HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」 > 2 音調敏尊者
「ストリーミュジシャン」
かな・・ 三巡目・雲辺寺へは逆打ちし、登り口がわかるかなぁ・・と思ってたのですが、何とかわかりました。
実は、この時始めて野宿しようと思って、二人用のテントを担いで行ったんです。
へい、当然σ(*_*)が重たいテント担ぎ、越後屋は当然のように軽い寝袋持って・・
いつもの遍路とちがってキツウおますなぁ・・・なんせ今までのリュックの重さが、倍になったんじゃから・・・
遍路道は山ツツジの真っ盛りで、花が燃えているように見えます。
雲辺寺に着いたのは、夕方5時を過ぎており、境内はすでにシイィ~~ィンとして、人気が全くありまへん。
薄暗くなり始めていたので、まだ明るいうちにトイレ付近の広場にテント設営をしました。
ホントは雲辺寺に断らにゃアカンのでしょうが、寺の家屋には灯りも見えないし、無人のように暗かったので承諾を得に伺いに行きまへんでした・・すんまへん。
σ(*_*)がテント設営しとる間に、越後屋が携帯用カセットコンロで湯を沸かし、インスタントラーメンを作っており、こおいう時は、仕事を分担出来てええでんなぁ。
しかし、こおいう場合に作るインスタントラーメンは、家で作るのと違って、なぜかラーメンがノビてしまい、食うもん食っちまったら後はすることが有りません。
その頃になると付近は真っ暗闇で、何一つ人工的な光は無く、夜空には星が輝き、黒い杉木立が囲んでいます。
とっとと寝よ・・・テントに入ってゴロンしますと、風が木々の間を通り過ぎる音が聞こえ、フクロウが「ホォッ~・・ホォッ~・・」と鳴いてます。
さすが山の中でんなぁ・・・オバケ出たら、どおしょ・・昔の遍路達は、このような光もない真っ暗闇で野宿しとったんでしょうなぁ・・オトロシかったやろおなぁ・・・心細かったでしょうなぁ。
σ(*_*)は、まだ、どおでもええ越後屋という連れが居るので心細さはあまり有りまへんが、たぶん一人で、こんな所で野宿したらサミシサのあまり泣いとったかもしれん。
翌朝、夜が明け始めた頃から一匹の鳥がさえずり始め、それを合図のように他の鳥の鳴き声があちこちから聞こえ始めました。
夜明けを告げる鳥にも当番が有るのじゃろおか・・・寝過ごしたらタイヘンじゃのおぅ、叱られるかもしれんしのおぅ。
朝食を準備しましたが、実はこの材料の事で、前日の食料買い出し時に越後屋とモメたんです。
σ(*_*)は「パンは飽きたので、レンジで「チン」すれば食べれるゴハンと、インスタント味噌汁にしよう」と言ったんですが、
越後屋は、「そんなワケわからん「チン」するゴハンなんか、お湯で出来るはずがなく、もし食べれんかったら飢え死にするでねぇか。まだ死にとうないからパンで十分じゃ。」と言い張ります。
どおしても意見が合わないので、それぞれ自分の主義主張する食料を食べる事にしました。
σ(*_*)が一生懸命にお湯湧かして「チン」するゴハンを暖めていると、越後屋は黙々とこれ見よがしに目の前でパンを食べて、「フフン・・」と鼻先で笑っています。
「チン」のゴハンをお湯に付けて、ジィッ~と待ってます・・それでも良いと書いてあったので・・・
よっしゃあ時間が来たぁでぇ・・食べてみると、少し芯が有ったなぁ・・やっぱりお湯につけるだけじゃアカンようやのおぅ。
もう一回ナベにゴハンを入れて、少し水を足した「オカユさん」にして暖め直すと、少しは芯が取れました。
σ(*_*)は優しい人間なので、越後屋に「チン」のゴハンを少しわけてやりました。
どんな味がするか、欲しそうな顔しとったので・・
「どうじゃ、ちゃんと食えるじゃろおがぁ」「フン、たいした事ないわい」
うぬれぇぇ!!・・人が親切にも慈悲心に満ち溢れんばかりに分けてやったのにぃ、どこまでも強情なヤツじゃ。!!・・もお、頼まれても分けてやらん!!
寺の人や参拝客が来ないうちにテントを撤収し、ここで野宿した跡もフリもしまへんでした。
「ゴロン・・ゴロン・・」とケーブルカーの音が聞こえ始め、参拝客がポチボチ来ます。
実は、この時まで托鉢した事は無く、托鉢するなら雲辺寺が良さそうだなぁ・・・と思い、今回やってみようかな・・と覚悟を決めて来たんですが、いざこの場へ来てもやっぱり迷います。
どおしょうかなぁ・・・恥ずかしいなぁ・・でもやってみたい気持ちは有るんだけど・・・ウダウダ・・グズグス・・していてろ、なかなか踏ん切りが付きまへん。
初めて寺で尺八吹いた時と同じように、もんのすごく心が揺れ、あの時と同じ気持ちです。
やっぱり恥ずかしさが先に立つので、
参拝客が通る所から離れているけど、何とか気が付いてくれるじゃろ・・と思って、
境内の石のテーブルの有る所で吹いてみました。 二巡目に雲辺寺から大興寺へ降りる時、遍路道の途中に「萩原寺へ」という朽ち果てかかった看板が有ったので、そのルートを通って萩原寺へ行きました(地図に載ってない遍路道)。
下り道だったから良かったもんの、えらい坂道で登る時はキツイでっしゃろおうなぁ。
だいたいロープウェイを左に見て平行した道でしたが、もうすぐ麓と思われるロープウェイの鉄塔付近で道が無くなってます。
あんらあぁぁ・・こりゃあぁぁ・・エライこっちゃ、エライこっちゃ・・と踊っとるヒマも無く、付近に遍路札も無いので道を探しました。
鉄塔付近を潜ってロープウェィと交差するように進めば、今までの山道とちがう幅広の道があったので、これをたどれば麓へ行くだろうと踊りながら喜んで歩きました。
しばらく行くと、道がY字の三叉路となり、ここにも頼りの遍路札が有りまへん。
麓へ行くと思われる道を行くと、道が無くなりヤブの中へ入り込んだので、再びY字路まで戻り山手へ行くかもしれない道へ進むと、ロープウェイ乗場の建物の裏に出ました・・良かったあぁぁ~・・!(^^)!
一時は、どおなる事かと、泣かにゃアカンかと思ったでぇ・・・(^_^;)
もう一つ雲辺寺の頂上ロープウェイ乗り場付近から萩原寺へ降りる道があるらしいですが、納経所で聞いても「行った事ねぇので知らない。ロープウェイ乗り場で聞け」と言われたので、そんな不確かな道を探すより、途中にあった道を行った方が、ええじゃろおうと思ったのです。
恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、
聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
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