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歩き遍路二巡・親の目・子の目
H20.8.23 UP
子供が48日目で帰って来ました。
真っ黒に日焼けして、予想したとおり出発した時よりも目の輝きが生き生きしてます。
途中、なぜか多くの小汚いカッコウの乞食遍路?と話をする機会が多く可愛がられ、その話しは面白くてタメになったと言います。
その一人が善通寺付近で知り合った人で、知らないうちに弟子にされてしまい、2日目でその人から逃げ出したそうです。(^^;)
息子を弟子にしようとした遍路の事を、よくよく聞いてみると、どうもワシらが「ひわだ峠」の東屋でマンガを読んでた人らしいので
σ(*_*) 「その人、熊さんと言ってなかった?」
子 「うん、そう言ってた。」
σ(*_*)「あの人は、マンガばっかり読んでいたけどなぁ・・・」
子 「うん、マンガを拾って読んで、そこに置いて行き、そのマンガの新しさでくまさんが、
何時ここを通ったかわかるらしい。」
歩き遍路をしている人で、「熊さん」「こうさん」という名を聞いた事が有る人も多いと思います。
「こうさん」とは、まだ会っていませんがウワサを聞いた事があり、どちらも永年歩きながら四国を巡っている人で、歩き遍路している人の間では有名な人です。
なんで「熊さん」が弟子にしようかと思ったかというと、どこかの寺で「熊さん」が団体参拝客の態度等を黙って見ていたそうです。
団体参拝客は正門を通らずに、駐車場脇から寺へ入ったのですが、子供は正門から入って、正門から出てキッチリと礼もしたので、こいつは見込みが有ると思ったらしい。
で・・その晩は、どこかの堂に一緒に泊まったらしいですわ。
そしたら「線香とローソクを一晩中消えないように番していろ。」と言われ、居眠りこいたら頭を叩かれたそおで、睡眠不足になったそうです。
その頃の子供からの電話では「何か知らないうちに弟子にされており、歩く速度も遅いので、まだここまでしか来ていない」と言ってました。
しかし、熊さんは見るべき事は見ているようで「たまには寺に一日居て、寺がどのような事をするか見ていろ。 大師堂の前だけ綺麗にして横は掃除してなく、裏へ回れば不要な物が縁の下に押し込んである」・・・云々・・・と、その寺の善し悪しの見方を教えてくれたそうです。
また「体が疲れてる」と言うと肩をビシッビシッと叩いて活を入れ、「足が痛い」と言うと足裏のツボをギュッと押さえるとアラ不思議、アッというまに治ったと言いました。
子供もさすがに睡眠不足でまいったのか、熊さんと離れて寝た時に、逃げ出したそうですが熊さんも子供の気持ちを知っていて、ワザと逃がしてくれたのかもしれないと言ってました。
まくた子供の考えている事を、ズバリとよ~当てたそうですので・・・(^^;)
子供は今回88箇所を全部巡らず、少し寺を飛ばしました。
σ(*_*)「なんでや?」
子 「途中出会った遍路から、全部巡らず残しておけ。
お前は、もう一度巡りに来るようになっとる。」
と言われたそうです。
まぁ・・そおいう考えも有りますわねぇ。
本人も、また巡りたいと言ってますし・・・(^^;)
また、他の遍路からは
遍路「お前は何故、本堂等で経を唱えるのか?
