HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第一章「目次」 > 13 この道
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根来寺から一宮寺へ行くには、番外「香西寺」経由と、車道を通って「鬼無」へ行く2コースあり、一巡時に香西寺経由コースを取り、根来寺から下りの遍路道を歩き「四国の道」と一致するようです。
その時は朝から国分寺~白峰寺~根香寺と歩いたので、麓へ着いた頃には疲れが出ており、香西寺までも、どえれぇ距離が長く感じられて、やっと夕方5時近くに到着。
秋の夕暮れは早く、香西寺より暗くなった市内の道を「鬼無」へ向かってトボトボ歩いてると、越後屋が「もうすぐ橋が有るんだね」と言います。
えっ?!!・・橋なんか通らないでぇ・・・自販機の明かりを頼りに地図で確認すると、やはり橋は通りません。
暗くなり標識が見えなくなったので、どうせ地図も見ないだろおと思い、リュックの中へ入れっちまってました。
いつものように地図を確認せず、「だいたいこの方角じゃろおう」と予想を立てて歩いてたのだけど、やっぱし夜になると方向感覚が鈍ってくるんですねぇ。
そこへ犬連れたオバハンが来たので、犬が吠えにゃええが・・と心配しながら「鬼無」への道を聞くと、「あんたぁ、どこの方向から来たの?、そりゃあ間違っとるわ。 鬼無の方向はあっちやでえ・・・」と、今来た道の90度右方向を指さします。
はんらあぁ・・・完全に違っとる・・・信じられんくらいに・・・「今の道を戻って・・あの方向の道を・・・」と教えてくれましたが、よぉ~わかりまへん。
しばらく戻ってウロウロして、また歩いてたオバハンに聞き・・あっ・・今度は犬を連れてまへんでした。
ガソリンスタンドで聞き・・やっと「鬼無」へ向かう県道へたどりつきました。
暗くなっても歩き続けたのは、この時が初めてで、やっぱし明るいうちに歩くもんですなぁ。
知らずに橋まで行っちまってたら、ショックと失望と疲れのため泣きながら気絶したかもしれず、道を間違ったとわかった瞬間、ホンマに一時は、どおなるかと思ったでぇ。
二・三巡の時は根香寺より「鬼無」へ降りる車道コースを通り、たまに車が通るだけの広い道を・・テクテク・・・・蜜柑畑の向こうに瀬戸内海が霞んで見えます。
小学校の頃歌った「蜜柑の花が咲いているぅ~・・」という歌は、こんなような風景やろおなぁ・・・
途中より車道を離れ・・かなり急な遍路道を下り、車道を横切り「鬼無」へ・・この「鬼無」ちゅう所は、桃太郎伝説が有るんです。
鬼無駅の観光案内の看板を見ると、ジサマが山へ柴刈りに行った山や、バサマが洗濯に行った川や、雉・猿・犬にまつわる神社が実際に有り、看板を見ているだけでも飽きまへん。
そのうちに行ってみようと思ってたが、とうとう行く機会が無かった。
「鬼無」から踏切を渡り、狭い路地を通って田園風景をテクテク・・・ここから一宮寺までは、よぉ~迷う所らしいです。
途中、河原の底にセメント道が有り、自動車も渡っており、すごいでんなぁ・・・
よおぉしゃあぁ・・ここまで迷わずに来れたでぇ・・車が走り廻ってる国道を突っ切り・・・もうすぐ一宮寺という付近で迷いました。
近くの小さい工場で尋ねると、「どこの道でも行けますけどね・・お遍路さんは、あそこの道を、よぉ~通ってますよ」と教えてくれたので、そのよぉ~通ってる道へ行ってみると、遍路石が有ったので、なんとか一宮寺へ着けました。
一宮寺のすぐ隣に田村神社という大きな神社が有り、一巡の時は、そのお宮の駐車場が車野宿するのに最適な場所だったのですが、二巡目に行った時は車が夜間駐車出来ないようになってました。
