HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」  愛媛-2 手拭い


  遍照の響き 柏峠より、四国遍路 H15/10/1 UP 


柏峠越え・手拭いの遍路札

柏峠越え

柳水大師

 国道56号線を歩いてると、やがてなだらかな坂道があり八百坂峠に来ます。 この峠付近に「八百坂バス停」があり、観自在寺から4km程度。八珀坂峠待合所、四国遍路

 ちょうど休むのに手頃な場所なので、きっと多くの遍路も、このバス停で休んだ事でしょう、私らは通るたびに休みました。(^O^)

 内海村付近に来ると、海は荒々しい太平洋というより、もの静かなる海になります。

 「柏峠越え」は内海村「柏」の川沿いの道を歩くと前方に高い山が見え、人家の庭先みたい所を通って、今見た高い山をこれからドエレエ目に遭って登っていきます。
「柏」付近、四国遍路 柏峠越え、四国遍路 柳水大師・柏峠越え、四国遍路
 ヒーコラ・・・言いながら登ると「柳水大師」に東屋が在ります。

 水と名が付いておるとおり、一巡時は小さい祠の近くから水が少しチロチロと流れていたんですが・・・・

 二巡の時はスッチョンスッチョン・・・

 三巡の時は、湿り気が在りましたが水は出ていなく、だんだん水が枯れて来たんでしょうか。

「清水大師」伝説

 そこからしばらく行くと、坂もなだらかになり、「清水大師」へ行く道と二手に別れるのですが「清水大師」へ寄ってもそれほど遠回りにもなりまへん。清水大師・柏峠越え、四国遍路

 で、やっぱし「清水大師」には水が有りまへんでしたが、昔はコンコンと水が出ていたんじゃろおなぁ・・・・・

 なんせ、ここで一人の娘巡礼が、余りにも喉の渇きに耐えかねて気絶しちまったら、大師さまが現れて寝ている娘に、カゼひかないように優しく布団をかけてやったという話ではなく・・・

 せっかく寝ている娘をわざわざ起こしちまい、側のキシミの根元を掘れと言い残し消えましたとさ。

 娘はきっと宝物でも埋まってるか・・・と思って掘ったんでしょうなぁ。

 そりゃあ、夢でそんなお告げが有ったらσ(*_*)でも真剣に堀ますわなぁ・・・スコップどころか起重機使ったり借金してでも・・
遍路道、柏峠越え、四国遍路  遍路道・柏峠越え、四国遍路  遍路道・柏峠越え、四国遍路
 そしたら、あぁたぁ・・大判・小判がザアックザクッ!(^^)!・・・か、どうかわかりまへんが・・・柏峠よりの展望、四国遍路、

 とにかく清水が湧き出て、娘がその水を飲んで眠気も覚め、おまけに持病も治ったという伝説が有る所です。

 尾根道となり柏峠付近では、雲が下に有り遙か向こうの宇和海に島々が点々と見えて、ええ景色でっせぇ。

手拭の遍路札

 下り道に入ると「茶堂」休憩所の東屋が在り、きっとここでも多くの遍路がそこで一休みした事でしょう。

 ここの東屋からすぐに道が二手に分かれており、一巡の時はどっちへ行ったらよかんべぇ・・と迷った所なんです。

 その時、ふと見ると右手の道の小枝にまだ新しい手拭いが結んであり、「こっちだよ~ん」と手拭いにマジックで書いてあります。「茶堂」休憩所、柏峠越え、四国遍路

 実に迷った人の心境をつかんだ言葉なので、読んだ時に思わず笑っちゃい、結んだ人はユーモアの有る人でんなぁ。

 この手拭いが無かったら、始めての人はホンマに、どっちへ行こうかと迷ったと思う。

 結んでくれた人は、きっと自分の持っていた新しい手拭いを、惜しげもなく小枝に結びつけ、だれとも知らない後に続く幾多の遍路のためにへ遍路札としたのでしょう。

 三巡目に行った時、その手拭いは3年の風雨に耐えて残っておりましたが、縮んで薄黒く汚れて目立たなくなってました。

 しかし、それを守るかのように当時は無かった遍路札が、その付近に幾つか付いています。

 役目を終えた汚れた手拭いが有った事を、今はどれだけの人が知っているでしょう。

「追の川」で接待

 二巡の時、津島町「鴨田」から山越えをして満願寺へ向かいましたが、最初は入り口の道がよぉ~わからず、やっと道端で標識を見つけました。

 暑い盛りだったので、まずは国道沿いの農協スーパーで、氷アイスを日陰でガリガリ食べましてなぁ。

 見つけた旧県道らしい舗装された道を、暑さでフラフラと歩き、あんまり遍路が通らないコースなもんだから、標識もあんまり有りまへんでしたが、それでも何とか見当をつけて山越えができました。

