HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」 > 7 善通寺
16/6/25 UP
甲山寺へは車道の途中より見渡す限りのタンボ道を、真っ直ぐ進むとコンモリした小山が有り、そこを周ると甲山寺に着きます。
次の善通寺へは、寺前の川に沿って工場のような所と人家のある道を行き、途中に仙遊寺という小さい庵のような所があり、御大師様が幼少の頃、そこで土の仏様を作って遊ばれた所らしく、やっぱしエライ人は、遊ぶ事からしてσ(*_*)らと違いまんなぁ。
仙遊寺はどんな寺かサラッと見て、フゥ~ンと思って参拝をせずに行こうと思ってたんですが、ワシらが来るのを見てた中年のオバハンが本堂の戸を、わざわざ開けてくれます。
あらぁぁ・・そこまでやられたら、参拝していかな、アカンんやろおなぁ。
尺八を吹き始めると、オバハンは堂内の鐘を「ジャァ~ン」と叩いてサービスしてくれるんですが、曲がいつ終わるのかわからんもんだから、途中の適当な所で何回も鐘を叩いてくれます。
すんまへん・・・・慣れん事させてしもおて・・・なんせ4~5分ほどかかる長い曲なもんでして・・
普通なら、もおいい加減に、この付近で曲が一区切りついたり、終わる頃じゃろおと思われて鐘を叩かれたんでしょうなぁ。
善通寺は古い人家が密集する狭い道を歩くと、突然あら!?・・ここに在ったのね・・・という感じの道端にあります。
しかも両脇に大きそうな寺が有り、どこが本堂か大師堂かわからず、たいてい橋の在る方が立派そおだから、そっちを先に行くようで、ワシも最初わからんかったから、そっちへ行ったけど・・(^O^)
しかし橋の在る方が大師堂で、本堂は塀に囲まれた左手の奥まった所の山門を入り、広い敷地には五重の塔もあります。
善通寺・本堂内へは自由に入れて、本尊さんの周りを一巡り出来るようになってます。
三巡目の時、本堂内で尺八を吹くため、一巡する参拝客が歩くのに邪魔にならんように、隅っこの暗い目立たない角地で参拝しました。
はい・・なんか、σ(*_*)の性格・行動もゴキブリのよぉになり、隠れて物事をするようになって来ました。
尺八を吹き始めると、まもなく本尊さんの前付近で錫杖を「ジャン・ジャン・・」と鳴らし始めながら参拝する人が居ました。
尼さんが「あんたぁ。そこでやらんといて!!。 人が通れんで邪魔になるから・・」と叱る声がして、その人は途中で「ジャン・ジャン・・」を止めて堂外で参拝をやり直し始めたよおです。
アチャアァ~・・いかに目立たない角地といえども、やっぱしワシの尺八も邪魔になるだろおなぁ・・叱られるかなぁ・・でも曲の途中で止めるのは、できるだけ避けたのだが・・。
しょうがねぇ、ここは叱られるまで、そのまま図太く最後まで尺八を吹き続け、叱られたら素直に謝って止めようと思いました。
幸い叱られる事もなく終わり「ホッ」として、何か言われんうちにトットと出ちまおうと、ジサマ・バサマの団体が前を通ったのを幸いに、その中に紛れ込んでゾロゾロと本尊を一周して本堂を出ようとした時です。
本尊さんが有る柵の中に居る「ジャン・ジャン・・」を中止させた尼さんが「ちょっとぉ、ちょっとぉ・・あんたぁ・・」と、大声でワシを呼び止めました。
来ぃ~~た~あぁぁぁ~~・・(T_T)・・やっぱしぃ叱られるぅぅぅぅぅ~・・・
と思うと同時に、ワシの前後を取り囲んで一緒に歩いていたジジ・ババ達も「こいつ、何を悪い事したんじゃ」という顔してジロッ・・と、ワシの方へ顔を一斉に向けます。
あっ・・コラッ・・そんな目で見るんじゃねぇ・・それほど極悪非道な事をしたんでねぇんだから・・・
やっぱし・・ドキツク叱られるんだろなぁ、さっきの「ジャンジャン・・」錫杖のエライ人でさえも追い出されっちまったんだもん、ここで尺八吹いたらアカンかったんだろなぁ。
尼さんの声が聞こえなかったフリして、群がっているジジ・ババ共を掻き分けて逃げちまおうかなぁ・・・それとも先に謝っちまおうかなぁ・・・
と、普段は使わん頭の脳内をフル回転させ、あらゆるシュミレーションパターンを描きながら、不安そうな顔して立ち止まると
他の参拝客が尼さんに「尼さん。さっきの供養の蝋燭、頼んまっせぇ。」と呼びかけとるのに、尼さんは、そっちの方へ顔も向かずに、ワシの方を見ながら「はいはい、わかりました」と大声で答えながら「あんた、ここの中(本尊の真ん前)に入って参拝していいよ」と言います。
はれっ!?・・叱らないの?!・・何かの間違いでは???
