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 「西方の湯」、「越後33観音霊場」只一人・紀行文 H22.6.7 巡礼   H23.2.9 UP


幻の秘湯「西方の湯」に宿泊/越後33観音霊場・只一人

「コンビニ」にて

「越後33観音霊場」只一人、巡礼装備品     「村松浜」付近、「越後33観音霊場」只一人・紀行文     「西方の湯」親鸞上人像、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 車に怯えながら国道113号線を歩き、「村松浜」にコンビニが有るのを前もって調査していたので、なんとかそこまでガマンして歩きました。

 やっとコンビニまでたどり着いて日陰に荷物を置き、アイスを買いながら国道の歩道状態を尋ねると、この先も歩道が無いらしい・・あちゃあぁぁ・・・

 荷物を置いた側で、アイスを食べながら地図を眺めました。

 この先に有る「笹口浜」で野宿予定にしていたのですが、このまま国道を歩くと、通行する車がσ(*_*)のために徐行したり避けたりして迷惑をかけるだろなぁ。

 σ(*_*)も車に接触したら痛いし、死にに行くようなもんだと思うので、その途中に有る「西方の湯」が素泊まり出来ると事前調査しておりました。

 ただ・・「西方の湯」は、ちいっと世間一般常識で考える宿とは、もんのすごく違う宿らしく、その道の「ツウ」の人が好んで行く?、良く言えば「人がほとんど来ない、隠れた幻の秘湯」です。

 悪く言うと・・・うむうぅぅ・・それはこの先を読んでから、どのような所か判断してください。 「西方の湯」親鸞上人像、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 コンビニで「西方の湯」は、今でも営業してるのかと聞くと「さあぁ・・わかりません」 と言い、ふうむぅ・・地元の人でさえも営業しとるのか、どうなのかさえ、わからん所なのか。

 缶コーヒーを買いながら、それでも「笹口浜」へ何とか行く方法は無いかと思い、海辺には道が無いかと尋ねると無いらしく、どおしても行くならば旧道を行くしかないらしい。

 「この付近の人は、国道を歩かないのですか?
 「今は自動車ですからねぇ。」

 そおだわなぁ・・今はジジババでも車に乗る時代だもん、歩くような人が居たら、歩道設置の要望は当然出るじゃろおしねぇ。

 コンビニ横から村松浜の旧道へ入り、畑地の中を通る旧道(農道かな?)を歩いてると、やがてそのスジでは評判になってる「西方の湯」のコンクリ製・親鸞上人立像が見えて来ました。

西方の湯

 その巨大な親鸞上人立像に向かって歩き、国道113号線を横切って、不気味な廃寺?と思われるような施設建物「西方の湯」へ向かって、付近を伺いながら小汚い怪しげな巡礼が一人近づいて行きます・・あっ、はい、それσ(*_*)です。 「西方の湯」入口、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 一応建物入口には「総合会館 西方の湯」と書いてありますが、外見はだれがどう贔屓目に見ても、すでに廃業しちまって、廃墟だと言い張っても十分に納得出来るような雰囲気で、おぉぉ・・ウワサ通りじゃ。!(^^)!・・と喜んでどうする。

 玄関入口付近に、すでにガラクタが置いてあり、ますます風聞通りと内心の喜びを押さえつつ玄関ロビーへ行くと、室内は全く電気も点いておらず、これまた風聞通りのガラクタが暗いロビーに所狭しと置いてあります。 「西方の湯」玄関、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 室内の灯りと言えば、窓から入る外からの光だけで、ホンマに人が居るんかいなぁ。

 それでも玄関ロビー受付の所で、中に向かって大声で案内を乞うと、すぐ後ろに音も無く白髪を振り乱したオババが、包丁を片手に「イッ・ヒッ・ヒッ・・ヒッ・・・」と陰気な笑いをしながらスッ~と立っており・・だったら、この玄関ロビーの雰囲気にはピッタリなのだが、二階から普通のオババらしい声で「今、行きまあぁ~す」と普通の返事。

 おぉぉ・・無人では無く、人は居るようで、受け答えもマトモそうだ。 「西方の湯」玄関ロビー、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 正直、その声を聞くまでは、中から何が出てくるかわからず、ワケのわからん物が出てきたら、どうしょうかと内心ハラハラしてたでぇ。

 「素泊まりで宿泊できると聞いてますが・・」と言うと、素泊まり2500円+温泉代500円の計3000円、これも事前調査どおり。

 「食事は作れないが、どうする?」と心配してくれ、これを聞いて良いオババだなぁ・・先程は失礼な妄想を描いちまって悪かったと素直に反省し、食事が無い事は予想していたので、先程のコンビニで買っておきました。

