HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」 > 3 「苦」を取るか・・
H15/10/11 UP
北宇和島から龍光寺へ県道をテクテク歩きましたが、この箇所は、いつ来ても暑い盛りに歩いたなぁ。
JR務田駅が見える所から、両側が田圃になってる真っ直ぐの道を行くと龍光寺へ行きます。
龍光寺までの住宅を歩いてると、人家から背広姿の紳士が出て来て、道端で待ってた数人のオバチャンと少し立ち話して一緒に歩いて行きます。
手にパンフレットのようなホルダーを持っており、ははあ~ぁん・・・あちら系の某新興宗教団体の勧誘だな・・・日曜日だし・・と思いながら追い越し際「こんちわー」と声をかけました。
向こうも挨拶を返してくれましたが、きっと「邪宗に惑わされて、ホッツキ歩くカワイソーな人」と思って見られただろなぁ・・・(^_^;)
龍光寺から佛木寺への遍路道は、龍光寺・鐘楼すぐ下の道を右へ行きますが、よぉ~間違って今来た階段下の鳥居の所まで降りちゃって、「四国の道」が遍路道と思って歩いて行く人もおり、けっこう遠回りらしいでっせぇ。
佛木寺までは、そんなに遠くなくコスモスが植えてある歩道を歩きます・・よぉ~手入れしてありまんなぁ。
佛木寺の境内で休んでるとジサマ遍路が来て、食堂か店が有ると思ってたが何も無いと言うので、持っていたスーパーで買った餅をあげました。
そおなんですわ・・龍光寺からは歯長峠を越して下宇和付近まで行かないと、その間に店も食堂も無いんです。
佛木寺前にも店は有るけど、腹の足しになるような物は売ってなかったような気がする。
腹ごしらえをするなら、龍光寺下の鳥居付近の食堂で何か食べとかないとね。
それでも昼頃に食べようとすると団体予約が入っており、スペースが無いもんだから個人だと断られる事があります。
一巡の時はかろうじて二人分の座席を空けてくれて食べれましたが、まだ来ぬ団体用の料理がズラッ~とテーブルに並んでおり、佛木寺であったジサマ遍路も、団体が一杯で断られたと言ってました。
食料を持ってなかったら、ガマンして団体が居なくなるまで待たないと、途中で腹が減って行き倒れになりまっせぇ。
三巡の時、仏木寺の休息所の東屋で、淡彩画の色紙を売ってる人が居て、拝見すると明るい色を使い、画題は一人または二人の遍路が遍路道を歩いてる風景です。
ワシも以前チビッと水彩画をやっていましたが、色が濁ったり描き過ぎの状態になったりで挫折した事があります。
水彩画の描き方等を質問したりして少し話しをし、後でわかったのですが水彩画家の山口博さんでした
仏木寺での参拝が終わり山門を出ると、待っていたように近寄って来て、ぜひ水彩画を描きなさいと勧めに来てくれ、ワシの参拝が終わって出て来るのを、ズウッ~と待っててくれたんですねぇ。
ううむぅぅ・・水彩画を描きながら遍路するのもええけど、今は尺八で手一杯じゃからなぁ。
どっちつかずになる恐れがあるし・・・と思いましたが、それは言わずに礼を言い、もし絵を描くとしたら、時間を全然気にしないで歩けるようになってからだと思う・・今はいろいろと制約が有るので。
歯長峠には、かの有名な「苦を取るか、楽を取るか・・」の立札が有り、いつも「苦」を取ってます・・なんせ、いつも楽ばっかりしとる人間なもんで・・
思えば一番最初の車遍路をして、この歯長峠を通った時は小雨模様でした。
その時、一人の歩き遍路が歩いるのを見て「おぉぉ・・たいへんやのおぅ、この小雨の中を・・遍路道は、この車道のどこかから入るんじゃろおぅ」と思って通り過ぎました。
遍路道の歯長峠は、見送大師の鉄塔から下り坂で、そこから下宇和付近が遠くに見渡せる切り開いた箇所が有ります。
そして、たぶん多くの人がここで立ち止まり、歯長峠を越した安堵感で、この景色をしばらく眺めた事でしょう。
歯長峠の麓へ降りて下宇和の国道を歩いてると「導引大師」という、民家の庭先のような所にチッコイお堂があります。
たいていの人は気が付かないか、気が付いても「ふぅ~ん・・・」と外から眺めて通り過ぎるだけだと思い、ワシも大した事あるめぇ・・と「ふぅ~ん・・」の方でした。
二巡の時、大宝寺で出会った若者が「「導引大師」の仏像を見てみろ・・」と、他の遍路に教えられて拝見し、その時の自分にとっては得るものが有った。」と言っていたので、縁が有れば参拝してください。
明石寺へ向かう途中、遍路道は人家の密集した狭い道を入るようになっており、ホンマにこの道へ入って行って、ええんだろおか?・・だれかの家の玄関先に出ちまったらハズカシイなぁ・・・と躊躇していると、丁度、朝の散歩中のジサマが親切に教えてくれ、自ら先頭に立ち案内してくれました。
グラウンドのような所まで出ると、明石寺への道順を丁寧に教えてくれて別れました。
ジサマが案内してくれなかったら、途中の横道に入るT字路に気が付かず、そのまんま真っ直ぐ行ってドエレエ目に遭う可能性がありました。
二巡の夜、明石寺付近で野宿しましたが時間があったので、夕暮れの中をグランドで少年野球が練習してるのをヒマそうに腕組みしながら見てました。
