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 尺八を携え歩いた西国霊場  H17.9.9 UP    


上醍醐寺での尼さん/西国33観音霊場記

 やがて建物が見え、西国33観音霊場の11番札所「上醍醐寺」に着いたよおです。醍醐水

 階段を上がると霊水(醍醐水)が出てるというお堂があり、それがまた古そうな余りにも立派な建物だったので、山の上だからこれが本堂かと勘違いしちまった。

 そいじゃあぁ、ありがたい水でも飲んで・・と思いながら近寄ると、オバハン達の「キャッ・キャッ・・(^O^)」と笑いながら話す声と共に、「チリン・チリ~ン」という懐かしい遍路の鈴の音が聞こえてきました。

 音のする方を見上げると、白装束の一団が階段を降りて来て、おぉぉ・・これは珍しい・・こんな所で遍路装束の人と出会うとは・・と思い、良く見るとどうも違います。白衣の女行者集団

 笠ではなく、頭に行者のような白い頭巾のような物を被っており、女の行者の一団のよおでした。

 それでも、おぉぉ・・やっぱし珍しい、女の人の行者集団じゃ・・と思ってデジカメを取り出したが間に合わず、階段を降り始めちゃっい後姿しか撮れなかった。

 本堂(准胝堂)横の休息所で一休みしていると、どこかの団体が来てるらしく先達が般若心経を唱えてるのが聞こえ、なかなか年期の入った読経です。

 本職の坊さんかもしれんと思い、堂へ参拝に行くと10人ほど引き連れたホンマモンの坊さんでした。准胝堂

 しかも尼さんで、有名女流作家の瀬戸内氏と体格・風格も似ており、ヒョットしたら本物じゃねえかと思ったが当然違ってます。

 堂内部の後ろ隅っこで、ボケェッ~とその尼さんが主催する参拝風景を眺めながら、けっこう丁寧にやっとるなぁ・・と思い、参拝が終わるのを待ってました。

 やっと参拝が終わったと思ったら、「何たらかんたら・・・」と言いながら、折り畳んである経本を扇のようにバラバラバラ・・・・と移動させ、あら・・まだ、オマケが有ったのね。五大堂

 それが終わって、よっしゃあぁあぁ・・今度こそ終わったなと思ったら、今度は何かを唱えながら気合いを入れて、その分厚い経本で信者?を一人ずつ背中やら腹やらを、バシッバシッ・・と思いっきり叩き始め、あら・・まだ続きがあったのね。

 おおかた悪霊退散か何かなのでしょうが、あんだけバシッバシッと叩かれちまったら、そりゃあぁ悪霊じゃなくとも、σ(*_*)でさえビックリして逃げ出しちまいますがなぁ。

 尼さんの参拝風景を見物していても、どこかへ悪霊が逃げ出して行く姿も見えず、いつになったらバシッバシッが終わるかわからんし・・・・

 この先、まだ参拝の締めとか、祈りだとかの付録が残ってたら、こちとらも時間が無くなっちまうので、バシッバシッをやっている最中でしたが、前の隅っこへ行き尺八を吹いて参拝しました。
参道
 後で聞くとσ(*_*)が参拝してる間、単なる連れに「一緒に加持してあげようか」と尼さんに誘われたらしいですが、バシッバシッが痛そうなのか、信心が足りんのか丁寧に断ったそおです。

 そおやろねぇ・・たぶん、ワシでも断ると思う・・あんなので思いっ切り、ぶっ叩かれたら痛そおやしぃ。

 一休みしてから上の堂へ向かって歩くと、先程のバシッバシッの尼さん一行に追い付き、挨拶して追い越そうとしたら、尼さんが話し掛けてきました。

 「西国巡ってるの?・・そおぅ・・あらっ、でも笠を見ると四国だわねぇ。えっ?・・四国も巡ったの?・・へえぇぇ~・・!!」

 さすが本職、笠の梵字を見ただけで四国遍路だと、よぉ~見破り、 だてにバシッバシッをやってまへんなぁ。(^O^)エライ・エライ・・・上の堂よりの眺め

 「で、そこの駐車場からなんでしょ?・・えっ?ちがうの?・・私達、そこに車置いたんだけど・・

 えっ?・・下から歩いて上がって来たの?・・えらいわねぇ~・・・・。!!

 私達は関東の方から来たんだけど・・そお、秩父霊場ある所。

 えっ?・・歩くのに道がわかりにくい?・・そんな事ないわよぉ、秩父を巡る時、是非連絡しなさいよ、近くだから。

 ちょっと、あんたぁ・・・名刺も渡さないで寄りなさいと言ってもわからないじゃないの・・何かの紙にでも住所書いて渡してあげてよ。」
如意輪堂

と、後ろから付いて来る、赤ん坊をオンブした若いアンチャンに叱るように言いつけます。

 はあぁっ?・・このオバハンが勝手に自分で言い出したのに、何で後ろから黙って付いて歩いてる若いアンチャンが叱られなアカンのじゃ?

 このアンチャン、何でか知りまへんが作務衣を着て、まだ生まれたばかりのような小さい赤ん坊を、さっきのバシッバシッの参拝中もオンブしてました。

 それにしても、この尼さん何となくエラソーな横柄な感じがするんで、あんまり親しみが持てないんだよねぇ。

 アンチャンは尼さんの内弟子なんやろか?、たいへんでんなぁ、こんなオバハンを師に持って・・師を選ぶのを間違えたでぇ、他に師を求めた方がええでぇ・・と思わず慰めの言葉が出かかった。
開山堂
 分かれ道で尼さん一行は駐車場へ向かい、σ(*_*)らは五大堂へ行きました。

 荷物を降ろして参拝準備をしていると、さっきのアンチャンが来て「紙が無いので、これに住所などを書いておきました」と、醍醐寺のチケットの裏に住所氏名を書いたのを、わざわざ持って来てくれるではありまへんか。

 律儀な人やなぁ、このアンチャン・・渡したと言ってゴマかしとけば良いのにぃ。

 正直言って単なるお愛想だと思って聞いてたので、たとえ秩父巡りをする機会が有ったとしても、尼さんの態度とか見ていると、寄る気はサラサラ無かったんだけどなぁ・・・

 アンチャンに悪い事しちまったなぁ、赤ん坊を背負って重いやろおにぃ・・12番正法寺への鳥居

 すんまへんねぇ、そんな事も知らず後ろも見ずにトットと先へ行っちまって・・・

 後年、秩父34観音霊場を歩きましたが、せっかく書いてくれたアンチャンには悪いが、この尼さんの所へは連絡せず寄りませんでした。

 五大堂で参拝すると石畳のせいか、尺八の響きが、もんのすごく良かった。

 さらに奥の堂(如意輪堂・開山堂)へ行くと、これだけ大きい堂なのに番をする人は、だれも居ません。

 境内には鳥居があり、そこからの山道は「12番 正法寺」へ向かうよおです。


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「惜別の唄」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。


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