 しかし、「自販機も取られたので、有りませんので・・」と言う、思いも付かない追い打ちが・・・「西方の湯」玄関ロビー、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 えぇ?・・取られた?・・・あぁそうか、客が居ないので自販機を置いても売り上げが無く、自販機の会社から撤去されちまったのね。

 しかしぃ・・改めて玄関ロビーを見渡すと、こおいう箇所は普通は明るく広々としているもんだが、何かわからんガラクタというか古物が、ホコリっぽく所狭しと並べてあり、これ、だれかに売りつけるつもりだろか?

 どう見ても客も来ないのに、単に並べてあるだけのように思えるが、これも事前調査していた通りだったので、まだまだこれ位では驚かないでぇ・・どこからでも束になって掛かって来い・・ワッハハッハッ(^O^)。

 しかし、知らずに来た人は「何じゃ、これっ!!」と、まずビックリして後も見ずに逃げて行くかもしれない。

部屋

 2階の部屋へ案内され、途中の廊下は電気も点けてなく窓も閉まっているので、暑苦しいドンヨリとしたホコリっぽい空気が澱んでおり、これも事前調査通りで、まだまだ全然驚かない。「西方の湯」部屋、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 案内された部屋は2部屋続きで、締め切ってあったので暑かったが、窓を全部開放すると涼しい浜風が入って来ました。

 うん、部屋は思った以上に小綺麗だし、これならば、まだガマンして寝れるのではないかな。

 トイレへ行き、水道で手を洗おうとしたら、流れ出る水が真っ赤!!・・キャアァァァ~出たあぁぁ!!・・血・・・血じゃあぁぁ!!と思ったら赤錆びだった。 ワッハッハッハッ ・・このヤロウ脅かしやがって。

 しかし、歯を磨いたり顔洗う時はどおしたら、ええんじゃ?。

 バアサンが宿帳と浴衣を持って来て、フトンの世話等をしてる間に、ホントは個人情報なのでアカンのだろおけれど宿帳をサラサラと眺めました。

 σ(*_*)が泊まる前は、今年の1月に居ましたが、その間の半年間はだれも泊まってなかったよおで、これじゃ水道から赤錆びが出るわなぁ。

 宿泊客は県外の人が多く、伝説の秘湯巡りの「ツウ」の人達なんだろおか?「西方の湯」室内、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 たまに県内の人も泊まっており、この「西方の湯」施設の何が気に入ってるのか、同一の人が何度も宿泊していて、親鸞さんがどうのこうのの施設だから宗教関係者かもしれん。

 そおでないと、普通ならば、わざわざ何度もここに泊まらないじゃろなぁ。

 それ以外に、この「西方の湯」を目指してわざわざ泊まりに来るような人は、σ(*_*)のような歩きで宿が見つからない人とか、ウワサを聞きつけてどんなモンかと野次馬コンジョで泊まりに来る「ツウ」の人位だと思う。

 浴衣の帯が無かったのか、女性用のシゴキ紐が置いてあり、えらい艶めかしい紐だったが、これはこれでご愛敬だろう。

 茶を持ってきてくれたが、自販機が無いと言ってたので、魔法瓶に氷と水を入れて持って来てくれるように頼んだら、ちゃんと持って来てくれて、心配した赤錆は入ってなかった。

 良かったなぁ・・この暑い時に、赤錆の出る水道の水なんか飲めないもんなぁ。

温泉

 ウワサの温泉へ行ってみると、だれも居ないと思ってましたがジサマが2人入っています。「西方の湯」紹介雑誌のコピー、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 へえぇぇ~・・失礼ながらこんな温泉に入りに来る、物好きな人が居たんだ。

 温泉はヨウ素イオンが入ってるので黒色で、何年か前の雑誌記事がコピーして壁に貼ってあり「温泉ツウの何とかいう人(カワイソーだから名前を書かない)が選んだ立寄温泉 堂々第一位」と書いてありました。

 この温泉ツウの人も、まさか今はこんな不気味な温泉になってると、当時は予想もしなかったのだろなぁ。

 風呂から上がってガラクタを眺めながら部屋に戻る途中、ロビーでオババが
 「温泉から一人出たのは、わかっているが、もう一人はどうしてたか?」
 「えっ・・別に普通に入ってましたよ」 「西方の湯」温泉、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 「あの人、昼からずう~っと入ってるのに、まだ出て来ない。以前にあの人ではないが、湯にノボセてロビーで倒れ、救急車を呼んだ事がある。」