少年野球のお母さんが、子供の送り迎えをしており・・・大変でんなぁ。
しばらく見ていると、投手がσ(*_*)に気が付いたようで、帽子を取り大声で「コンチワー」と挨拶します。あらぁ~・・OBと間違って見学か気合い入れに来たと思ったのだろか。
立ってエラソーに腕組みして「お前らぁ・・たるんどるぞぉぉ・・」という風に見えたのかもしれません。
少年野球達はキビキビ動いており、挨拶されてすぐにコソコソと出て行くのもカッコウ悪いので、もう少しエラソーに見てから出て行きました。
上宇和から鳥坂峠へ向かって国道をテクテク歩き「正信」のバス停で一休み・・ここもきっと多くの遍路が休んだ所で、鳥坂峠を越えるか、長いトンネルを通るか迷ったと思う。
σ(*_*)は、いつも鳥坂峠を越えており、峠道は静かで、ええ所でっせぇ。
一・二巡の鳥坂峠を越えた時、「日天月天さま」が有る少し下った所の道は草が生い茂っており、道幅が広いので道はわかるのですが、ヘビが出るかもしれんと思った所でしたが、三巡目に行った時は、キレイに除草してありました。
最近の遍路道は、地元の人とか、だれか除草してくれる人が居るようで、数年前と違って草を掻き分けて行くという事が少なくなりましたなぁ・・ありがとうごぜえます。
雲辺寺で一度、常に鎌と小型鋸を持っている遍路と話した事がありますが、σ(*_*)は、せいぜい道に伸びてきた小枝や草を手折る事ぐらいです。
一巡の時、札掛大師へ行く途中で道に迷いました。
二巡目の時、遍路道を下った所に有る崩れかかった小屋付近で、ようやく札掛大師へ行く遍路道を見つけ、小屋の横を通り抜けて行くのでしたが、草が繁っており遍路札も掛かってました。
しかし、よほど注意しないと、そこに道が有るとは思わず、ワシと同じように、たいていの人は下りの舗装道路を歩いちゃったと思う。
その遍路道を通ると、すぐ札掛大師堂の裏に出ちゃって、今まで道に迷って舗装道路を歩いた遠回りしたのは、なんじゃったんじゃろ・・という感じです。
三巡目に行った時は綺麗に草が刈ってあり、遍路札もわかり易く付いているので、たぶん以後は迷わないと思います。
この札掛大師では、山門の所に青いビニールシートやら不要になったと思われる扉等を積んでありました。
もおチット見栄えを良くして、目に触れないような所へ隠しておく等すれば、ええんだけど・・・事情が有って、しょうがないんかなぁ。
車が走り回る国道を、大洲市へ向かってテクテク・・・・大洲市に「臥竜苑」というのが有ります。
最初は何かな?・・金も取られる所のようだから、見なくてもいいや、大したことあるめぇ・・・と思ってたのですが、三巡目の時に話しの種にでもと思い早朝に寄ってみました。
そしたら朝早く着き過ぎましてなぁ・・開園時間まで近くの河原でボケェッ~とし、紅葉の時期だったので、河原から見た「臥竜苑」の紅葉も綺麗でした。
開園時間になって行くと、ネエチャンが門の所を掃いており「すんまへんねぇ、早くから来ちまってぇ・・」と言い入園の許可をもらいました。
ネエチャンも「いえいえ、落ち葉が溜まってますから掃いてるですよ・・でも、落ちてる落葉も見る人が居るので、全部掃かないんです。」と言います。
地面には、色づいた紅葉が沢山落ちてましたが、それを全部掃かずに、少しだけ残すなんて初めて知りました・・・風流心が有る所でんなぁ。
狭い玄関の隅っこに、笠やら杖やらリュックを置かせてもらい、他に客も来ないので、ネエチャンが付きっきりで案内してくれました。
尺八を入れとる筒を大事そうに片時も離さず持ち、デジカメで庭をバシャバシャ撮っとるもんだから、ネェチャンは筒の中身はカメラの三脚と思ったらしく、庭で三脚を立てないように注意します。
尺八が入ってるのだと言うと、庭は歩いて写真を撮ってもええが、室内での撮影はダメと念を押され「庭の奥に建物があるから、そこで尺八を吹いてみたら?」と言われたので、それもええかも・・と庭を歩き建物へ行きました。
明治の頃、だれだったか忘れちまったが、金を注ぎ込んで作った建物や庭だそうで、今の時代では、もう作れないらしく、それだけの作意工夫がしてあります。
尺八を一曲吹いてみましたが、やっぱり庭を眺めながらの方が良く思い、飛び石で立ち止まりながらユックリ歩きながら吹いてみました。
そのうち、他の客も来たようなので止めましたが、一足歩いては立ち止まって庭の景色を見てもスキが無く、どこの方向を見ても全てが美しく調和しており見事な庭作りでした。
「時間が有れば、もっとユックリしたかったなぁ。」とネエチャンに言うと、「それでも長く居た方です。他の人は時間に追われてるのか、もっと短時間しか居ない」と言います。
ううむぅぅ・・何を、そんなに慌てとるんじゃ・・もったいない・・落ち着いて、ユックリ見ていけ・・。
「臥竜苑」を出園する時、こちらから尋ねもしないのにネエチャンは、親切に地図を描いて札所への道を教えてくれました。
恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
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