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尺八を携え歩いた四国88箇所遍路   19 旅立ち・「長浜」海岸   H16/11/5 UP
     
大麻山卯辰越え  白鳥道大阪越え 
    大麻比古神社  大滝寺  大瀧権現西照神社
    

「大麻山卯辰越え」

大麻比古神社 参道
 三巡目の時は、逆打ちで大麻山卯辰越えをしました。

 1番霊山寺脇の広くもない道を行きますと、やがて大麻比古神社に向かう大きな参道に出ます。

 その参道をフラフラ歩いてると、通りすがりのオバハンが
「結願したんですか?」と声をかけてきました。

 結願したので、この神社にもお礼参りしに来たのだろおと思ったのでしょう。

 大麻比古神社の入り口は、ちょうど工事中で少し遠回りして境内に入り、大きい神社でんなぁ・・・・

 早朝で緑の袴をはいた巫女さんが、数人境内を掃いてます。大麻比古神社 境内

 参拝して国道に出て歩いてると、向こうから来た車が止まり
「ドイツ館は、この先か?」と聞いて来たので、神社の近くにドイツ館が在りましたので、行ってませんが「へい、さようです」と答えておきました。

 車道のS字カーブをエッチラ・・オッチラ・・・

 途中産業廃棄物が置いてある所から、野良犬らしいのが三匹ほど遠くから吠えて走ってきます。

 無視して歩き続け、犬がこちらへ来るまで距離があったの、犬も諦めてそれ以上は追いかけて来なかったけど、正直怖かったなぁ。

 一匹でもイヤなのに、三匹相手に果たして勝てるか・・と思ったもんなぁ。

 歩いてると後から来た車が止まり、何事か?と思って立ち止まると
「お遍路さん。道が違いますよ。」と親切に教えてくれます。

卯辰越え
 
「あんがとさんです。でも逆打ちしとるんです。」と答えると了解してくれましたが、この道を逆打ちする遍路も珍しいんじゃろおなぁ。

 順打ちでも、遍路が通るのが珍しいコースなんだから・・

 山越えは、それほどキツクなく全て車道で舗装道。

 山を下り「折野」付近に来ると急に瀬戸内海が見え・・
 おぉぉ久々に見る海!!・・・・

 今度は海沿いにテクテク・・・・
卯辰越え 川筋
 途中の店で昼食に鯖定食を注文すると、思ったより、かなり鯖の切り身が小さかった。

 普通、鯖定食と言えば、少なくとも鯖の半身ぐらいは皿に載ってないと、鯖も恥ずかしいじゃろおに・・

 それが、あぁたぁ・・・半身どころか、半身をさらに半分切るならば、まだ言い訳になるだろおが、どお見ても無理して1/3位に切った鯖の姿しか皿に載ってなく、思わず越後屋と目を合わせちまった。

 そんな目で見られている、カワイソーな鯖の気も知らず、店のオバハンは同僚に
 
「ちょいと、あんたぁ、この人達、遍路してなはるやて。来て・・来て・・・」と呼びます。
卯辰越え 大須付近
 そんな事を珍しがるより、このカワイソーな鯖をなんとかしてくれた方が、もっとウレシイ。

 あんまり珍しがるので聞いてみると、
「遍路は、めったに通らない」と、さらに盛んに珍しがってくれます。

 おぉぉ・・良かった・良かった・・

 人のやらん事をしねぇと面白くねぇからなと気分を良くしたので、鯖の小さかったのはガマンしといた。

 しばらく行くと、「長浜」付近に「海の公園」の看板が有り、今はトンネルができたので旧道を公園にした所を通りました。

 公園と言っても、海に流れついた流木のような物を道に引っ張り上げたまんまのような物とか・・卯辰越え 長浜「海の公園」

 道の真ん中に、デカイ石がゴロ〜ンと置いてあったり、壊れたようなパイプみたい物が建っていたりして・・

 きっと前衛芸術なのやろおねぇ・・・あんまり良さがよぉ〜わからんかったが・・

 讃岐相生駅近くに来ると、一巡の時通った懐かしい白鳥越えの山々が見え、山の途中から煙りが出ています。

 その付近を数機のヘリコプターが飛び回って、入れ替わり立ち替わり消化剤らしい物を撒いており、山火事があったのでしょう。

 この逆打ちでの卯辰越えでは大窪寺までの間、遍路とはだれ一人と出会いませんでした。

やっぱり皆は、切幡寺コースへ行っちゃうんだろおなぁ・・・距離が少し短いらしいから・・讃岐相生駅付近より大阪越えの山々

 雨の中を大窪寺へ着いた時、初めて民宿に泊まりました。

 なんせ一巡の時は越後屋を置き去りにして、捨てて行ってやろか・・と思った星越峠だったので、今度は無理せんように・・・

 民宿の夕食は、噂に聞いてた赤飯がタライにゴッテリ盛ってあり、「結願」祝いの赤飯と聞いてましたが、まさか大きなタライに赤飯が入っていて、お代わり自由だとは思わんかった。