 「だいじょうぶ、まだ生きてましたよ。オバハンもたいへんですねぇ。」

 へえぇぇ~・・・ホンマに何度も失礼ながら、こんな温泉にだれも来ないと思ってたが、それなりに来る人が居るんだ。

 部屋にチッコイ室内冷蔵庫が有り、電源が入ってなかったのでカビ臭かったが、電源を入れて急冷にし、コンビニで買ったペットボトルを入れて凍らせました。 「西方の湯」温泉ポンプ、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 冷蔵庫は一晩中、コンプレッサー音を出し続けてウルサかったが、冷蔵庫としての任に良く耐えて、朝にはアッパレ見事にペットポトルは凍っていました。

 夜になったら廊下の電気を点けて欲しかったが、スイッチがわからず、部屋の前廊下のスイッチだけはわかったので点けておいた。

 風呂は8時までと言ってたので、7時頃に風呂の写真を撮りに部屋を出たら、風呂へ行くまでの廊下が真っ暗でスイッチがわからず、オバケが出るかもしれんので止めといた。

 先程のオババも暗い表情と声を出してたら、完全にオバケ屋敷じゃなぁ・・普通のオババで良かった。「西方の湯」一回廊下、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 寝付かれないので置いてあったマンガを読み、一息ついた時に窓の外を見ると久々に北斗七星を眺めました。

 σ(*_*)は内情を知っていて話しの種にでもと思って「西方の湯」に泊まったから別に怒らないけれど、知らずに泊まった人は怒るじゃろなぁ。

 再び泊まりたいとは思わないが、この付近を歩き巡礼をしてる時に、宿にどうしても泊まりたい場合は、こおいうもんだと承知して泊まるかもしれない。

 ケッタイな事とかゲテモノを趣味にする人とか・・人が積極的にやらない事を、あえてする事に生き甲斐を感じ、挑戦してる人とか・・・

 世間から「変わり者」と言われると、もんのすごく喜ぶ人とか・・σ(*_*)のような物好きな人は、わざわざ秘湯「西方の湯」に泊まってみるのも一興かと思う。

出発

 朝、出発用意をして玄関前に荷物を置き、秘湯「西方の湯」の写真を撮って戻ると、荷物の所にジサマが居て話しかけてきました。

 聞いてみると、ここのオーナーで僧職の資格も持ってると言い品の良いシイサマで、あらあぁぁ・・そおと知ってたら、昨夜はマンガなんか読まずにお話でもしたのにぃ。 「西方の湯」廊下、「越後33観音霊場」只一人・紀行文

 ガラクタを見た時は、ガラクタを溜め込むような欲深い人というイメージを持っていたが、そんなに悪そうな人に見えない。

 「別に何宗でも良かったのだが」と言いながら、この施設を建てた時には浄土真宗大谷派の、天皇と血が繋がっている何世だかを呼んで開眼供養したと言います。

 それほどの人が来たのならば、もおちっと商売気を出して人が来るようにすれば良いのにと思ったが、失礼になると思ってホンマは聞きたかったが、あえて聞かなかった。

 気になるガラクタの事を聞いてみると「捨てられるのが、もったいないので・・」と言います。

 うむうぅ・・確かにあのまま捨てられるには、もったいないような古い物も有り、世間を騒がせているゴミ屋敷のように、何でもかんでも拾い集めて山積みにし、近所に迷惑を掛けているのとは違い、一応品定め出来るように、ちゃんと並べて有ります。

 昨日、尺八が有ったら試してみようと思ったのですが見当たらなく、オババに聞くと以前は有ったと言いました。

 歩いて越後三十三観音霊場を巡ってると言うと「今まで何人か、リヤカーに家財道具を詰め込んで全国を巡っている人がおり、ここで何泊かしていってる」と言います。

 ほほおぉぉ・・エンドレス遍路は四国だけかと思ってたが、探せば全国的に居るようで、σ(*_*)も四国遍路の正当な流れ?をくむ、信心が足りない立派なニセモン巡礼です。

 息子さんがトラック運転手をやってるらしく、昨夜はオババと二人きりかと思って少々不気味な思いをしていたが、実際はこの人達も居たのね。

 (2017/12/3追記)
 もう、ツブレたかと思って「西方の湯」で検索してみると、まだガンバッて営業しており、入浴客もいるよおです。


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「阿字観」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。



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