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 尺八を携え歩いた遍路 10 一期一会 H16/8/7 UP
                卍 高照院天皇寺


 天皇寺へは弥蘇場の清水が流れている所から白峰神社の境内を通り抜けると、所々に松がある「高照院天皇寺」境内に出て、はらっ?・・どこに山門が?という感じで・・・立岩彫刻不動

 一巡の時、近所の小学1〜2年生くらいの男女3人の子供達が境内を遊び回っておりました。

 団体の参拝客が、納札を箱に入れると
「おいっ!!こっちで入れたぞお!!」と仲間に知らせ、ドドドッ・・・と仲間が見に行ったりしますが、別に参拝の邪魔をしてるわけではありません。

 何が書いてあるか・・とか、何で入れるのか等の好奇心でしょう。

 団体の参拝が終わり立ち去ったので、こちらも参拝の準備をしていると、目ざとく子供達が寄って来て話しかけます。

 物怖じせず、いいでんなぁ。坂出 付近

 
子供その1「オッチャン、それ何?」
 σ(*_*)「これは尺八と言うもので見た事ない?」

 子1「ない・・」
 子2「それ、どうするの?」

 σ(*_*)「これを、今からそこで吹くんだよ」
 子1「ふぅ〜ん・・・、どおやって吹くの?・・見ていていい?」

 越後屋「ええけど、静かに見ていてね」
 子1「はあぁ〜〜い・・・」
 
子2「はあいぃ〜」
 
子3「はい・・」坂出 付近

 本堂の前に立つと、子供達が目の前の階段に、雛壇のように腰掛けます。

 うむぅぅ・・まさか、すぐ目の前に座って聞くとは思わんかったなぁ。

 普通なら、遠慮して横にでも居るもんだけど・・いかにも子供らしいというか・・何というか・・・ま・・いいか・・

 目を閉じて吹き始め、単なる連れが横で心経を唱え始めると・・・突然、越後屋が
「プッ・・」と吹き出して笑い始めます。

 なんじゃ・・なにを笑いながら唱えとるんじゃ・・・不謹慎なヤツ目・・弥蘇場

 後で聞くと、目の前の男の子が、ワシの尺八を吹いてるマネして首を振ったり動かしたりするのを見て、思わず笑ってしまったと言います。

 参拝が終わり、荷物の所へ戻ると子供達も付いて来たので、
「学校で、どんな歌を習ってるの? 知ってる歌があったら吹いてあげるよ」と聞きましたが、答えた歌の題名は私の知らない歌でした。

 最近の小学校で教える歌と、私たちが習った歌とは、もうだいぶ違うようでんなぁ。

 しょうがないから「ふるさと」を吹いてやると、「はれっ?・・・」というような顔して、目をパチクリとして聞いてます。白峰神社・高照院天皇寺

 もっと吹いてというアンコールに応え「みかんの花咲く丘」を吹きましたが、子供達は知らない曲かもしれません。

子3「ねぇ、オバチャン達ご飯食べた?」
越後屋「まだ・・・」
子1「あっ・・お前お菓子持ってたろ、それあげろ!!」

見ると、
子供2がまだ封を切ってないカッパエビセンの袋を手にしっかり持っています。

越後屋「ちょうだい」
子2 「いや・・・」
子1「いいじゃん・・あげろよ」

 しぶしぶと・・
子2「はい・・・」
 
越後屋「冗談よ・・・フフフフ・・・(^_-)」高照院天皇寺

 子3「ねぇ、おばちゃん達、どこまで行くの?」
 越後屋「国分寺という所まで・・・知ってる?」

子1「あっ・・知ってる、
  お父さんに連れられて車で行った事ある!!
  よし、皆でそこまで送ってあげよう!!」


越後屋「いいのよ。遠い所だから・・・」と、あわてて言うと
子1「じゃあ・・・そこの線路の所まで・・」

 いざ出発しようと立ち上がると、
子供その1が突然、私の服の袖をヒシッとつかんで引き留め「おっちゃん、もう1回それを吹いて」と言います。

 しかし、もう尺八の手入れをして荷物も担いでしまっているので、どうしょうかなぁ・・と思いましたが

「今聞いた音楽は、この場での一瞬だけのものである。
 また聞けるからいいや・・と思って聞いてたかもしれない。高照院天皇寺 境内

 しかし、二度目が無い時がある。
 今のこの一瞬を大切にし、これからも今しか出来ないと思って勉強も何事でもやりなさい。

 難しい言葉で言うと、これを「一期一会」と言うんだよ。 ゴメンね。」


 小学生の低学年の子供に対して、ずいぶん難しい事を言っちまったなぁ。
 言ってる本人も、わかってくれるかなぁ・・と思いながら言ったんだけど・・

 それでも子供は、わかったのか、わからんのか素直に
「うん」と言い、しっかり握っていた服の袖を離してくれました。高照院天皇寺 境内

 しかし、この「もう一度吹いて」とせがまれた事で、子供だから、難しくてわからないだろおと思っていた尺八曲でも、子供は良いと思う音楽には興味を持つのだと実感しました。

 この子達がいつか尺八という楽器を知った時、境内で出会った私達の事を、いつの日にか思い出すかもしれません。

 そう思うと、なんか楽しい気持ちになりまんなぁ。

 今思うと荷物降ろして、あの時にもう一度吹いてやれば良かった・・・今頃は中学生になってるかもしれまへん。

 二巡の時、子供達はやっぱり居ませんでした。
 三巡目の時も居ません。

 そおですわなぁ、遊んでばっかりおれんでしょうなぁ。白峰神社
 でも、この寺に来るといつも、子供達と話した風景が思い出されます。

 寺での参拝後、人気のない隣の白峰神社で吹奏していると、後のほうで「カチャッ」と音がしたので、先ほど境内を自転車で通り過ぎたオバハンかと思ってました。

 参拝後に振り返ると、乳母車に赤ちゃんを入れた若いお母さんが一人、パチパチ・・と笑顔で拍手してくれてます。

 さっきからズウッ〜と、そこでたたずみながら聞いててくれたんでしょう。

 たった一人の観客でしたが、ありがとうごぜえます。
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