HOME > 遍路・巡礼 四国遍路第二章「目次」 >15 慈 悲
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7月に太龍寺から下りた所の「阿瀬比」で区切ってましたが、9月中旬に再開して「阿瀬比」までバスで行きました。
この日は雨が降っておりましてなぁ・・・秋雨が、シトシト・・・
平等寺に到着すると、若い男の遍路が山門の所に荷物を置き、ボンヤリ座って雨宿りしてます。
そおなんだよねぇ、この寺はあんまり雨宿りする所が無いんだよねぇ・・・
山門近くに古い閻魔堂のような建物があり、ここの軒下が広く、いつもここで荷物を置いたり休んだりしていますが、ベンチが壊れかかってるんだよねぇ・・・・ゼイタク言うわけじゃないなんだけど・・・。
堂内には、ちゃんと閻魔さんが、ギョロ目光らせて睨んでおり、そのお付きの人達も、それぞれガンバッて仕事に励んでおられます。
しかし哀しいかな・・働きが悪いのか、給料が安いのか・・・・塗りが剥げていたり、ホコリっぽい感じがしており、あんまり仕事が無く閑古鳥が鳴いてるよおです。
そのうち経営のさらなる転進を計るため統廃合を行い、閻魔さんはポスト削減による管理職降格・・・
その他の職員はリストラされたり、他部へ下働きへ出されて、ワケのわからん仕事させられっちまい、何時の日にか閻魔堂は取り壊されちゃうかもしれんまへん。
それでもここは雨が当たらないので、壊れかかったベンチに荷物を置き、山門のアンチャンにも声を掛けようと思いましたが、濡れてないようなので、そのままにしときました。
しばらく休んでると、若い女の遍路が来て、どこで休もうかとキョロキョロしてたので「こっちへ来て休みなせぇ」と声を掛けました。
まだ幼さの残る子で、3回目の区切り打ちでここまで来て、今回の区切りは室戸まで行く予定だと話します。
まだ休んでるσ(*_*)らより先に女の子はサッサと参拝し、お別れの挨拶をしてすぐに出発しましたが、しばらくすると戻ってきます。
「どうしたの?」と尋ねると、「忘れ物したような気がするので戻ってきた。」
結局、忘れ物は無かったけど、何だか頼りない感じがする。
手を洗う水盆には、南天の枝を沈め睡蓮の花が浮いておりました(造化だったけど、一番上の写真)。
この寺は、いつ来てもこのような気遣いがしてあり、以前に来た時は「紫陽花の花」が浮かんでいた事があります。
そのように瑞々しい季節に応じた配慮がしてあるのは、この寺だけだのような気がする。
大師堂で参拝し終わり、ふと山門を見ると、先程のアンチャン遍路が、立ち上がってこちらを見ていました。
平等寺を出発し、途中の店で何か昼食用の食料を買おうと思いましたが店が有りません。
やっと見つけた店は、客があんまり来なく閉店してるのか開いてるのか、わからんような小さい個人の店で、スナック類しかなく、腹の足しになるのはソーセージだけでした。
鉦打トンネル手前に遍路小屋が出来ており、やれやれと思って中に入ると、平等寺の山門に居たアンチャン遍路が先に休んでいます。
σ(*_*)らだけ買って来たソーセージを食べるのも気が引けるので、ソーセージを分けてあげました。
聞いてみると東京から歩いて来て、遍路が目的では無いようです。
σ(*_*)らは、これから由岐経由で薬王寺へ行くが、国道より数km遠いけれど海が見れてキレイだよと勧めました。
どちらを通るか分岐点に着いた時の気持ちで決めると言ってましたが、たぶん由岐経由で行かないやろなぁ。
アンチャンが先に出発した時は、雨足が強くなりましたが、σ(*_*)らが出発するころには小雨になりました。
薬王寺に夕方5時近くに着き、今回は階段に一円玉が少なく、もう集めた後だったのかな?
本堂の入口に「堂内での参拝する人は納経所で許可を受けるように」と書いてあります。
ほほおぉぉ・・ここは堂内へ入れたのかと思い、許可をもらい堂内で参拝しました。
大師堂を参拝した後、本堂の裏でも尺八を吹きましたが、この堂裏は、ここの本尊さんの力が強すぎて、後ろ向きに奉ってあるらしいですが、あんまり参拝客は知らないよおです。
おまけに、なんせ裏なもんだから、ほとんど参拝者は来ませんが、それでも気分良く吹いてると、だれか来たよおです。
吹き終わった後、越後屋の待ってる所へ行き
「吹いてたら、珍しくだれか一人裏の方へ来たようだ」
「あっ、あれ・・ワタシ」
「なんで? σ(*_*)が尺八を吹くのなんか珍しくもないやろおに・・」
「ボオッ~と日和佐の町を見てたら、いつもと違い尺八の音色が良いので、何か変化が有ったのかと思って・・・」
ふうぅ~ん・・・これはヒョットすると本尊さんの霊力が感応した賜ものか?
今まで越後屋に尺八を誉められた事は、一度としてに無く、散々ケチつけて喜んでいた事のは数知れぬほど有ります。
こいつは人を誉めるという事を知らんヤツかと思ってたが、今回だけ初めてお誉めの言葉を頂き、今現在に至っても、この時のたった一度限りでした。
夕暮れが過ぎて薄暗くなった頃、若いアンチャン(先程のアンチャンとは違う)が薬王寺に到着し、リュックに子猫を入れてます。
聞いてみると「生まれたばかりのような捨て猫を拾い、病気のため目が見えないようだ。 これから動物病院を探し、この子猫を、ずうっ~と連れて行く」と言い、町の方へ歩いて行きました。
自分も疲れているだろおに、この小さい子猫のために、そこまでしてやる優しい気持ち・・・
これが慈悲というものか・・・・このアンチャンに教えられた気がする。
食堂で麦飯定食を頼み、昼夕兼食を食べてると、バイキングの量が残り少なかったので刺身を付けてくれました、すんまへんねぇ。
ついでに明日の朝、ここの駐車場に車を置かせてもらえるように頼み、σ(*_*)らが車野宿するのだとわかると、「ちょっと待っててね」と言い、奥に引っ込んでから「今日は泊まる遍路が居ないので、バスの中で泊まったら良い。」と親切に言ってくれました。
でも、先程の子猫を拾ったアンチャン遍路も、たぶん野宿遍路で、ここをアテにして来るかもしれないと思い
「ありがとうごぜえます。σ(*_*)らは自分の車で泊まり雨露をしのぐ事ができます。
まだ後ろの方で遍路が歩いてると思い、よろしければそちらの人を泊めてあげて下さい。」と丁寧に断りました。
夜は海岸近くの神社境内で車野宿しました。
神社の拝殿から神楽が聞こえたので見に行くと、女子高生ぐらいの女の子達が4人、元OGと思われるオバハンの指導の元に舞いの練習をしています。
拝殿に近づくと自然に電灯が点き、アララッ・・・とチト慌てたがそのまま見ていると、中に居た神主と思われるトッツアンが「何か用か?」と聞いてきたので「見物させてもらってます」と言いそのまま見てました。
ジャージ姿での練習でしたが、巫女さんの舞もええもんですなぁ。
夜中にはドシャ降りになって、激しい雨音が車を叩きました。
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