お経の意味もわからずに唱えても何にもならん。
かえってお大師様に対し失礼だ。
むしろ願い・祈りを心の中で何百回も唱える方が良い。」
別の遍路「線香・ローソクを立てたら、それが燃え尽きるまで寺に居るのが本当だ。
線香は御大師様を呼ぶ道筋、ローソクはその明かりとなってなっており、
御大師様を呼んでおきながら、燃え尽きる前に、
サッサッと寺を後にするのは御大師様に対して失礼である。」
その真偽は別として、ワシラよりも、いろんな事を教えられたようです。(^^;)
01/07/23記載
聞いてみると、ワシラが会った人とも出会ったようです。
難しい専門用語を使って、仏教の本質を教えてくれた「庵の坊さん」。
ホントは、この庵の前を通る際、庵に案内を乞わず、もし偶然に坊さんが外に出ていて話す機会が有った時のために、手紙を持たせて一泊の情にすがらせようかとも思い、文まで考えたのですが、それも「縁」と思い何も持たせませんでした。
ただ「この庵には、こういう坊さんが居るから、話す機会が有ったら、話しを聞いて来い」とだけ言いました。
子供が庵の前を通ったら、何か作業をしてる人が居て「遍路さん、コーヒーでも飲んでいかんかね」と声掛けられたので休んだら、その声をかけた人が「庵の坊さん」でした。
坊さん「どっから来た?」
子 「室戸」
坊さん「おぉぉ・・室戸に遍路しとる人で、変わった人がおったなぁ・・・
これ・・こんなような人で・・」
子 「それ、ぼくの父です。」
坊さん「ええっっ?・・ホントか?・・・
ちょっと待て、今、カアチャン呼ぶわ。
そぉ言えば、よぉ似た顔しとるなぁ。(^^;」
それから延々3時間ほど話しを聞かされ、やっぱし、よ~わからんかったそうですが、それでも因縁というものが少しわかったようです。(^^;)
また、坊さんも、えらい子供が気に入ってくれたらしく、盛んに「お前は良い奴じゃ、もし行く所が無かったらいつでもここへ来い。」と言ったらしいです。
帰りしな「お前の父さん、ガンコやからなぁ。頭の中で考えず、心の中で考えろと伝えておけ。」と伝言までしてくれたそうですわ。(^^;)
また、松山市内の寺で物書きの人と会ったと言うので
σ(*_*)「ふぅ~ん、どこの寺?・・ワシらが会った小説家かな?」
子 「遍路の事を題材にしていて、山門に犬が居た。」
σ(*_*)「あっ、その人だわ。石手寺まで案内してくれた。(^^;)」
子 「うん、ぼくもそこまで案内してくれて、ジュースを接待してくれた。(^^;)」
昨年末に小説を出版すると聞いてたんで本屋で気にかけていたのですが、まだ見つけていません。どなたか本を見ましたか?
01/07/25記載
いろんな人から、接待を受けたようです。
88番から1番へ行く途中、卯辰山越えをする時に雨に降られ、ガード下で雨宿りしていたら、車がUターンして声をかけてくれて、その人の家に泊まらせてくれたそうです。
年金暮らしのジサマとバサマの二人暮らしのようで、風呂へ入らせてもらい、食事も食べさせてもらい、着てる物が濡れているとわかると、シャツとズボンを、わざわざ買いに行き接待してくれたそうです。
実は子供が某地域にて野宿した時、翌朝、目が覚めたら洗濯して干しておいたズボンとパンツと、やはり外に出しておいた笠・杖が無くなっており盗まれました。
予備のパンツとズボンは、リュックに入れてテントの中で良かったですが・・・・
女物のパンツだったらまだしも・・・野郎のパンツなんか持って行ってもねぇ・・・・・・
杖は途中の山登りの時に折れてしまったのですが、気は心と、その折れた杖の片鱗を大事に持ち歩いてたらしいです。
某地域付近で野宿したり、荷物から目を離すと危ないと言うウワサは聞いていたのですが・・・やっぱしねぇ・・・・
まぁ・・ケガとか、お金でなくて良かったです。
また別の日では、雨が降り始めカッパを出そうかと迷っていた時、通り過ぎた選挙カーが
「お遍路さん、ご苦労さまです。傘持っていますか?接待します。
なお、これは選挙違反の贈収賄ではありません。(^^;)」
と言って傘をくれたそうです。
厳密に言えば違反でしょうが、なんとなく微笑ましく思います。
最後の結願日に室戸の御蔵洞へ寄り、ここで空海が修行した所かと思いながら、洞の中より海の方向を見た瞬間、信仰心の無い子供でも思わずジワッーと来たそうです。
最後の最御埼寺への遍路道を上がり始めた時も、出発の日を思い出し感無量でジワッーと来たそうです。
この気持ちは多くを語らなくても、よ~わかります。
歩き遍路の特権意識と言われるかもしれませんが、これは山登り・仕事等の到達・完成感とは全く異質、それ以上のもので、歩き通した者だけがわかる、「満足」「充実」等という言葉以上の、何と言って表現すれば良いかわからん達成感です。
きっと最後の遍路道を登りながら、雨の日、つらかった日、嬉しかった事、多くの出会った人達の事を次々と想い出しながら一歩ずつ上ったことでしょう。
01/07/27記載
掲示板読者のコメント
「息子さん、無事ご帰還おめでとうございます。 ありがとうございました。
一つ、一つが、私のために、教えていただいてるみたいでした。
σ(*_*)のコメント
そおですね。
私以上に、何かを一杯吸収してきたようです。
遍路の事等については、私と対等に話しが出来る知識を持ってました。
ヒョットすると、それ以上の事を得てるかもしれません。
私が出会った遍路以上に、多くの何十回も巡ってる遍路と話してきたんですから・・。
やっぱし、野宿・通し打ち遍路が、一番何かを得る機会が多いと思います。
子供から聞いたのですが、ある遍路さんが話してくれた経験談の中で、どこかのコンビニに入ったら店長と女店員が口ゲンカしており、「私は、一生懸命やったんです。」と盛んに店長に言ってたらしいですわ。
そしたら、それを聞いていた遍路が女店員に
遍路「一生懸命と言う言葉は、死んでもやりとげるという覚悟の言葉であり、
軽々しく簡単に、一生懸命という言葉を言うな。
それだけの覚悟をしてやってたのか。!!」
と言ったら、女店員は泣いちゃったらしいですわ。(^_^;)
子供は、その話しを側で聞いていて、その通りだと思って感心したそうで、親がエラソーに説教垂れるよりも、他人の話を聞いた方が素直に身にしみるようですね。(^O^)
子供も今時の若いモンも、全員遍路をやれば大部世の中が変わるじゃろおなぁ・・と言ってました。
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掲示板読者のコメント
「「接待?」最初、よく意味が分かりませんでしたが・・・」
σ(*_*)のコメント
ああ・・これは、私も遍路して初めてわかったんです。(^_^)v
四国以外の地(本土)で、ホッツキ歩いていても、おそらく、こんな風習は残っていないでしょう。
また、この風習が残ってるから、歩いてる人は、もんのすごく励みになり助けられて来たと思います。!(^^)!
