HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第二章「目次」 >16 以心伝心


四国徒歩遍路   H18.2.4 UP



 山河駅近くの「打越寺」へ寄ると、本堂前は広々としており、小学校のグランドかと思うくらい何もありまへん。打越寺、四国徒歩遍路

 そのグランドに1台の車が駐車してあり、車の下で犬が寝ています。

 あらあぁぁ・・吠えにゃいいが・・と思ってると、むしろこちらの姿を見て、逃げ去ってくれた。ヨカッタヨカッタ

 参拝してる時、もう一匹犬が走り回っており、ここの境内はよけい犬が居るところじゃなぁ・・後片足の無い犬、四国徒歩遍路

 堂の後ろのほうへ回ってみると、先程車の下で寝ていた犬がいて、捨て犬らしく吠えもしまへん。

 そのうち、走り回っていた犬が来て、よく見ると後ろの片足がありまへん。

 事故にでも会って足が無くなったんかなぁ・・と思ってると、どこからともなく現れたトッツアンが
「生まれつきだ」と言い、お寺の人かと思ったら遍路でした。遍路の犬、四国徒歩遍路

 そのうちに、また違うイヌを連れた中年のオバハンが来て、話しを聞くと二人は夫婦で、犬を連れて遍路しており、車の下で寝ていた犬は、この寺で飼ってるのか居着いちまった野良犬かわからん犬らしい。

 トッツアンは、以前に遍路しながら3年間、四国を巡っていたそうで、ある住職から

 「今のような遍路生活をしていれば、食っていけるかもしれん。 しかしこのまま続けていると、一生この生活から抜け出れなくなる。 故郷へ帰り、まっとうな仕事に就くよう。」
と諭されて、それもそうだと思って遍路を止めて国へ帰ったそうです。国道55号線、「平間」への分かれ道、四国徒歩遍路

 国へ帰って働いていた時に、オバハンと知り合い結婚して1年たち、昔、遍路をしていた事を話すと、彼女が是非一度、遍路に行きたいと言うので連れて来たのだと話しました。

 ふぅむぅ・・住職にも遍路を、ちゃんと諭す人がいるんやなぁ。

 このトッツアンは遍路生活から抜け出れたが、遍路Kさんは、とうとうこの生活から抜け出れず、今も四国のどこかの地を巡ってるでしょう。

 トッツアンは自転車の前カゴに犬を乗せ、オバハンは手押し車にもう一匹の犬を乗せて遍路しているという。四国徒歩遍路

 片足の無い犬の話題になるとオバハンが

 「未熟児で生まれたため片足が無く、親犬が育児放棄し、ワタシが代わりに育てた。

 尿、便も親犬のように舐めて出させたのよ。
 だから私を母親だと思っているの。
 私の言うことは、ちゃんと聞く。」


 
「その代わり彼女が居ないと、不安そうでおとなしい。」

 そんな話しを聞きながら、その片足のない犬の目を見つめながら
「おい、おまえはσ(*_*)が何を考えてるか、わかるか?」と目で問いかけると、犬もジイッとσ(*_*)を見つめています。四国徒歩遍路

 「以心伝心」ちゅう言葉が有るので、ヒョットして犬の心が読めるかもしれんと思い、なおもジイッ~と犬の目を見つめてると、犬もσ(*_*)の顔をジイッ~と見ています。

 しかし、やっぱし何を考えてるかわからず、何も伝わって来まへん。

 しかたねぇから義理で頭でも撫でてやるか・・と、そおっと手を差し出し・・おい、噛みつくんじゃねえぞ。彼岸花と歩き遍路

 幸い噛みつく事も無く、素直に頭を撫でられていたので、よしよし、そいじゃオマケに顎の下とか首とかも撫でてやっからな。

 犬は気持ち良さそうに目をつぶって、されるがままになってます。

 いい加減面倒になったので、もうええじゃろ・・義理は果たしたんじゃからと思って撫でるのを止めたら、今まで気持ち良さそうに目をつぶっていたのに、パチリと目を開け、
「どうしたの?」という風な目をして見つめます。

 それから前足でσ(*_*)の撫でていた手をトントンと叩いて、やっぱしジイッ~と見つめます。四国徒歩遍路

 なんじゃ、まだ首のマッサージをやれちゅうんか・・しかたなく、もう一度首やら顎やら頭やらをゴリゴリと揉んでやり・・犬はウットリ・・

 そりゃあぁ、そおじゃろ・・σ(*_*)でさえも、そんなにマッサージされた事は今まで無かったんだから・・・。

 疲れたのでマッサージを止めたら、また目を開けてトントンと前足で手を叩きます。

 σ(*_*)、この犬に好かれっちまったんかなぁ・・・しかたなく、もう一回マッサージ・・四国徒歩遍路

 そのうち、犬がゴロンと腹を見せて足を広げて大の字になり
「もぉ、ワタシどおなってもいいの・・・、あなたの好きにしてぇ・・」というカッコウをします、メス犬なのに・・・。

 首は、もうええから、今度は腹を揉めってか・・なんちゅうワガママな犬じゃ・・しかたなく、腹をさってやるとやっぱりウットリと目をつむります。

 おまえは気持ちよいかもしれんが、揉んだりさすったりしてるσ(*_*)の身にもなってみろ。

 言っとくが、ワシは犬は嫌いなんじゃぞ、義理で、しかたなく撫でてやっとるんだから勘違いするんじゃねぇとブツブツ思いながらさすってやりました。

 もう、ええやろ・・と思って止めると、パッと目を開けてσ(*_*)の顔を見て、やっぱし前足でトントンして催促します。四国徒歩遍路

  コ゛ォラアアァァァッッ~~σ(*_*)は、おまえの専属アンマか・・甘ったれるんじゃねぇ。

 今までオマエの仲間達には、さんざん吠えられてイヤな思いをして来たので、犬が嫌いなんじゃぞ。

 今やってるのは、飼い主の目があるから仕方なくやってる義理のマッサージなんだからな、勘違いするんじゃねぇ。

 仕方なく、またさすってやりましたが、こんなσ(*_*)って、お人好しなのでしょうか。


 平等寺、四国徒歩遍路←前頁「慈悲」へ   次頁「八坂八浜」へ→八坂八浜、四国徒歩遍路


 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「惜別の唄」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。


以下、広告です。