HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」 > 17 生まれ生まれて・・・
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暑い夏に「すさき道の駅」の駐車場で車中泊しました。
夜になると、近くの農協?の建物から「よさこい祭り」の賑やかな音楽が聞こえて練習しており、なかなかリズムが、ええでんなぁ。
夏休み期間中なので駐車場は車の出入りが激しく、おまけに停まってる車がアイドリングしてクーラーまでつけてるもんだから、そのクーラーの切断音がやかましくて眠れず、早朝まだ暗いうちに、あきらめて起きてしまいました。
停まってる時はエンジン切れ!!・・ジャカアシィ!!・・車中泊の基本的マナー違反だぞ。
それに地球の温暖化の原因じゃねえか。
南極や北極の氷が溶けて、そこでマジメに暮らしている、ペンギンさんや白クマさんが行く場所が無くなっちまい、海で溺れたらどうするんじゃ。
と・・怒鳴りたいけど、タダで寝ようとするんだから、しょうがありまへんわなぁ。
トイレへ行く時、駐車場に中学生みたい男の子が一人ウロついてます。
しばらく見てましたが、こいつは家出少年じゃねぇかな・・と思い「ニイチャン、どこまで行くんや?」と優しく聞いたら「家、この近くや!!」と、ぶっきらぼうに言い捨てて、トイレの大の所へ入って鍵かけてしまいました。
あっ・・コラアァッ・・ワシが人さらいで、どっかへ売り飛ばすような極悪人に見えるかぁ。
まぁ・・見方によっては、見えん事もねぇが・・・
それに近所に住んでるだなんて、ウソこけぇ・・・
今時の若いモンが、早朝の暗いうちから早起きするような感心な事するわけねぇだろ。
第一お前の目・・・暗かったぞぉ・・
その後も付近をウロついてるのを見ており、出発時その少年を目で捜しましたが見当たりませんでした。
おおかた、まただれかに何か言われて便所にでも隠れたんじゃろおなぁ、千円札をやろうかと思っとったのに・・・
あの少年・・今頃どおしとるかなぁ・・・悪の道に走ってなければ、いいが・・・
須崎から焼坂峠へ向かうのに、一巡の時には気がつきまへんでしたが、トンネル手前付近に右へ行く旧国道?があります。
二巡の暑い夏に、そこへ向かう標識を見つけたので歩いてみました。
車も、ほとんど通らず、ええとこでっせぇ。
ちと・・いや、だいぶ遠回りになりますが景色がええです。
おまけに途中の民家の前で犬が寝そべってます・・吠えんかったけど・・・。
旧道から下りると夕方近かったので、安和駅にて今日は打ち止め・・・汽車は?・・・
あんらあぁぁ~・・1時間ほど待たにゃアカンなぁ。
無人駅のベンチに荷物を置き、ふと見ると安和駅構内の外柵にポンヤリともたれかかってる一人のトッツアンがいます。
雰囲気で野宿遍路だとわかりるので声をかけて挨拶し、見ると手荷物と言えば小さい風呂敷包み一つだけ・・笠も杖も持ってません。
知らん人が見たら、浮浪者かと思うかもしれまへんが、やっぱり浮浪者と遍路しとる人とは何か雰囲気が違うんですよねぇ。
どんなに小汚いカッコウしとっても、なるべく他の人に迷惑・不快感をかけないという雰囲気が、どことなく有り、今の場合は乗車客の目障りにならんように配慮しとります。
聞けば、今日はここで野宿するとの事。
一度遍路して巡っており、阪神大震災で職を無くし、今はある人と約束して番外20寺の数珠球を一つ一つ歩きながら集めてる途中で88箇所には寄っていない。
地図を持ってるか?と尋ねると、途中で失なってしまい、簡易な20ケ寺案内のパンフレットだけを頼りに歩いており、これから窪川より宇和島へ抜け、番外寺「出石寺」へ行くと言ってました。
車で番外の仙龍寺・大滝寺へ行った事があるので、
「あそこは歩いて行くとキツイ所でっせぇ・・途中、民家も無く店も無い山奥ですから・・」
「出石寺は、どおでっしゃろおう?」
「さぁ・・・まだ行って無いけど、あれもキツそうな所らしいでんなぁ。」
食事は?と聞くと、「スーパーで袋入りのインスタントラーメンを買って食いつないでおり、これが一番金がかからん」と笑って言います。
えらい気さくなトッツアンで、関西弁のためか話していても悲壮感は全然感じまへん。
遍路のあれこれを話していて既存仏教の話題になった時、突然話をさえぎり「ダンサン、これだけは言わしてください。」
今まで明るく話してたのと打って変わった、真剣な目で強い調子で言います。
あらあぁ・・ワシ・・このトッツアンに気のさわる、何か悪い事を言ったんやろか・・・
トッツアンは、強い口調で徹底的に現在仏教を批判し、阪神大震災の時に被災者へ炊き出しをした宗教界は、一番先がキリスト教、次いで金光教・・
ところが、普段エラソーな事言っとる現在の仏教界は何をした・・何もしなかったではないか・・
人を助け合うとか慈悲とか何とか言いながら、布施や葬式などで金だけを、ふんだくりやがって・・・
わけても、金儲け集団として評判の悪い事で有名な某新興宗教団体の●●学会は、信者が宗教組織の建物に避難して来たのに追い出しやがった。
ワシらがピアノの有る教室へ避難してる所へ信者が来たので、あんたらは●●学会の施設へ避難したのでないかと聞けば、施設を追い出されたので、ここに居させてくれと頼んだらしい。
(改めて、この文を読みホントだったのかなぁ・・と思ってネットで調べてみると、どおやらホントのよおでした。2018・2・26)
この事は神戸の者は皆知っとる・・ワシは、遍路して巡ってる間じゅう●●学会のやった事を皆に言い触らしてやる・・・・と、一気に話し、よっぽど●●学会に対して積もりに積もってたんでっしゃろなぁ。
阪神大震災の時にはアパートに住んでいたが、アパートが潰れて火が回った。
その時、同じアパートに住んでいた30代の女性が建物の下敷きになり、助けを求めていたが火に包まれて、助けようとしても、どおしても助けてやる事ができんかった。
見殺しやった・・・生き地獄じゃった・・・ほんまに可哀想やった・・・・・
すぐ目の前で助けを求める者を、どおしても助ける事の出来なかった、歯がゆさ・・・無念さを訴え・・
無人の安和駅を包む夕闇は、やがて星に代わり、波の音だけが聞こえる安和駅でした。
恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
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