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 尺八とクラリネット、出雲33観音霊場記 巡礼日 2017/5/7  掲載日2017/11/7


二人の修行者/出雲33観音霊場記

華道「草月流」

 出雲33観音霊場の巡礼が終わり、家へ帰る途中「道の駅」で一休みすると、リュックに「日本一周」と付けた青年が居たので、話をすると下関を発して1年がかりで日本一周をする予定らしい。

 足にマメができないか?という話から四国遍路の話になりましたが、青年は四国遍路はしないと言い、理由を聞くと、四国は遍路に対する優しさが有るので、もっとワイルドな旅行をしたい。華道「草月流」 日本一周リュック

 今の四国遍路はサーファリーパークに入る車のように安全に守られており、要はそんな甘えた旅行でないものをしたいらしい。

 言われてみれば、たしかに四国遍路は甘い所があるかもしれず、本州には廃れたと言えども霊場が残っており、まだ旅行者に好意をもっている人もいるんたがなぁ。

 聞いてみると草月流「華道」をやっており、旅をしながら寺で「生け花」を生けさせてもらっていると言い、師範クラスの免状を持ってるらしい。

 ニューヨクで「生け花」をやってたが日本に帰ってきて、またアメリカへ行くまでの1年間を日本旅行したいと師匠に告げると、師匠は良い人でそれを許してくれた。

 テクニックだけの作品ではなく、テクニックも必要だが自分には優しさ慈悲などの心の優しさが有る作品を作りたい・・というようなことを言った。

 ふうむうぅぅ・・目的地をどのような道筋で決めて歩いてるのかわからんが、それならば全国の各地霊場巡りをした方が得る事が多いと思うが・・・

 四国遍路も確かに甘くなっているよおですが、それでも自分の場合は遍路していて心の内面・仏教関係等ずいぶん教わった。

 華道の世界は全くわからんので、草月流をチラッと調べてみると「新しく自由な形で花を生ける」のが特徴のよおです・・ちがうかな。

 そおいう意味で青年は、ともすれば小手先だけのテクニックに陥ってしまいそおなのを、そこに慈悲・優しさ等「心」を表すためにどおすれば良いかと思って旅に出たよおで、草月流の特徴を調べてやっと青年の求めようとしている事がわかりました。

 世界に「生け花」を紹介しており、このような考えで野宿旅をしているのならば得ることが多く、将来は国宝クラスの大物になる人かもしれない・・30才代の青年でした。

クラリネット奏者

 道の駅「シーサイド高浜」の解放された空間のベンチに座ってクラリネットを吹いてる人が居ました。

 少し立ち止まって聞くと、クラリネット独特の優しい音色でジャズ風な曲を吹いており、シロウト離れをしてもんのすごく上手い。

 パフオーマンスとか道端ライブのように、吹いて人に聞かせているよおではなく、スマホの曲を聞きながら練習していたようだったので、曲が終わった時に話掛けました。

 クラリネットの主は、デップリ太って頭が丸坊主のトッツアンで、大入道という外観です。

 見方によれば失礼ながら「そのスジ」の人と言っても十分に通用する雰囲気があり、なんでこんな人があんな優しい音色が出せるんだろと思う位です。

 自分もブラバンでトロンボーンを吹いてたと自己紹介すると、相手も「自分もそうだった」と言い

 キャバレーで30才までクラリネットを吹いてたが店が潰れ、いろんな事をして坊主になり、数年前クラリネットを手に入れて再びやり始めた。

 店で吹いてたと言うのを聞いて、どおりでプロ級の音色テクニックだと思った。

 話が盛り上がり、自分も尺八をやってると言って車から持って来て、少し風が有るので向きを変えて吹くが・・と断って「手向」を吹きました。

 それからは音楽談義になり、自分も「道の駅」で人がいない所で尺八を吹いたが、そっと吹いてたのにかなり離れた車の中まで大きく聞こえたらしく、尺八はその時の自分の心を表すと思うと言った。

 失礼ながら職業は?と聞くと、禅宗曹洞宗の坊主をして、2年前に師匠に旅に出ると言って托鉢しながら旅している。
尺八とクラリネット
 今の坊主達は、金儲けの事ばかり考えており、寺の修理も檀家にさせたり割り当てたりしており、自分のように托鉢して生活するというのを忘れていると怒ってます。

 自分もそう思い、年末に仏教界が行う「托鉢」と称する、単なる封筒を配って回収するだけの寄附金集め・・あれ何とかしてくれねえかなぁ。

 虚無僧の話になり、ある所で虚無僧を見たが実際に吹いてるのではなく、録音したものをスピーカで流し、指や口先は曲に併せて動かしてるだけだった。

 それを見て「曲に併せて吹くというのならばわかるが、そんな形だけのマネ事は止めろ」と言ったことがある。

 都山流の「何とか山」だと名乗っており、よっぽど録音機のスイッチ切ってやろうかと思った。


 うん切ってやれば良かったのにぃ。

 「山」号が付く人なのだから師範クラス以上の人で、たとえ自分が吹いた曲を録音して流しているのであっても、吹いてるフリ・マネをするのは、いかがなものか・・。

 しかし、その虚無僧さんは何を求めて、そんな形だけのマネ事をしたのだろうか?

 金が目的か、パフォーマンスなのか・・・・いずれにしても、そのような形だけのマネ事をしても得る事は何も無く、バレたら白い目で見られるだけでしょう。

 自分に出来る事は仏道の事は言えないけれど、今まで生きて来た経験を持って人の相談に乗ることだけだ。

 トッツアンが名刺を取りに車へ行く時、落ちてるゴミを拾って行ったのを見て、この人はホンマモンの坊さんだと思った。

 正直に言います・・自分もそのゴミに気づいてましたが、見なかった事にして拾いませんでした。

 思いがけずに「出雲33観音霊場」巡礼の最後日に、二人の修行者と話す事が出来ました。

 「出雲33観音霊場記」は、これにて完結しました。 他の霊場巡り等も、御笑読ください。


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます


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