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  延命寺付近、四国遍路 H16/1/1 UP


錦札持ちと女遍路の考えに思う

青木地蔵

   青木地蔵、四国遍路       青木地蔵、四国遍路
 国道196号をテクテク歩いてると、国道付近に大きな石油コンビナートのような物が建っており、その近くに「青木地蔵」というのがあります。

 車の通りが激しい国道脇にしては、鬱蒼とした木々に囲まれた感じで、夜になるとオバケでも出るんじゃねえかと思うような所でしてなぁ。青木地蔵・線香立て、四国遍路

 はい・・・知ってる人は知ってるかもしれまへんが、遍路仲間内では幽霊が出るという、言い伝え・ウワサ・伝説が誠しやかに流れております。

 そのためか今まで「青木地蔵」に寄った時には、一度も休んだり泊まってる人は見まへんでした。

 「青木地蔵」の堂前に有る線香立てが、珍しい獅子の形しており、しかも口から線香の煙りが出るような構造になっております。

 さすが瓦の生産地でんなぁ・・もっとも、数本の線香の煙ぐらいでは、あんまり迫力がありまへんが・・・

 三巡目に「青木地蔵」へ来た時は、一人の遍路が通夜堂内で昼寝しており、もう幽霊は出ないんでしょうか?

 そおでしょうなぁ・・・今までと違って国道付近の鬱蒼とした木が切り倒され、明るくなった感じがしますから、幽霊も居たたまれんようになっちまい、どっかへ行ってしもたかもしれまへん。

行き違い

 二巡の時「星之浦道の駅」で越後屋がトイレすると言うもんだから、「先にゆっくりと歩いてるから、追いついて来い」と言って先に進みました。

 ところがトイレが有った所は、旧道と国道の別れる付近でしてなぁ。「亀岡」付近、四国遍路

 旧道を500mほど歩いた所で、ふと・・あいつの事じゃから、ひょっとしたら国道を歩いて来るかもしれん。

 そいでもって「探したけど、おらんかった・・どこホッツキ歩いとる」とブツブツと文句を言うかもしれん・・と思い、平行に走ってる国道の角に立ち旧道も見える所で待ちました。

 暑い盛りで「早よ来ねぇか・・いつまで待たせるんじゃ、長いトイレやのおぅ」とブツブツ思ってると、旧道を二人連れの遍路が歩いて来ました。

 声を掛けて「見るも不細工なオバハン遍路が、一人で歩いてなかったか?」と聞きましたが見なかったと言います。

 しょうがねぇので「道の駅」まで戻り、トイレを探しても居ないし、旧道を通って行ったのを見逃したのだとわかったので旧道へ歩きました。大西駅、四国遍路

 越後屋にしてみれば、いつまでたってもσ(*_*)に追い付かんから、今頃、文句言いながら泣いとるかもしれんなぁ。

 その場でジィッ~と待っててくれると、ええんだが・・・下手に探し回られると、行き違いになっちまい、お互い永遠に見つける事が出来なくなる恐れがあるかもしれん。

 まぁ・・永遠の別れになっても、別にかまわんのじゃけどなぁ、σ(*_*)としては・・・

 他人様に聞かれたら、遍路しとる途中で行方不明になっちまい、夜も寝んと泣きながら一生懸命に探したけど見つからんかった・・と泣くマネしながら言えば、世間の同情をかうかもしれん。

 そしたら、これを機会に「新しい人生」を歩み出すキッカケになり、空に浮かぶ雲のように自由気ままな人生じゃあぁぁぁぁ~・・・!(^^)! フアッハッハッハッハッ・・・と思いつつ、しばらく歩いてると、向こうから車の助手席に乗せてもらって来る越後屋と出会いました。延命寺、四国遍路

 ハレッ?・・何で、あいつが車に乗ってるの?

 勘のニブイ越後屋でも迷子になったのが気付き始めた頃だろうけど、見つけ出すのがチト早過ぎるでぇ。

 この瞬間σ(*_*)の「新しい人生」が・・・・流れる浮雲のように遠くへ・・音も無く去って行く・・

 聞けば越後屋は「大西」付近まで歩いた所で、店から「カルト(お菓子の名前)」の接待を受けたそおです。

 その時ついでに「ボオッ~とした、トッツアン遍路が通らなかったか?」と聞くと店の人は、さっきから外を見ていたが、まだ遍路は通ってないと言い、始めてσ(*_*)が迷子になり、寂しさのあまり泣いとるかもしれんと心配し慌てだしたそおです。

 その心痛のあまり「ヨヨヨ・・・」と泣き崩れようとした時、先ほどσ(*_*)が声をかけた二人連れの遍路が通りかかり、同じような事を聞くと「確かにボオッ~と口開けて、ヒマそうに待っとる遍路と話した」大山祇神社、四国遍路

 「あらあぁ~・・まだそのまま、口空けて待っとるかもしれん」とウロたえ騒ぐ越後屋を、店の主人が憐れみ「ええいぃ、落ち着けぇぇ!!」と一喝し、叱咤激励しながら車に乗せて一緒に探しに来たらしいです。

 その店までσ(*_*)も乗せてもらいカルトの接待を受け、先ほどの二人連れの遍路と話しをすると、あの時は気がつきませんでしたが、高知県の善楽寺へ行く途中に挨拶しながら追い抜いて行った遍路だとわかりました。

 いやぁ~・・奇遇ですなぁ・・・こんな、みっともねぇ迷子の形で会うと思わなかった(^O^)ダハハ・・・

 二人連れが先に出発し、店の人にお礼の意味を込めて尺八を一曲吹きました。

南光坊

 「延命寺」から今治市内に入り「南光坊」付近では、最初の人はチト迷うかもしれまへん。

 一番最初の車遍路の時、途中で「二つ目の信号を右」と地元の人に聞いてたのですが、わからず、商店街のような所へ入り込んじゃって・・そこらを一回りしちゃいました。南光坊・野宿、四国遍路

