HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第三章「目次」 > 
        歩き遍路二巡・11 親の目・子の目

  H20.8.16 UP尺八を携え歩いた四国遍路


親の目・子の目

子供の遍路旅立ち

 ワシの子供が昨日から、遍路へ旅立ちました。
出発。四国遍路記
 普通は1番霊山寺から始めるのでしょうが、それにこだわらず近くの室戸24番最御埼寺から出発させ、その日だけ越後屋が一緒に歩いてやり、遍路マークの見方や寺での作法等を教えました。

 当日は梅雨入りの日で、朝からドシャブリの雨・・
 盛大なる雷まで鳴ってくれ、自然は遠慮会釈もなくハデな壮行会を開いて出発を祝ってくれます・・・アリガタイコッテス・・・。

 まぁ・・後日、雨が降って装備不足等を点検する事を考えれば、早めに試練に耐えといた方が良かったでしょう・・ホンマニ、アリガタイコッテス・・・。
親子遍路
 で、親バカなもんで、高知市までは車で2時間範囲なので、今週だけは歩いた所まで送り迎えをして室戸の家に泊めてやります。

 ホントは、最初の1日だけ泊めてやって、後はどっかの橋の下とか、公園・駅舎等で野宿するなりして、自分でナントカせい・・と・・突き放した方が良いんでしょうが・・・

 そお、できない所が・・なんとも言えん・・親の甘さ弱さでんなぁ・・・(;_;)
双海
 しかし、今週の土・日で高知市内を過ぎると思うので、それからは自分一人で頼るモンは居ないようになります。

 来週の土・日は、ワシらが打ち止めている中村市付近まで歩いとると思い、ワシらもその続きを歩くのと、子供の様子を見るのを兼ねて足摺岬付近を数日一緒に歩くつもりです。

 はぁ・・親バカですねえ・・・・やっぱす・・・(T_T)。

 今、歩いてる若いアンチャンやネエチャンの親御さんも、きっとワシと同じように心配しとる事でしょう。

 他の歩いてる人達は、何もわからず準備もアドバイスを受ける事なく、不安のままその第一歩を踏み出しますが、それと比較すると、オラとこの子は遍路準備等に対しては至れり尽くせりで、ホンマに恵まれております。

                       01/06/07記載

親の目

 息子が足摺岬手前付近まで行ったので、私も休みを貰って足摺方面を数日一緒に歩いてきました。

 息子は高知市付近から、野宿しており様子を聞いてみました。
双海
 道端の東屋に泊まった時は、蚊が飛び回り2・3時間しか眠れず・・・、

 別の日は、橋の下のベンチで野宿して寝ていると、突然、野良犬が飛び乗ってきて、ビックリして野良犬と共にベンチから転げ落ち、おまけに、その犬に朝食用に持っていたパンをカッパラわれたとか・・・

 それなりの苦行は、しとるようです(^_-)。

 犬もベンチの上に、何かわからん物が横たわってるんで、ゴミか何かだと勘違いし、エサでも無いかと飛び乗ったんでしょう。(^O^)

 ○○寺へ行った時は、そこに通夜堂が有るから、寺の人に頼んで泊めてもらうか、寺に人が居なかったら、境内に板敷きの開放された休息所が有るから、そこで野宿しろと教えてやったんですが、ワシと同じく気が弱いもんで、せっかく教えたのに近くの神社で野宿したようです。(^_^;)マァ・・イイケド・・
下ノ加江へ
 寺では、団体バスで参拝しとるバサマ達から取り囲まれて、盛んに
「エライ、エライ・・」と誉めまくられ、はたまた、わざわざ息子を拝んでくれた信心深いバサマも居たようです。

 今までワシと一緒で、あんまり誉められた事が無い人間なもんだから自信というか、なんか、そんなもんを持ったようです。

 それと、やっぱし「接待」ですね。

 暑い最中、坂道を登ってると車が追い越し際に声かけてくれ、冷たいジュースの一缶の接待が、どれほどうれしかった事やら・・・何度も、その事を言います。

 歩いてると同年代の自転車旅行や他の歩き遍路とも話す機会が有ったようで、いろいろ野宿の知恵を授かったらしい。

 この時期、寝袋と蚊取り線香だけでは、蚊の襲来には勝てず、寝袋の代わりに一人用テントを持った方が良いと教わったらしいです。
大岐海岸
 で、親バカなもんで、ホームセンター等を駈けづり周って探しましたが、なかなか見つからず、やっと2人用のテントを見つけて持たせてやりました。

 家を出る時、整髪料の缶スプレー1本を、どおしても持って行くのだと言って聞きませんでした。

 そのたった1本の缶が、歩く時の荷物の負担になるから、置いて行け・・と言ったんですが・・本人は
「頭のナニ(禁句:髪の毛の事)が薄くなったらどおするんじゃ」と言うので、好きにさせましたが、今回会った時やっぱり不要で置いて行くと言いました。