ワシのような、信心が足りんモンが中へ入るより、さっきの錫杖持って「ジャン・ジャン・・」いわせてた人の方が信心深いその道の人だから、本尊様も喜ばれるだろおに・・・
何かの間違いでは?・・σ(*_*)に言ってるの??・・・それとも、この付近に身動きできんくらいウロついとる、ジジ・ババのだれかに言ってるの?
という顔して、付近に居るジジ・ババの顔を見回すと、ジジ・ババ達も事情がわからんもんだから「オメエ、何をやらかしたんじゃ」と不審そうな顔してワシを見てます。
尼さんも「他の人でなく、間違いなく、オメェ~じゃあぁぁ・・」という顔して視線を外さずに、もう一度同じ事を言います。
なんせ、もし声掛けられるとしたら「狭い本堂内で吹きやがって、ジャアカァシイ!!・・今度から外でやれえっっ!!」と叱られる事しか思い浮かばなかったもんで・・・謝るか、逃げるか・・どっちにしようかと算段していた状況が一転しちまいました。
予想が外れた、あまりにも急激な展開のために、頭の思考・処理能力が追い付かず「はぁ・・ありがとうございます。 でも・・あの・・その・・もう参拝は終わりましたので・・ホンマにすみません。ありがとうございます」と、ヤキイモ屋のジジイみたいな、しわがれ声でボソボソと尼さんに答えましたが、なおも熱心に勧めてくれます。
人の出入りが少ない本堂だったら、ありがたく受けるのですが、正直言うとこの本堂は人の出入りが激しく、ザワメキも有るで、今一つ尺八を吹くのに乗り気がしない場所なのです。
しかし、それを正直に言うと失礼になっちまうんで、参拝が終わった事を理由に、再び丁寧に断りましたが、それでもさらに強く勧めます。
これは他の理由を付け足さないと納得してくれないと思い「ありがとうございます。誠に申し分けありませんが、先を急いでますので、この次に来た時に、またよろしくお願いします」と丁寧に礼を言いました。
尼さんは、せっかく入っても良いと勧めてるのに、断る人も珍しいなぁ、他の人なら喜んで入るのにぃ・・・というような顔をされましたが、「先を急ぐ」という言葉で、さすがにそれ以上は勧められまへんでした。
ホンマだったら、柵内の本尊さんの前には、頼みこんでも、お金を積んでも絶対に入れてもらえない所なのでしょう。
そいで信心深い人なら、柵内に入れてもらえただけでも泣いて喜び、その嬉しさのあまり気絶・卒倒・失神するかもしれん所だと思います。
ほんまに、すんまへん・・・ワシはどうしょうもねぇ信心が足りん人間なので、もっと他の信心深い人を、代わりに入れてあげてください。
恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
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