HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第三章「目次」 > 車遍路・1 始めての車遍路
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四国・室戸への転勤先が決まった、某日の会話
で「越後屋・・・ワシ、この機会に、四国八十八箇所巡りをしてみようと思う。」
越「春で季節の変わり目ですのぉ・・・信心も無いのに・・・」
で「うむ、確かにそうだが、なんか変わるかもしれん・・・今のとこ、変わらんと思うが・・・」
越「おでぇかんさま。
あそこに巡拝用品一式を売ってる所がありますぜ」
で「おお・・さっそく買い求めよう・・・な・な・・なんじゃ・・??
団体が、ギッシリ詰めかけて・・・何が、どぉなってるやら・・・・」
越「白いハッピみたい物を買わないと・・・」
で「ちと、ハズかしいなぁ・・・・菅笠(スゲガサ)なら、ワシ好きだけど・・・
杖も、棒術の練習にいいかも・・・・」
越「線香やら・・・ローソク入れる袋も買わんと・・・」
で「やっぱす、気は心と言うから・・・
その袋と線香とローソクだけで、いいでねぇのか?
あっ「四国88ケ所詳細地図」ちゅうのも買っていこ・・
迷子にならんように・・・・」
で「わっわわわわ・・・・白いハッピ着た団体が、ローソクやら線香を立てる所を占領しておって・・・
なんか、私服を着てるのはワシらだけで、異常に目立つのお。」
越「すかも、背広着て、ネクタイまでして、いかにも、ついでにと言うのが、ミエミエですなぁ。」
で「そーいえば、般若心経を唱えなければ、アカンかった。
ワシ、途中までしか覚えておらんので、お経の本、ここで買っておこう。」
3番(金泉寺)
越「おでえかんさま、門に入る時や出る時は、お辞儀するらしいですぞ」
お「むむ・・・しとらんかった・・・・
越後屋、般若心経知っとるか?知らんかったら、ワシの後に付いて唱えよ
・・・・観自在菩薩。行深般若。波羅密多。なんじゃ?・・・この本は・・・・
ワシの知ってる区切りと全然ちがうでねぇか。 まぁ、良い・・ワシのやり方で唱えるから、越後屋、付いて来い」
・・・・・・・ 唱える ・・・・・・・・・
で「ん? ・・越後屋、なんか不満そうじゃのおう。」
越「早すぎて、付いていけんかった・・・・(;;」
4番(大日寺)
で「団体さんが唱える般若心経の合唱は、なかなか情が有るのぉ」
越「そおですねぇ。」
(納経所にて)
で「あのぉ~・・・ハンコ押して毛筆で書いてもらった所で貰う、このチッコイ仏様の絵が書いてある紙は、何ですか?」
納経所「こりは、この寺のご本尊様で、そりぞりの各寺にあります。
全部終わった後は、家の仏壇に置くか、掛け軸に表装して飾っておく事もできます。」
(駐車場にて、)
で「バスの添乗員の人も、たいへんじゃのおぅ。客よりも先に降りて、掛け軸やら何やらを風呂敷に包んで、納経所へ走って行かねばアカンから・・・」
5番(地蔵寺)
で「ついでに、五百羅漢も見ていこ」
6番(安楽寺)
で「安楽寺というから、ポックリ寺かな?」
越「ちがうらしいですぜ。そりよりも早く次ぎの寺へ行きましょうよ」
で「なんでじゃ?・・・寺は逃げねえぞ。」
越「そりが、夕方5時になったら終りらしいです。」
で「ゲッ・・公務員なみか。しょうがない、あと3分で5時だから、この次ぎに続きを巡ろう。」
越「ああっっ・・・5時過ぎたのに、団体バスが寺へ入って行く・・」
で「うむむ・・・団体は、良いのか・・・・なんか、割に合わんのぅ・・・・・。」
00/04/06記載
越「おでぇかんさま。私らは、こ~やって車輪付きの駕籠に乗ってますが、やっぱし今でも歩いてるお遍路さんが居るんですねぇ~。」
で「そぉじゃのおぅ・・・。定年を過ぎたような年輩の男が、一人でお遍路しとるのを見ると、なんか悲壮感があるなぁ。ワシ、他人事に思えん・・。」
越「若いのも、歩いてますぜ。」
で「就職に失敗したのかな・・・人生に迷いがあるんだろうか・・・
まぁ、何もしないで、ボッーとしとるのよりも良いんではないかな。」
越「年取った老夫婦も歩いてますねぇ・・・・」
で「しかし、最後まで歩き通すというのも根性がいるだろなぁ。
天気の良い日ばかりじゃ、あるまいし・・・・
雨なんか降ったら、かなわんだろうしなぁ・・・」
越「景色の良い所ばっかしじゃ無いですし、単調な景色ばっかしで、飽きが来る所もあるだろし・・・・これは、やっぱす、自分との戦いの修行ですね。」
で「え?・・・越後屋・・・おまえ、真人間になったのか?・・・ワシだけ残して・・・・。
ところで越後屋。今まで行った6つの寺が、どんな寺だったか覚えておるか?」
越「それが・・・どれも、よ~覚えておらんのです。
なんせ、よ~似た寺ばっかしなもんだし・・・・、
ハンコ貰うのが目標みたいもんでしたから・・・羅漢寺なら覚えてますが・・・」
で「ワシもじゃ・・・・やっぱす修行が足りんのぉ・・・」
00/04/07記載
これは私の転勤で、赴任先(室戸)へ車で行く途中に一番寺から寄った時のものです。
私の職業は全国各地へ転勤が多く、数年に一度有る転勤先はどこでも良かったのですが、どうせ見知らぬ土地へ行くならば、冥土へ行った時に話しの種になるように一度「四国遍路」なるものをしてみようと前から思っておりましてなぁ。
そいで「四国ならば、どこでもええや」と思いながらも、なるべく僻地で、忙しく無さそうな所で、何か問題が起きても、ややこしい上級幹部があんまり叱咤激励に来ないような所を選びました。
はい、当然そんな事を正直に申告しまへんがなぁ、「当地にて一生懸命、身を挺して働きたい」というタテマエをマジメな顔して言っときました。
後で聞いてみると、いつも室戸を希望する者は、だれも居なかったようで、ワシのような存在は珍しかったらしい。
地図を見ると汽車も通ってない所で、そりゃあぁ小さい子供等をかかえている人や、都会へ憧れる人は行きたくないでしょう。
しかし、お遊び気分で転勤先を決めちまい、「車で一巡したら、もうええや」と遍路する前は思ってましたが、実際に遍路した後は、その後の考えは大きく変わりました。
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