HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」 > 10 因果の法
H15/12/10 UP
三坂峠の麓と、浄瑠璃寺の中間付近の道端に「網掛大師」というのがありましてなぁ。
デッカイ岩に編目が付いており、大師さんが岩を担いだら編み目が付いたそおで・・スゴイでんなぁ。
浄瑠璃寺で少し時間が有ったので、トイレ近くのベンチに座って尺八吹いてると、トイレへ行く人が何やっとるんじゃ・・という顔してチラチラ見て行きます。
しばらく吹いてると、だれも居ないと思っていた納経所の奥部の室内で、習字の練習していた人が居たらしく話し声がします。
あっ・・近くで尺八を吹いてたので、やかましかったかな・・と思い、雨も降り始めそうなので出発しました。
八坂寺までは近距離、この寺の境内は朝早く来ると、箒の掃き目を綺麗にしてあり、専門用語で「箒目」と言うらしい。
四国88箇所を巡って境内に「箒目」を作ってる寺は、知ってる限りでは、この八坂寺と徳島県の建治寺だけでした。
それから西林寺までは、のどかな田園風景で、途中に衛門三郎伝説の寺や八子塚があります。
そおでんがなぁ・・大師様がせっかく托鉢に来たのに断っちまい、あんまりのしつこさに衛門三郎が鉄鉢を叩き壊しちまったんです。
そしたら次々に8人の子供が死んじゃったもんだから、深く反省努力して遍路を始めたので、遍路発祥となった伝説地です。
八塚は、その子供達の墓と言われており、田圃の中に、こんもりとした物が数個あり、それぞれ上に碑が建ってました。
しかし、いくら鉄鉢を壊したからと言って、子供八人を死なせるほどまで罪深いのか・・と思うが・・
行った時は、場所がわからず行き過ぎてしまい、人に尋ねると「少し戻った所の横道へ入ると、犬が吠える家が有るから・・・でぇじょうぶ、ちゃんと鎖につないでありまんがなぁ・・」という注釈まで付けて教えてくれました。
ほんまに、犬が吠える家の脇道を通ったら写真の塚が有りました。
数えてみると八個無かったので、たぶん車道の所にもそれらしいのがあったから、それも数の内に入れるのでしょう。
衛門三郎伝説の「因果」話が出たついでに、「老遍路」との話で
「もんのすごく信心深い人が、見るも気の毒な、悲惨なる最後をとげた。
それほどマジメに神仏を信じ頼りすがっているのに、なぜ神仏は安らかなる最後をとげさせず、そのような最後になったのか?。」
「確かに自分の身近な者にも、そのような事が有った。
人が良くて熱心にお参りし皆から好かれている人が居て、願掛けを行ったが、その人の願いは、ついに通じなかった。
反対に、皆から嫌われて、こんな悪いヤツが・・と思われる者の願いが通じた時、自分は怒りのあまり本尊を、叩き割ろうとした事がある。
しかしなぁ・・これは、前世の因果の法により、どおしょうも無い事なのだ。
その時に願いがかなわなくても、別の形でその人の願いがかなっている。」
実はこの老遍路、小汚いカッコウしてますが、某地方では名の通った宗教家だったのです。
遍路中に某寺住職と話してた時、この老遍路の名前を出して「知ってるか?」と聞いた時に、教えてくれました。
また永年遍路してる人達の中でも、この老遍路はけっこう知られており、師として仰いでいる人もおれば、あの酒好きが・・・と言う人もいます。
σ(*_*)は、全く素性を知らなかったので、そんなエライ人だと思わなかった。
今まで老遍路とは、偶然にも3回遍路中に出会って話をしましたが、その都度分かり易い言葉で教えてくれました。
老遍路と出会った、ある時に「自分は、どおしても今もって本尊さんや仏像を拝む気がしなく、偶像崇拝のような気がする。」と言うと、老遍路はニヤリと笑いながら手に持っていた100円ライターを目の前に差し出し「あんたは、これを拝む気になるか?」と言いながら、またニヤリと笑います。
その行為は、いろんな風に解釈出来ると思いますが、その時は老遍路の言わんとする意味が、わかったような気がしたので「わかりました。」と言ってσ(*_*)もニヤリと笑いました。
なんか禅問答みたいですが・・・。(^O^)
私の参拝は他の人と違い、経も唱えず蝋燭・線香も立てずに、ただ尺八を吹きながら遍路している事に対し、何か後ろめたい・・という感じを持っています。
同時に、他の純粋な仏教者の人から見れば、ワシのような存在は異端・迷惑に思ってる人も居るのではないか?・・このまま尺八を吹き続けて遍路してると、どおなるのか?と思ったりしてました。
「自分は他の人のように経も唱えず遍路しながら尺八を吹いており、最初の頃は上手になりたいと思っていたが、今は何故かその気も失いました。
果たしてこのまま吹き続けて遍路していても良いのかと思う事が有る。」と尋ねると
「吹き続けなさい、今のまま吹き続けて遍路しなさい。それだけで良いです」と言われました。
西林寺へ行く途中の橋から、振り返って三坂峠を眺めると、よぉ~まぁ・・・あの遠い山から・・と思います。
三巡時、西林寺境内に入ってすぐ右手の古い接待所?が新築工事しており、以前来た時は、その室内に入って休み、余り人が利用してないらしく確かにホコリっぽい感じでした。
室内には古い像や写真・天井絵が有り、昔の面影を残しており、好きじゃったんだけどなぁ・・新しくなったら・・どおなるんかなぁ。
なんか、だんだん古い木造建築が無くなり、コンクリート造りに代わっていく気がする、惜しいなぁ・・・。
浄土寺からは松山市内を歩きます。
二巡時に繁多寺の境内で構想をねっていた小説家が石手寺まで送ってくれ、三巡の時はオバチャンが歩いてる人に接待してるんだと言ってお菓子の袋をくれました。
石手寺では日を決めて、尺八の集まりが有ると聞いてましたが、今まで行った日が合わなかったのか、まだ聞いた事がありませんが一度聞いてみたい。
道後温泉近辺は遍路標識を見つけにくく、どっちへ行って良いか、よぉ~道に迷う所らしく、はい、一巡の時にσ(*_*)も迷いましてなぁ。
通りすがりに明治時代の「ハイカラさんが通る」のような服装したネエチャンが珍しいかったので、フラフラ・・と、つい写真を撮らせてもらったりしとったもんで・・
たぶん、これじゃろおう・・と思う道を歩いて行くと豪華ホテルの立ち並ぶ所へ行き・・・
こりゃあ、地図の方角からして間違っとると思い狭い路地へ入ると・・
その・・なんと言うか・・男の人がその店に入ったのが奥さんにバレちまったら、ボコボコにドツキ倒されて叱られっちまい、当分の間は口もきいてもらえんような所が立ち並ぶ所へ出ちまいました。
昼間だというのに各店の客引きのトッツアンが立っており、見渡しても他にだれも居ないのでトッツアンに道を聞きましたが、あんまりよぉ~知ってません。
たぶん・・道を行く事情を知らん人がその様子を見れば、小汚い遍路が客引きと値段交渉しとる最中で、なかなか値段が折り合わず、一生懸命に値切っとる風に誤解されたかもしれません。
で、正解は道後温泉の玄関正面にアーケードの商店街が有るので、そこを真っ直ぐ通って行けば良いのです。
いらん所を寄り道しないで・・・。
恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
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