 「追の川」に店が有り・・氷じゃ、氷じゃ・・とさっそく、再び氷アイスをガリガリ食べて休み、汗が引いて行くなぁ・・・・!(^^)!「元屋敷」付近、四国遍路

 氷アイスをガッついて食べてると、近くで川の工事していた人達が休憩時間になったらしく、今まで聞こえていた音が止み、付近の公民館の日陰で休み始めます。

 工事の人が店へ来てジュースを袋に入れて買って行き、「はい」と言って、ワシらにも一本づつくれました。

 ちょうど冷たいコーヒーも飲みたいなぁ・・と思ってた所で、ありがたかったぁ。

 そのうちスイカの大きいのも持ってきてくれ・・・うっ、コーヒーも飲んで腹が水膨れで一杯なんじゃけど・・・。

 しかし、せっかくの好意ですから、まさかスイカを持って歩くわけにもいかんしぃ。

 越後屋が「とても食べれない」と言うのでワシが、ガマンして全部食べました。

 工事の人達は「グループで車遍路をしており、歩いてる人を見ると苦労がよぉ~わかる。」と言って、えらい同情してくれます。

 すんまへん・・信心も無く好きでホッツキ歩いてるだけなのに・・・心が痛むなぁ・・。

満願寺

尺八談義

 のどかな田園風景を見ながら、あんまり人が通らない車道をテクテク歩き、満願寺に着き参拝して、その日の行程は終わりました。

 翌朝、再び満願寺へ行き昨日も尺八を吹いて参拝したのですが、せっかくだからと思い本堂へ向かって一曲吹きました。満願寺、四国遍路

 吹き終わると突然本堂の障子戸が開き、住職が正座しており声を掛けてきました。

 昨日来た時は、だれも居なかったので無人かと思ってたので、ビックリしちゃった。

 きっと曲が終わるまで障子の陰で、ジィッ~と正座して待ってたんでしょうなぁ・・・けっこう長い曲だったのに・・・

 住職は自分も独学で尺八をやっており、時間が有れば少し尺八の話をしないかというので、どうせ先を急ぐ遍路でもないので喜んで了承しました。

二重柿

 住職と尺八を吹いたり話しをしてる間、越後屋は住職の奥さんと話しをしてます。

 ここは紅葉が綺麗だそうで、写真家が撮りに来た時の写真を見せてくれたり、この寺の不思議と言われる「二重柿」を冷凍庫から、わざわざ出して見せてくれます。二重柿・満願寺、四国遍路

 この「二重柿」は柿の中に柿があり、種も種の中に種が有る珍しいもので、口でゴチャゴチャ説明してもわからんやろおから・・と、見てわかるように柿の中身を切り凍らせ保存してるのだそおです。

 別名「子持ち柿」と言われており、子供に恵まれない人は、この柿を欲しがるそおですが、数に限りが有る物ですから、頼んでも貰えるか、どおかわかりまへん。

 それにしても、珍しいモンですわなぁ。

遍路道

 住職は遍路道も研究しているそうで、地図では「不明確のため不通」と記してある山越えの遍路道も地元の人達と発見し茶店跡もあったと言います。「野井」付近、四国遍路

 ワシらが、その道を通ってトンネル出口まで行く予定と聞くと、遍路道の入り口まで車で乗せて行こうかと言ってくれましたが、歩いてみたかったので入り口の特徴だけを聞きました。

 満願寺を後にして、テクテク歩いてると空模様が怪しくなり雨が降り、山の車道でドシャブリになりました。

 人家が無いので道の木陰で雨具を着て、夕立だからすぐに止むと思ってジィッ~と立ったまま雨宿りしてましたが、なかなか止みません。

 そのうち雨水が小川のように道の上を流れ始め、靴をグッショリ濡らし始めます。鬼百合の群生、四国遍路

 こりゃあ・・待ってても同じだわ・・と歩きはじめましたが、雷も鳴ります・・おっかねぇなぁ・・・

 遍路道の入口に、コンクリートブロックが置いてあると聞いていたので、探しながら行きました。

 しかし、そのブロックの大きさを詳しく聞いてなかったので、工事用の大きいブロックだと勝手に思っていたので、道を見つける事ができませんでした。

 でも途中で家庭用のブロックが数個、山際に置いてある所を一箇所見つけてます。

 まさか、それではねぇじゃろおう・・・と思って通り過ぎましたが、後になって思うには、たぶんあれが、そおじゃったんじゃろおなぁ。


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。



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