田村神社で火災があり、本殿付近に有った殿堂が燃えたようで、それが原因なのか・・・
それに伴い、今まで神社境内から一宮寺の山門前へ直通で行けたのに、なぜか塀を作られ遮られて行けなくなりました。
三巡目は一宮寺の駐車場で野宿し、先客がいましたが遅いのでお互い軽く挨拶して休みました。
翌朝、尺八吹いて参拝し終わると、その先客が「昨日、白峰寺で尺八吹いてた人がおったが、あんたか?」と話掛けて来ました。
「いえ、私は逆打ちなので、これから白峰へ行くのですが、どんな人でしたか?。聞いてみたかったなぁ。」
「真っ白の遍路服を着て、足が速い人やったなぁ。もう屋島へ行ってるかもしれん。」
「あらあぁ~・・行き違いじゃなぁ」
二巡の時も白峰寺で、他の遍路から「尺八を吹いて遍路しとる人が居るというウワサを聞いたが、あんたか?」と聞かれた事がありましたが、状況を聞いてみると私ではありませんでした。
尺八を吹く人の絶対数が少ないのに、尺八吹きながら遍路する人は、自分だけじゃないようです。
二巡時、屋島へ向かって高松市内をテクテク・・・途中で越後屋がガマンしていたトイレを借りるため、道端にあった個人病院の玄関へ急いで入りました。
病院の受付の人や、付近に居た看護婦さんが、その緊迫した慌てぶりを見て急患と勘違いして「どおしました?」と言いながら、付近に居た患者達と心配しながら、ドドォ~ッと飛んで来て越後屋を取り囲んだそおです。
カワイソーな遍路が急に具合が悪くなり、病院へ助けを求めに来たのだと勘違いして、病院中の人が集まったらしい。
すんまへん、アホな連れがお騒がせしまして・・・単に早くトイレを借りたかっただけなんです・・ほんまに、すんまへん。
そんな騒ぎになってるとも知らず、病院前の植え込みでボケエ~ッと座って待ってると、通院に来たオバハンが話かけて来たので、越後屋が出て来るまで話をしてました。
オバハンと別れて病院から20mほど歩いた所で、後の方から呼ぶ声が聞こえ、振り返るとさっきの通院のオバハンが一生懸命追いかけて来て、病院内の自販機から買って来たという缶コーヒーをくれました。
すんまへん・・ほんまに・・・重ね重ね・・・病の身で通院しとるのに、たかがトイレを借りただけの、ワシらごとき者のために走らせてしもおて・・・。
途中の栗林公園は、話の種に見たかったが「ヤンピ」して、付近の「かわらまち駅」の屋上で買ってきた昼飯を食べました。
屋上では、背広とかスーツとか上品な服装の人達が、歩きまわったり休んだりしています。
そこに小汚ねぇ遍路姿のワシらと、一人の浮浪者と思われるヒゲを生やしたジサマだけが、その場の雰囲気から、もんのすごく浮いた感じがしました。
場違いな雰囲気で、なあぁ~んか居づらく、食事を終えたらサッサッと出ましたが、でも、あのジサマの眼は、優しそうな目しとったなぁ・・・話はしなかったけど・・・・
関係寺の「讃岐別院」へ寄り、本堂内に入るとだれも居ないと思ってたら、入口付近に一人のジサマが机に座って番をしてました。
尺八を吹いて参拝してる最中、ジサマの所で電話が鳴りはじめましたが、何回も呼出音が鳴っているのにジサマは電話を取ろうとしません。
ついに電話の主が諦めたのか呼出音が切れ・・・・また再び鳴り始め・・・
参拝が終わって、しばらくすると再び呼出音が・・・するとジサマは、すぐに受話器を取りました。
すんまへんねぇ・・・私の尺八が終わるのを、ジィッ~と静かに待っていてくれたんですねぇ。
かまわずに、受話器を取ってもらって良かったのに・・・
恥ずかしながら「YouTube」に尺八曲「手向」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
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