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 尺八を携え歩いた四国遍路 16 霧雨 H16/1/30 UP
              
妙雲寺  横峰寺

 「大頭」から、ほとんど車の通りが無い広い車道を横峰寺へ向かって歩きます。

 途中に妙雲寺がありま、いつもそこの境内で休むんですが、寺で飼っている犬も、いつも忘れずに必ず吠えてくれます。妙雲寺

 義理堅い犬でんなぁ・・・あっ・・繋いであるから大丈夫です。

 二巡の早朝時、参拝が終わり少し時間が有ったので、お堂の濡れ縁に座って尺八を吹いてると、近所のバサマがヨチヨチと歩いて参拝に来ました。

 参拝が終わると近づいて来て、
「生まれて初めて、尺八の音を聞いた」と喜んでくれます。

 ううむぅ・・80年近くも生き永らえていながら、尺八の音を初めて聞くとは・・

 おぉ〜ぉいぃぃ・・邦楽界のエライ人達ぃぃぃ〜〜・・「大頭」付近より横峰を望む

 もっと世間の身近に入り込んで宣伝しないと、あんた方がやっている日本の伝統は、一般庶民から忘れられ消えちまうぞおぉぉ〜

 立派な建物の中でばっかり演奏していても、何の宣伝にも解決にもならず、自己満足の世界に引き籠もっとるのと同じやでぇぇぇ〜。
 あっ・・叱られるかな? (^_^;)

 三巡の時、「大郷」付近を通った時は秋祭りだったので山車が出ていました。

 小雨が降っていたので透明なビニールシートがかかっており、いかにも作りたての新品のように見えます。「大郷」祭りの山車

 雨に濡れながら青年団の人達が引っ張っており、写真を撮っていると
「過疎化が進み、このままじゃアカンと数年ぶりに復活させました。どうぞ見てやってください」と言って説明してくれました。

 やがて道沿いの川が深い谷川となってきた頃、だんだん山の奥に入り・・・点々と有った人家も無くなり・・と思ってる頃に、最後の集落「湯浪」へ着き、ここも過疎化が進んでまんなぁ。

 一巡時の夕方近く、雨の中を「湯浪」付近までもう少しと、トボトボ歩いてると車が近づいて来て停まります。「大郷」付近

 
「お遍路さん。知ってるかもしれないけど、横峰寺や、この先には宿はありませんよ。」と教えてくれました。

 今から横峰に上ると寺で真っ暗になり、またこの先の「湯浪」でも泊まる所が無いのを心配してくれたのです。

 
「ありがとうございます。
この先の湯浪にバイクが置いてあり、そこまで行けばバイクで車を取りに戻る予定にしています。」

と礼を言いました。

 最後の「湯浪」の集落を過ぎて、数カ所の大きいカーブを曲がる所で、横峰へ登る遍路道と東屋の休憩所が有ります。「大郷」付近

 この休息所の東屋には、よお〜けぃ落書きがしてあります。

 いかがわしい物は有りまへんが、住所・氏名とか遍路の事とか・・・

 長い日数をかけて、やっとここまで歩き通し、その間、幾多の見知らぬ人々の有形・無形の善意に支えられて遍路して来たのに・・・

 落書きしたこいつらは、今まで歩きながら、いったい何を学んで来たんじゃろおか?
 恥を知れ!!

横峰へ 「湯浪」八幡神社 「湯浪」休息所

 逆打ちの時、その休息所から「湯浪」に降りるカーブの広い所に、荷物を満載した青いビニールシートが掛かっているリヤカーが、一つポツンと置いてありました。

 麓の人が山仕事に入ったので置いてあるのかな?と思ったのですが、良く見ると永年遍路やってる人の持ち物のようです。横峰寺 遍路道

 付近にだれか居るかな?
 そこらで雨宿りしてないかな?
と、あたりを見回しましたが、だれもいません。

 そのまま歩き少し先のカーブを曲がった所で、60才ぐらいのジサマがリヤカーを引っ張り、後ろからバサマが押してるのと出会いました。

 
「先ほどのリヤカーは、貴方達のリヤカーか?」と聞くと、そうだと言います。

 
「置いてあったリヤカーはジサマので、今引っ張ってるリヤカーはバサマのだ。
 年を取ると坂道をリヤカーで引っ張り上げるのもキツク、こおして1台づつ上まで二人して上げている。

 これから休息所の東屋で野宿をする予定で、少し下の方で水を汲んで来たところだ。

 二人で野宿しながら遍路しており、横峰へ行く時は今まで香園寺側から上り、同じ道を戻っていたが、今回初めて「湯浪」方向から登る予定だ。」
と話します。横峰寺 遍路道

 ジサマは、たまに話に加わるけど、バサマが話し好きで、着ている薄汚れたシャツには、大きいスマイルマークが描いてあります。

 笠も縁がボロボロで白く色あせており、普通だったら捨てっちまうようなのを被ってます。

 
「水は休息所の所にも名水が出ており、もう二つほどカーブを行くと着きますよ」と教えました。

 ゆっくり話をしたかったのですが、雨が降っての立ち話でもあり、また相手も野宿準備をしなければならないと思い、5分ほど話をして分かれました。

 世を捨てて二人で、ずうっ〜と巡ってるんかな?
 
「故郷の家を村の人に頼んで、たまに空気の入れ替えをしてくれと頼んである」と言ってたが・・横峰寺

 失ったものも多いだろうけど・・・

 世間体や、どうでもええ付き合いなどの煩わしさを完全に捨てきり、思った場所で時間を気にせず好きなだけ留まり、だれからも束縛されず自由気儘に遍路する姿は、「逃げの世界」かもしれまへんが、うらやましく思います。

 横峰寺への遍路道は、ほんまに昔ながらの山道という感じで、ええでんなぁ。
 少々キツイけど・・・

 古い杉木立の山道を登り、やがて息を切らせながら見上げる杉木立の中から、霧に煙る山門がヒッソリとたたずみ現れます。

 高い山の上に有るので、よぉ〜霧がかかり、いつ行っても寒いんだよねぇ、ここは・・・・

 この山門を通り抜けると横峰寺の境内に入ります。

 山門に入らずにトイレ方向の道を少し登ると「星の森」という、ハイカラな地名の場所へ行きます。横峰寺 山門

 「星の森」は見晴らしが良く、遠く石鎚山が望め、その手前に小さい鳥居が建ってます。

 鳥居方向から座って眺めると、鳥居が丁度良いアクセントの役目をして、石鎚山風景が自然の絵として眺められます。

 うまく配置をしたもんでんなぁ。

 石鎚山自体を御神体としとるから、参拝する時に鳥居の大きさも丁度良く、きっと絵心が有る人が作ったんでしょう。

 石鎚山頂は、いつも雲がかかっており山頂が見える事は滅多に無いと聞いてましたが、二度行ったうちの一度だけ雲がかかっておらず山頂を見る事が出来ました。

  横峰寺     「星の森」石鎚山を望む


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