形が残ってんでるで?」
 「残っとるとも、ほれ・・こっちへ来なせぇ。」
と工事現場の所へ連れて行ってくれました。

 
「ここから下の岩を見ると・・うん?・・・この岩で無かったか・・こっちの岩だったかいのおぅ・・」千人宿記念大師堂

 「アンサン何言ってまんがなぁ・・こっちの岩じゃがなぁ・・地元のモンが知らんと、笑われまっせぇ。」 

 「はれ?!・・そおやったかいのおぅ・・・どおじゃ、鬼の手形みたい物が残っとるじゃろがあぁぁ」

見れば何となく、そんなような形に見えん事もないが・・

 「この岩をつぶして、その上に道路作ってもええんだけど、そおすると祟りがあるという言い伝えが有るからのおぅ。
 そのため、こおやって岩を潰さないように、わざわざ橋を造っとるんじゃ」 

楽水大師堂 付近
 ふぅ〜む・・やっぱし、こういう伝説のモンは、祟りでも呪いでも何でも良いから理屈を付けて残しておいてほしいもんでんなぁ。
 金はかかるやろおけど・・・・。

 「千人宿」で1時間ほど参拝して休み再びテクテク・・

 「突合」で道が2コースに分かれ、一巡・三巡は「ひわだ峠越え」をし、二巡は小田町の「真弓峠越え」をしましたが、「真弓峠越え」を選ぶ人が多いよおです。

突合彼岸花吉野川 付近

 一巡の「ひわだ峠越え」は彼岸花が真っ盛りの時期で、山の斜面一面に真っ赤に咲いてました。

 三嶋神社で一休みした時、拝殿の階段に座って尺八吹いてると、先ほど買い物した店に居た、小学生くらいの女の子がチラッと山門に隠れながら見に来ました。

 何か怪しげな音が聞こえるので、何じゃろお・・と思ったんやろおなぁ。落合大師堂

 日曜日で休みなのだけれど、過疎のためか一緒に遊ぶ友達が近所には居ないのやろおなぁ。

 友達は歩いてる途中で見た、遠く離れた高い山の上に数件有る家まで行かなければ居ないのかもしれません。

 下坂場峠への坂道をヒーコラ言いながら越えて「宮成」へ、そして霧の中を「ひわだ峠」を越えました。

 その下り道の途中に休息する東屋があったので、近寄ってみると室内一杯に洗濯物を干したり、座席には、これまた山のように本が積んで座る所も無く、一人の男がゴザを敷いて本を読んでます。

 おぉぉ・・これは・・・ヒョットすると永年遍路されとるお方で、世間の俗世を嫌い、ここで日夜修行を積まれとるエライ人かもしれん。蔵谷 付近

 さっそく気が遠くなるような、アリガタイ尊い話でも聞ければ・・と杖を投げ捨てて平伏しようと思ったのですが、読んでる本がマンガ本でした。

 ン?・・何か違うかもしれんなぁ・・座禅を組んで瞑想されたり読経されたりしとるんなら話がわかるけど・・

 挨拶して少し話して別れ、だいぶ後でわかったのですが、知ってる人は知ってる職業遍路Kさんでした。
 その時はお互い名乗らず、短い会話をしただけで別れましたけど・・

 室戸でKさんと再会して野宿場所を訪れた時には、マンガ本だけでなく小説とか経済等あらゆる種類の本が山積みになっており、マンガ本からでも得る事が有ると言います。

 臼杵 付近  ひわだ峠 だんじり岩  ひわだ峠遍路道

 またKさんと一緒に少し歩いた事のある遍路は
「Kさんは、もんのすごく多くの本を読んでおり博学だ。」と言っており、Kさんの行き先々には本がゴッテリ置いてあるので、それを見ればKさんが、そこら付近に居るとわかるらしい。

 室戸に住んで居た時、Kさんが手に一杯荷物を持って、次の野宿地へ向かって歩いて行くのを偶然見つけた時にも少し話をしました。ひわだ峠休息所

 その時に
「本はどおしたのか?」と尋ねると、人に処分を頼んであるとの事で、後日野宿場所へ行くと確かにキレイになっていました。

 三巡逆打ちの「ひわだ峠」越えは、秋も終わる寒い時期でしてなぁ・・・

 「ひわだ峠」までは天気が持ちこたえていたのですが、「宮成」付近で雨が降り出し・・寒くなるし・・・

 越後屋が、いつもならば途中で「休むぅ〜・・」とゴネてσ(*_*)の足を引っ張るのに、この日に限ってドンドン先を歩き続け、休む素振りも見せません。

 足が痛くなってきたんだけどなぁ・・
 靴下はビショ濡れ・・寒さで手はかじかみ、杖を持つのも辛いので、上着袖の上から掴み・・・・ひわだ峠遍路道

 マジで凍死せにゃ・・ええが・・・と思いながら冷雨に打たれ、やっと一巡の時休んだ「三嶋神社」の境内で昼飯にしょうと思いました。

 しかし、神社では横なぐりの風雨で風除けになる場所が無く、近くのバス停で雨風をしのぎ・・・カタカタ震えながら、冷えた食事を済ませ、座ってると冷え込んで来るので、ろくに休まず再び歩き始めました。

 その日の夕方、到着地「上田渡」のバス停に着く寸前には、ザアッ〜・・と霰まで降り、道も白くなって来っちまった。

 この時、一人の遍路と行き違ったけど、これから山中、人家も少ないのに、この寒空をどこで寝るのか・・・・・
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