 そぉですわなぁ・・野宿しとったら、そんなヒマ有りませんわなぁ。
 風呂だって毎日入れるわけじゃねぇし・・・
大岐海岸
 今回だって、自分の汗の臭いがわかるくらいだったもん。
 この際、そんなナリフリに構っとれんですわなぁ。

 「遍路とは、歩けば歩くほど捨てて・・捨てて・・全てを捨て去り・・」という言葉の意味が少しわかったようです。
σ(^^;は、欲深いもんで、あんまり捨てとらんけど・・・

 
「遍路して良かったと思うか?」と聞くと、「良かった。同年代の若者、全てが遍路してみた方が良い」と答えてくれます。

 ただ、雨の時の歩きは、ホントにイヤでたまらず、途中で止めてバスにでも乗って家へ帰りたいと何度も思ったそうです。
大岐海岸
 そぉりゃあそおです・・・ワシでも雨の中を歩くのはイヤだもん。σ(^^;)

 特に朝方、大降りの雨だったら、今日はヤンピしたいと思うのは人情でありましょう。

 それでも、自分で少しは忍耐強くなった、緻密性みたいもんは出来てきたと言っており、そりなりの効果は有ったようです。

 
「寺で般若心経を唱えてるか?」と聞くと、唱えない代わりに各寺の真言だけを唱えてると言う。

 アララァァ・・・越後屋のやつ、甘やかして、手抜きの方法を教えやがって・・・ッタク・・・
以布利海岸
 「信心が無くても良いから、お経を唱えろ。
  人が居るのに唱えるのは恥ずかしいのも、わかる。

  最初は小さい声でも、つっかえながらでも良い。
  その恥ずかしさに耐えて、人前で声を出すというのも修行である。

  遍路のカッコウして歩き、人様から接待を受ける身であるならば、それくらいの事をするのは当然で、それらの人々に対しても最低限の礼儀である。」

と言ったら、この次の寺からボソボソと唱え始めました。

 ワシらが室戸へ帰る時、振り返りもせずに黙々と道を歩いて行く、子供の後ろ姿を樹木の葉で見えなくなるまで見送りました。
金剛福寺
 これから再び、たった一人で孤独と不安に耐えながら、約1カ月余り・・・雨にも打たれながらも、遠くて永い道のりを歩いて行くんかと思うと、ジワッーと来て信心の無いワシでも、今回だけは心の中で無事を祈らずにはおれませんでした。

 もっと、いろんな遍路に関する話しや野宿場所、遍路道での迷い易い箇所など、いっぱい教えてやりたかったんですが、これも親の欲目でありましょう。

掲示板のコメント   

   掲示板読者のコメント
      「息子様の爪の垢をご送付ください。
       宅の息子に煎じて呑ませてやります。」

   σ(*_*)のコメント
       「爪でも靴下でも、ご要望が有れば、進呈いたしますが・・・
       果たして、どれだけの効能があるものか?・・・(^^;」


                                   01/06/21記載

その後の子供

 子供に毎日、必ずどこに居るか連絡するように言っておいたのですが、2日ほど連絡が無く行方不明になってましたが、やっと電話がありました。

 東屋で野宿してたら、急に横風と雨が降りはじめ、買ってやった安物のテント(2980円)の入口から雨が入って寝れなかったと言ってました。

足摺岬 いろんな接待も受けたそうで、バサマから塩と梅干し貰ったのは良いけど、仏像までくれたそうです。

 その仏像ちゅうのが、30cmほどのプラスチック製で中に砂が入っているらしく、歩くのに荷物になって重く、捨てるわけにもいかず、41龍光寺で訳を話して奉納してきたそうです。

 遍路する時に、頭をボウズにしてたのと作務衣も着ていたので、坊さんの弟子にでも間違えられたようで、参拝客から、
「どこの坊さんですか?」と、よ~聞かれたらしいです。(^O^)

 これから暑い時期、作務衣は、適度に風が入ってええですよ。
 夜、水洗いすれば乾きも早いし、越後屋も喜んで着てます。

見送り。四国遍路記 先日、息子が受けていた就職試験の結果が、不合格との連絡がありました。

 それを知らせた時、ショックを受けて遍路を止める・・と言うかなぁと思いましたが、
「自分でも不思議なくらい、淡々と「あぁ・・雨が降ってるなぁ」と冷静に受け入れて歩き続けれた」と言います。

 もうすぐ行程の半分近くになりますが、これを聞いた時、ホントに遍路をやらせて良かったと思いました。

                          01/06/23記載



 

編集後記(親子遍路)

 この頃、子供は専門学校に行ってましたが中退して、就職先が決まるまで家でゴロゴロしとったので「遍路してみるか?」と勧めたら、やってみると言ったのがきっかけです。

 なお、写真の一部中央付近に、オレンジ色の塊が写ってる物があります。

 こりはですなぁ・・それはそれはオトロシイ、タタリとかの怨霊が漂ってるのが、偶然に写ったのでは無く、単にデジカメのレンズに指紋が付いちまって、こんなのになっちまったんです。

 


  HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第三章「目次」   前ページ    次ページ



以下、広告です。