HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第二章「目次」 >10 修行


 恩山寺、四国徒歩遍路   H17.12.25 UP



 恩山寺の境内で、地蔵峠で会ったアンチャンが居たので話しをしました。恩山寺へ、四国徒歩遍路

 話しをしてみると善根宿や通夜堂になるべく泊まり歩くというような事を言うので

 「今ね・・アンサンたみい人が多くなって、四国では問題になりかかってるんやでぇ。

 何で善根宿とか通夜堂を頼って遍路するんかね?
 金が無いのか?」

 「自分としては、それだけでなく野宿等もして修行をしてるつもりです。
 また食事は、お接待を貰った時だけ食べて、貰えなかった場合は食べないつもりです。」


 
「ふぅ~~ん・・そいで、お接待を全然もらえなかったら、そこで飢えて野垂れ死にする覚悟は有るんかね?」
 「いえ、そこまでは・・・」恩山寺山門、四国徒歩遍路

 そやろなぁ・・・だけどσ(*_*)としては「修行」という言葉を、そんな気安く簡単に使って欲しくない。


 「アンサンは修行と言ってるけど、修行ちゅうもんは、そんな甘いもんや無いでぇ。

 アンサンのやってる事は、修行でも何でもなく、ただのコジキじゃ(キッパリ)!!

 アンサンの言う「野宿をして、接待を受けられなかったら喰わない」というのが修行ならば、四国以外の本州でも、どこででも出来るじゃろう。
 なぜ、わざわざ四国まで来るのか?恩山寺、四国徒歩遍路

 四国ならば、だれかが助けてくれるかもしれんという、甘え考えがあるからだろう。
 そんなのが修行と言えるかね?

 遍路をしていれば、修行してるんだと錯覚する人もいる。

 しかしσ(*_*)は、それよりも今現在、普通の日常生活している社会で、毎日、汗水を流し・・嫌な人と顔を合わせて話をし、イヤミを言われても頭を下げ・・

 意に添わない事でも命によりやらされ・・悔しい思いをしながらも黙って耐え続けて一生懸命に働いてる人達の方が、遍路しとる者よりも、よっぽど苦しく厳しい修行をしていると思う。」


 黙りこんで、うつむいちまったアンチャンに、せっかくだからヒントの一つにでもなればと思い四国徒歩遍路

 
「アンサンがホントに修行したいというならば托鉢やってみなせぇ。その方が、よっぽど修行になる。

 ん?・・ホントは僧職でないと托鉢したらアカンのやけど、「遍路は日に三度托鉢すべし」とか言われてるらしいからなぁ。

 お経の本を持ってるか?・・そか、チイット出してみなせぇ。」


 リュックからガイドブックの本を取り出して般若心経のページを開かせ、簡単にこのお経の意味を教えてやってから、アンチャンより先に恩山寺を出発しました。

 立江寺で、しばらくするとアンチャンも到着しました。弦巻坂、四国徒歩遍路

 「アンサンに、さっき托鉢してみろと言ったが、やる勇気は無いじゃろ。

 たぶん、やれんだろなぁ・・と思いながら、わざと言ったんじゃ。 σ(*_*)は意地悪ジジイじゃけんのおぅ。(^O^)ヒッヒッヒッ・・・

 それがやれないのだったら、せめて本堂・大師堂で、周りの人がビックリするくらい、精一杯の大声で般若心経を唱えてみなせぇ。」


 「でも、大声を出したら、周りの人に迷惑じゃないですか?」

 
「何言ってまんがなぁ、でえじょうぶ。寺で経を唱えるのだから、だれも文句言わん。四国徒歩遍路

 つっかえながらでも、間違って途切れてもええんじゃ。迷惑だと思うなら、参拝者の居ない時にやれ。

 それにアンサンが今言った言葉は、頭の中で考えた言葉だ。

 それでは聞くが、アンサン、今すぐそこの本堂で大声で経を唱えられるか?

 出来んじゃろおぅがぁ・・恥ずかしさの方が先に立っちまって・・(^O^)カッカッカッカッカッ・・・

 σ(*_*)は今でこそ何でもないような顔して寺で尺八吹いてるけど、最初の頃は音は出ないわ・・足は震えるわ・・曲は間違えるわ・・で、ドエレエ恥ずかしい思いをしながら吹いて来た。立江川、四国徒歩遍路

 そいでも、その恥ずかしさに耐えに、耐え抜いて来ると、何かがわかって来るんやでぇ。

 これは、実際にやった者でないとわからんし、何がわかったかという内容を他人に教え伝えようとしても、上手く表現して伝える事は出来ず、「何か」としか言いようがない。

 アンサンが、さっき言った「迷惑じゃないか」という言葉は頭の中で考えた事であり、まずは実際にやってみない事には何もわからん。

 やってみて大声で唱えると、心の変化はどうなるか、そこで初めて何かわかる事が有るかもしれん。

 σ(*_*)は遍路していて「頭の中で考えるな、心で考えろ。」と教えられた事がある。立江橋、四国徒歩遍路

 弘法大師さんが最澄さんに「本の知識だけに頼って、わかったつもりになるな。実際にやってみないと何もわからんと、今まで何回も言っとるのに、わからんヤツじゃなぁ。」と言ってケンカ別れしたんだけど、知ってる?

 そか・・知らんか・・シクシク(T_T)

 まぁ、今すぐに・・と言うのは無理なのは、よぉ~わかっとるから心配すんな。立江寺、四国徒歩遍路

 すぐにやれとは言わん、心の準備もいるじゃろおうからなぁ。(^O^)ケケケ・・・

 遍路してる時にσ(*_*)の言った事を、たまに思い出して考えてみなせぇ。」
と、エラソーに言って尺八参拝しに行きました。

 立江寺を出発してアンチャンと別れる時に納札をくれ、そこには
「お遍路の心得、自分なりに考えてみます」と書いてありました。

 後で越後屋が言うには、あんちゃんは
「ズシィ~ンと来た」と言って、だいぶショックを受けてたそうです。

 きっと、マジメなアンチャンだったんだろおなぁ・・・


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「惜別の唄」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。


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