HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第二章「目次」 >11 木漏れ日
H17.12.31 UP
「星の岩屋」への遍路道は、「星谷」集落を少し上がった車道脇に「四国の道」の看板があり、そこが遍路道の入口です。
その看板付近に軽自動車が一台通れるような道が川沿いに有り、少し歩くと、すぐに人家は途絶え、そのままミカン畑の山に向かって登り始めます。
コンクリ舗装道を、エッチラエオッチラ歩くと、けっこう高いところまで登り、キツイ坂でした。
道端に石仏があり写真を撮ろうとしたら、石仏に枯れ枝が引っ掛かっています。
「あらあぁ~カワイソーに、これも功徳の一つじゃろおう」と思い、その枝を取り除こうとしたら、「ポキッ」と音がして折れちまいました。
あれまぁ・・と思って良く見ると石仏の右手に、榊の枝を差すようになっており、その枝が枯れちまってたのです。
が・・善意でした事でもあり、バチは当たらんじゃろ・・・
車道と交差する箇所までキツイ坂道を上がり、車道をフト見ると、
ギエッ~エエッッッ~~・・・!!、20匹ほどのサルの集団が、道幅一杯に広がり、トグロ巻いてるじゃねえか。
「アッ」と思った瞬間、サルの集団はσ(*_*)らの姿を見るなり、一斉に蜘蛛の子を散らすようにパッと散らばります。
車道から下へ飛び降りるわ・・・山の中へ逃げ込むわ・・・トグロ巻いてたサルたちは、たちまち一匹も居なくなりました。
サルもビックリしたかもしれんが、こっちもビックリしたでぇ・・
この辺のサルは、まだ人に慣れてなく、せいぜいミカン畑の実をカッパラう程度かもしれんが、そのうち人慣れしちまい一斉に集団で襲いかかられたらオトロシイでぇ。
犬に吠えられるのと同じくらいオトロシイなぁ。
こんなオトロシイ所だと思わなかったので、遍路鈴を取り出して体に付け、鈴の音でこちらの存在をわかるようにしました。
その交差点に「星の岩屋」への表示があり、その道に入って行くと今までと違い、人がほとんど通らない廃道のような感じです。
道路は幸い舗装されていたので、道は草に覆い尽くされる事なく、わかりますが、さっきのサルたちが、どこからか、こちらを見てるような気がして、あんまり良い気持ちはしまへん。
おまけに木々の枝葉で、だんだん薄暗くなるし・・いややなぁ・・・
谷川に小さい橋が架かっており舗装道路はそこまで、橋を渡ると細い急な山道になり、エッチラ・オッチラ歩いてると、わずかな距離で「星の岩屋」の駐車場付近に出ました。
一休みしてから参拝し、その後「裏見の滝」の洞窟で尺八を吹きました。
洞窟内は涼しく、滝音だけが轟き、世俗の騒がしい音は一切聞こえず、こんな所でズゥ~と尺八を吹ける生活を送れたら、ええやろおなぁ。
滝の音をバックミュージックに、目を閉じて尺八を吹き続け、フト目を開けると・・・な・・な・・なんじゃ、あれは!!
真っ暗闇の洞窟奥に、この「星の岩屋」と同じ寺紋「★」のマークが光り輝いているではねぇか。!!
こ・・こりは・・・もしかして・・!?、畏くも、もったいない・・「星の岩屋」の神仏が、σ(*_*)の尺八を聞きに現れた奇跡か!?
いや、そんな尊いお方が、信心の足りねぇσ(*_*)のようなモンの前に間違っても現れるわけがねぇ。
それとも知らんかったといえ、先程の石仏の枯れ枝を折っちまった祟りの前触れか・・・スマン事をしちまった。
ここで尺八を吹き止めると光が消えちまうかもしれんので、それじゃあぁモッタイナイと思い、そのまま尺八を吹き続けながら★を凝視しました。
★は微動だもせずに輝き続け、曲が終わっても消えません。
新たなる曲を吹き始めると、★はやがて梵字のような模様に代わり、薄くなりながら消えてしまい再び真っ暗闇になりました。
この奇跡を越後屋に教えてやろおと探すと、階段のベンチで口をあけて昼寝しとります。
ええいぃぃ、この不信心モンメが・・!!
この二度と見る事が出来ないような、ドエレエ奇跡が起きたと言うのに、昼寝なんかしとる場合じゃねえ・・と、叩き起して、
「驚くんじゃねぇ・・奇跡が現れた。信じられんかも知れんが、裏見の滝の洞窟で、この寺の幕と同じ★のマークが光輝くのを見たぞ。」
「ふぅ~ん、良かったね。(つまらんそうに・・)」
あっ、こいつはσ(*_*)の言う事を、全然信じておらんな。
こおいう場合は、もっと詳しくその奇跡の話をして聞かせろとせがみ、お互いに手を取り合って喜びあいながら現場に馳せ参じ、土下座して拝みに行くのが普通じゃろおがあぁ。
「あっ、その顔は信じておらん・・・疑っておる顔じゃ」
「そんなことないよ。アンタは尺八を吹いている人だから、きっと、そおいう事もあろうかと・・・・」
「いいや、信じとらん。こいつ、何をアホな事ぬかしとるんじゃと言う顔しとる。」
「違うってぇ、アンタばっかり、いいなぁ・・と羨ましく思い・・・」
うそこけぇ・・・その顔に、シッカリ書いてある。
そうか、すまんかった、σ(*_*)が悪かった、奇跡を目の前にしちまい、つい興奮しちまったが、話す相手が悪かった・・もう一回、口あけて昼寝してくれ。
実は★を見つけてから、その曲が終わった時、その光の正体を確かめようとしました。
★は掌くらいの大きさで、手を伸ばせば届きそうな位置に有り、見渡してもその岩壁に、どこからも光が照射してる様子は有りません。
★に、そお~っと手を触れてみました。
その瞬間、手はヤケドするほど熱い物体に触れると共に、★は輝きを増して、そのマブシさのために目がくらみ・・・雷鳴のような轟きと地響きが生じ、その衝撃のため三尺ほど後ろに跳ね飛ばされて転んじまい、ただでさえ悪い頭が、ますます悪くなっちまい・・・・・という、オトロシイ事象も無く、触ってみると単なる岩肌です。
振り返って滝の方を見ると、洞窟入口付近に小さい水溜まりが有りました。
はい、そおです。 外の木々の枝葉から漏れる光が、その水溜まりに反射して洞窟の奥まで投射し、また枝葉から漏れる光が偶然★の形となり、時間が立ち★の形から梵字のように変化したよおです。
これはたぶん、この日・この時だけ、自然がσ(*_*)だけに見せてくれた偶然の一瞬でしょう。
信じてもらえんかもしれまへんが、本当に「星の岩屋」本堂に掛かっている幕の寺紋と同じでした。
σ(*_*)が体験した、奇跡とも言える自然の偶然は「仙龍寺」における「響鳴」の時を含めて、これで二度目です。
あの「響鳴」も、あの時の一度限りで、以後に参拝した時は、座った位置関係が悪いのか、当時よりも長い尺八を使用したためか「響鳴」しませんでした。
以下、広告です。