ただ、これを利用している人が居るのも事実であります。
子供が会った人の中に「接待をするのも、受けるのも当然である。」と、はっきり言った遍路が居たそうです。
その人は遍路で自転車がパンクした時、自転車屋で直させて絶対にお金を払わなかったと言います。
さすがに、子供もこの遍路は間違ってると思い離れたのですが、予定の野宿場所に、その遍路が先に居たので、やむなく先に進み野宿場所を探したそうです。
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掲示板読者のコメント
「たぶん、お遍路歴の浅い息子さんの下着・ズボンは、結構新しく見えたのではないでしょうか?しかも、お洗濯したて!」
そりが、けっこう使い古した物だったらしいですわ。(^^;
遍路の件に関して、どちらかと言うと今まではキレイ事・良い事ばかり書いておりましたが、上記のような人も居り、また子供のように物を盗まれたり、危ない目に会った話も聞いております。
子供が盗まれたのは、それだけではなく、未遂でありますが、どこかの駅で疲れてベンチでボォーと休んでた時にジサマが寄って来て子供の荷物の中を探そうとしたらしいです。
子供は気がついてジサマと目が合ったので、そのままジサマはどこかへ行きました。
同じ遍路だから物は盗まれないだろう、危害は加えられないだろうという補償は何一つありません。
また書かなかったですけど、私が1回目の歩き遍路をしている時、寺で参拝してる間に、荷物も笠・杖も全て盗まれ、道端で途方にくれて地元の人と話している遍路にも会いました。
こおいう事を書こうか、どおしょうかと少々迷いましたが世相を反映してか、ごく一部の人達による「負の現実」もあります。
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掲示板読者のコメント
「もっともっと、お遍路のお話をしてくださいね。
父さんとは、またちがった味わいがあって・・・楽しみです!」
そりがですねぇ・・・・・
私の場合は、ここ(掲示板)に書く気があったので忘れんうちに書いたのです。
皆さんの期待に沿うように子供から話を聞いてるんですが、もう大部忘れてしもおたらしいですわ。
本人も日記を付けておけば良かったと言ってますが、もう・・遅いですわなぁ。(^^;
01/07/29記載
「庵の坊さん」が言った「頭で考えるな、心で考えろ」という言葉は、σ(*_*)の迷ってる心底を鋭く見抜いた言葉で、今日に至るまで尺八を吹いて遍路しながら何事も「心で考える」ように努力しとります。
しかし、その努力成果も修行態度が不真面目なためか、はたまた信心が足りんためか・・・たぶんその両方を併せてるためでしょうが、あんまりその成果は表れず、今も「頭の中で考える」という煩悩が舞い踊っております。
「庵の坊さん」としては、σ(*_*)を弟子にしたいような感じだったので、「仏教の事」について「そのように考えてみろ」と言ったのだと思いますが、σ(*_*)としては「尺八の事」という風に、あえて解釈しとります。
そいで、その解釈は今も間違ってないと思い、尺八には技巧とか何とか、いろいろとややこしいモンが必要かもしれまへんが、それでもやっぱし最後に突き詰めれば「心」で吹くもんだと思っとります。
やっぱし、σ(*_*)は、どうしょうもねぇガンコモンなんでしょうか・・・
そおですか・・やっぱし、ガンコでしたか・・・シクシク・・・・ワアァ~ァァン(T_T)
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