HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」 > 1 難所
H15.3.1up
徳島県と高知県の県境にある、宍喰~甲浦の間に山越えの遍路道が地図に記載されていました。
最初の一巡の時、この遍路道が有るものと思い、途中の遍路シールが国道へ向かうようになっていますしたが「何かの間違いじゃろ」と気にせず宍喰の「古目関所跡」まで行きました。
「古目関所跡」は、単に小さい石碑が建っとるだけで、フゥ~ン・・と思いながら、関所跡の道をそのまま進みました。
地図では、この関所跡付近で90度左の道へ入るはずですが、その付近は建売住宅で整地されており、道らしい物は見当りません。
そのうち、何か標識か何かがあるだろう・・と思って、そのまま歩いて行くと、道がそれとなく山道らしくなり、それらしい雰囲気になってきます。
おぉぉ・・良かったのおぅ・・と思ってたら行き止まりで、谷になっている所が道かなぁ・・と思ったりしますが・・いや、やっぱし違う。
結局引き返し、国道のトンネルを通りました。
他の遍路に聞いてみると、私のように遍路道が有るものと思って「行き止まり」まで行って引き返した人も多いようでした。
後日、甲浦から遍路道を探してみようと思い、甲浦番所跡の石碑付近にある床屋のジサマに聞くと
「あんたぁ・・あの道は、もう通れんわぁ。だれも使っておらんしぃ」
それでも探してみると言うと「物好きやなぁ・・・」と言う顔して鎌を借そうとしてくれましたが、たいした事あるまいと思って断りました。
教えられた道を行くと、うんうん・・・確かに橋が有る・・グイッと曲がると・・おぉぉ・・言われた通りヤブになっておる。
しかし、何とか道らしいのが続いておるわい。
ガサガサ(草木を避ける音)・・・なんか道が怪しくなってきたのおぅ・・・
谷の所が道と思えるし・・・こっちの草木が少ない所も道と思えるし・・・
行きつ・・戻りつ・・道を探し、イバラに引っ掛かり・・やっぱり、ジサマから鎌を借りときゃ良かった。
そのうち何とか頂上付近に出ましたが、シダの群生が広がり完全に道はわかりません。
そこまでの道も正いのか自信が無く、あきらめて戻りました。
「へんろ道保存協力会」に問い合わせると、整備しても通る人がいないだろうとの事で、あえて道の整備は計画してないそうです。
昔、遍路していた人に、この道の事を聞くと、けっこう枝道があったと言いました。
伏越岬からは海岸沿いの国道を歩き、幾つか霞んで見える岬の一番遠い岬が室戸岬かと思いますが、なんのなんの・・・室戸岬はもっと遠くて見えまへんでぇ。
今でこそ国道があり、車はビュンビュン飛ばしておりますが、昔はこの付近は道が無く、石ころだらけの海岸を歩き、「ゴロゴロ海岸(波で石がゴロゴロ動く音から来ている)」と別名まで有る遍路道の中でも最大の難所と言われたそうです。
その難所と言われる所を、実際に歩き体験をして先人の苦労を偲ぼうとアホな事を思い、伏越岬からわざわざ海岸に降りて歩いてみました。
はい・物好きでんなぁ・・・笑ってやってくんなせぇ。
砂浜・・うむむ・・靴に砂が入るし・・足を取られて・・ちと歩きにくいなぁ・・
でも、悲壮感は出ておるじゃろおぅ・・・これ位なら・・ハッハッハッ・・・
タクアン石ほどの大きさの石がゴロゴロしとる所・・
あっ・・石に乗っかると石が動く・・
とても景色なんか見とるヒマなんかねぇ。
足下をしっかり見てねぇと、足首ネンザしちまうぞ。
越後屋は早々リタイアして、ワシを置いて国道を歩くと言います。
この薄情モンが・・・・こおなったら、最後まで歩いてやるわい・・コンジョウじゃ・・。
杖の先端は、石のスキマに入り込んだりして綺麗に丸くなりました。
先程、伏越岬の国道を歩いてた夫婦遍路が、もう向こうの岬をかわしてます・・・ワシだけ置いてかれるのね。
越後屋が遠くの国道で手を振ってます・・るせぇ!!・・はよ行け!!・・きっと笑って見とるやろなぁ・・・こっちは、この広大なタクアン石の原をどっち方向へ行こうか考えており、どえれえ目に遭っとるんじゃ
岬付近になると、タクアン石の代わりに、引っ越し用コンテナとか、二階建てほども有りそうな岩がゴロンゴロンと立ち塞がってます。
国道へ上がるか、無理してその岩をよじ登るか、はたまた波が有る海を泳ぐか・・選択をせまられて岩をよじ登りました。
こんな所でケガすると、人からアホな事をして・・と笑われるやろおなぁ・・・
「入木」まで歩くつもりでしたが、ヤンピして途中の「法海上人堂」の所で国道に上がりました。
なんせ、転んでケガせんようにという気づかれと、タクアン石の間を跳んだり、フンバッタリの連続で足首が痛くなったもんで・・・
それからの国道の歩き易い事・・・(^O^)
ゴロゴロ海岸を歩くのには国道の3倍の時間がかかり、今まで歩いた箇所の中では、確かにこの海岸は唯一「真に最大の難所」でした。
ほんまに昔の人は、ここの海岸で難儀した事と思います。
歩いた時は海は静かな時でしたが、荒天の時にここを歩くのは危険で波に巻き込まれる可能性もあります。
良い子の皆さんは、決してマネせんように・・・
恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
以下、広告です。