 客は夫婦連れが二組と、男性客が二人テーブルで祝杯のビールを飲みながらボソボソ話しています。

 隣の夫婦連れは、霧で女体山越えをしたが、何も見えず残念だったと話してるのが聞こえ・・・

 各自各様に、それぞれ永かった遍路道や、結願までの思いをボソボソ話してます。
番外20番寺 大滝寺
 キレイどころを呼んで飲めや歌えのドンチャン騒ぎをするわけでもなく、静かなもんです。

 知らない人が見たら、お通夜をやってるように見えたやろなぁ。

 その中で、ワシらだけは、ビールで祝杯もせず会話もせず、さらに静かに黙ってモクモクと赤飯を食べてました。

 何で?・・言うても・・・
 せっかく他の人達は、結願した喜びを静かに噛み締め、その感激を話しとるのに・・・

 今から逆打ち予定の話しをしとったら、イヤミったらしいやろおからなぁ、と思ったもんだから・・

 でも、まぁ・・そんな事にかまわず、他の人以上に赤飯をゴッテリお代わりして食べました。大瀧権現 西照神社

 結願だろおが、これから逆打ちだろおが、どおせ店の人にわからんじゃろおし・・

 バレても文句は言わんじゃろおし・・・はい、赤飯うまかったです。

 二巡時に車で大滝寺へ行き、けっこうS字カーブの道でした。

 なお、寺では山頂で水不足によりトイレ使用は不可と言われ、また、それはもっともと思いますので、そのつもりで行った方が良いです。

「白鳥道大阪越え」


 一巡の時に、讃岐相生駅から白鳥越えをしました。

 駅を早朝出発し、すぐ近くから麓まで「四国の道」と一致しております。

 山道を上がる付近の民家から犬が吠える越えが聞こえます・・・いややなぁ・・大阪越え 讃岐相生方面

 なんか放し飼いみたいだし・・来なけりゃ、ええんだが・・と不安に思いましたが、幸い犬は来ませんでした。

 この付近に来るまで知らなかったんでが、この付近一帯も源平の戦いで、源義経が平家を追って来た有名な道だったんですなぁ。

 この山道も義経主従が馬に乗って通ったんでしょう。

 馬も大変だったでしょうが、乗ってる武者も兜やら鎧が小枝に引っ掛かって難渋したやろおなぁ・・・先を急いどるのに・・・

 山を越して、麓の関所跡の看板を見て・・・大阪越え 地蔵
 もう跡形もなく、普通の民家が近くに建ってるだけでしたが・・・

 そこで「四国の道」方向と遍路シールの方向が別々の方向を差しています。

 何となく「四国の道」方向が地図に記載されてるのと同じような気がしましたが、ここはシールを信じて国道の方へ出ました。

 線路を越え・・テクテク・・阿波大宮駅でしばし休憩・・・
 再び線路沿いにテクテク・・・・水仙が咲いてます。

 途中から道をそれて民家の道を歩いてると思うと、急に3番金泉寺に出ました。大阪越え 遍路道

 そういえば、この寺にも弁慶の力石とかがあって源平縁の寺でした。

 ここからは、1番霊山寺まですぐです。

 まずは腹ごしらえ・・・

 1番の山門前の店でウドンを注文してると、僧衣の人がリュックを持って入って来て、やっぱし、ここで腹ごしらえしてからの出発なのでしょう。

 ウドンをすすりながら、よっぽど話掛けて、これからの遍路道の情報などを話してあげようかと何度も思いましたが、なぜかどおしても話掛ける事ができません。

 ウドンをすすりながらの、わずかの時間で語るにしては、あまりにも永々たる遠くて長い道筋と、多大なる出来事の数々・・・

 果たして、ウドンをすする間に、どれだけの事を伝える事ができるでしょう。
大阪越え 中村付近
 僧衣の人が店を出た後は客はだれも居なく、そのまましばらくボォ〜と休んでいると、店のオバチャンが
「結願したんですか?」と話かけてきたので「はい」とうなづきます。

 お決まりの「遍路はどうだった?」というような、ありふれた事なんか聞いてきまへん。

 その後は、ただお互い黙って・・・
 はい、それだけで十分でした。

 やっぱり永年この商売しとる人には、見分けが付いて、その心境がわかるんでしょうなぁ。
 黙っていてくれるのも思いやりです。

 店を出て霊山寺山門前に立った時、今まさに若い一人の遍路が、大きい荷物を担いで出発しようと山門に向かって礼をしています。

 その不安気に去り行く遍路の後姿を黙って見送ってると、過ぎし遍路道風景が再び次々と思い浮かび、 あぁぁ・・あの遍路も、これからあの道を通って行くのか・・・

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