 南光坊から泰山寺へ歩いてる途中で、車遍路の夫婦連れがウロウロしながら「南光坊は、どお行けば良いのじゃろおか・・」と聞いて来たので、車は特に迷う所のようです。

 南光坊の境内では2回野宿させてもらいました。

 南光坊にお願いしたらアッサリ了解してくれましたが、二度とも「納経帳を見せてくれ」と提出を求められましたので、たぶん旅行者ではなくホントに遍路しとるというのを確認したかったんでしょう。

 その時は納経帳を作ってなかったので、その旨を言うと納札を確認しました。
     南光坊・山門の四天王、四国遍路       南光坊・山門の四天王、四国遍路
 夜に山門へ来てみると、山門に四天王(この時は2体だけ)がライトアップされており、光の当て具合なのか、優れた作品だったためなのか・・ホンマに今にも動き出しそおな感じで幽玄の世界でした。

 ただ昼間に見た時は、そんな感じがせず普通だったので、やはり光の加減なのかもしれません。

泰山寺の錦札

 泰山寺の境内はアッサリしとりますなぁ・・・作り直しとるためなのか、もおちっと緑の木が有ってもええと思うが・・・泰山寺・境内、四国遍路

 三巡の時、泰山寺・鐘楼の日陰になってるベンチに「よっこらしょ」と腰を下ろして休んでると、境内に車が入って来て、坊さんか先達かわからんようなカッコウをしたジサマが降りて来ました。

 駐車場は下に有るはずで、この境内まで車を乗り入れて来るとなると寺の人かな?と思ってると、「歩きですか?・・はぁ・・御苦労さんで・・(^_^;)」とニコヤカ言い本堂へ行きました。

 しばらくすると本堂の方から、オバハンが「あのお~・・これ貰ってええですか?」という声が聞こえ、それに答えてジサマが「うん。ええよ。ちゃんと仏さんに断ってからなぁ。」と言ってます。

 ほほおぉぉ・・あのジサマは、錦札のジサマだったのか・・どおりで、それらしいカッコウしとったなぁ。泰山寺・鐘楼、四国遍路

 さらに続けてジサマが「裏を見なさい。○○回と書いてあるやろおぅ。」

 アチャアァァ~~・・あのジサマ、その一言が余計じゃろおがあぁぁ、言わにゃぁ良かったのにぃ~・・・・(-_-;)σ

 バサマ達は「わぁ~・・すごい・・」と言ってキャアキャア騒いでます。

 はい、はい、ホンマにスゴイでんなぁ・・・・で・・錦札の回数だけギョウサン巡られて、何がわかり、何を得られたんでしゃろか?。

 ジサマは、年のせいか暑さのためか、大師堂の参拝し忘れちまい、そのまま車で行っちまいました。

龍泉寺の女遍路

 泰山寺「奥の院」である「龍泉寺」は、泰山寺から300mほどの所に在り、入口付近で犬が吠えたので、一巡の時に寄ろうと思ったのですが止めました・・オトロシイので・・。

 二巡の時、犬は繋いであるので噛みつかないだろおと思い、犬がギャンギャン吠えるのをガマンして通りましたが、境内に入る犬はと黙ってしまいます。龍泉寺、四国遍路

 コンジョの無い犬やのおぅ・・最後まで職務に忠実に吠えまくれ。
 もっとも帰る時には、また吠えられたけど・・・。

 小さいお堂に「鏝絵」が飾ってあり、新聞にも載ったと書いてあります。

 泰山寺・堂守の奥さんがコーヒーと菓子の接待をしてくれ、これまた上品な人で聞いてみるとやはり踊りの先生をやっとられた方らしく、さすがでんなぁ・・。

 三巡の時、堂前で尺八参拝してると、後ろの離れた庭陰で手を合わせて聞いてくれてました。

 ううむぅぅ・・・σ(*_*)の尺八は、ゴロ寝してアクビをかみ殺しながらとか・・ホオ杖しながら聞いてくれる程度のモンなので・・・合掌されながら聞かれるほどのモンでもねぇのに、心が痛むなぁ。

 ところで、その時σ(*_*)らと同じく南光坊の境内で野宿していた3人連れの若い女遍路が、この「奥の院」泰山寺に居ました。龍泉寺・鏝絵、四国遍路

 σ(*_*)らは逆打ちで仙遊寺を経てここまで来て、次の南光坊へ行く行程でしたが、彼女達の行程は余りにも遅すぎて、ホンマやったら仙遊寺付近で会ってるはずです。

 聞いてみると、一人は以前に遍路を経験しており「仙遊寺に通夜堂が在るのを知っており、今夜は仙遊寺の通夜堂で泊まる予定で、ここで時間調整しているんだ。」と明るく言い、これを聞いた時には正直イヤな気分になりました。

 他の遍路は足を痛めながらも、今夜は通夜堂で宿泊させて貰えるだろおか・・と不安に思いながら歩いてるのに・・。

 彼女達は、始めから人の善意を完全に当てにして、女だったら泊めて貰えるものだと確信し、お金を使わずに四国遍路を楽しもうとしているのが見え々です。

 住職さんが、その場に居たので黙ってましたが、こいつらは完全に「かよわい女」を武器にしとるヤツらだと思い、ホンマは「甘ったれるんじゃねぇ」とドヤシつけて、ガンガンと説教してやりたかった。 


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。



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