HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第二章「目次」 >18 渡り鳥
H18.2.19 UP
早朝、鯖大師を出発、朝が早いせいか誰もいなく、空は秋晴れ、海も静かでええ天気ですなぁ。
テクテク歩いて浅川漁港近くにある農協の自販機で、まず冷たい飲み物を購入。
この場所は初めて歩いた時から、今まで毎回いつも飲み物を買って休む場所です。
何度歩いても、不思議にも休む場所はたいてい同じ定まった所で休み、これが帰巣本能というのか・・・犬・ネコのタグイが同じ所で、チッコするのと同じというのか・・・
こおいう行動から考えると、遠い国から来る渡り鳥も、途中で休む時はσ(*_*)らと同じように、毎回決まった場所の同じ木で実を食べたり、同じ水辺の畔で小魚捕ったりして休むような気がする。
再びテクテクテク・・・・
海部川の橋から見ると、魚釣りの人が川の中にまで入って竿を並べてます。
国道から旧土佐街道の山道に入り国道へ出た所で、ちょうど国道を歩いてきた遍路が前を通り過ぎ、手には大きいゴミ袋を持っています。
何を持って歩いてまんねんと思って、ゴミ袋を見ると空のペットボトルが一杯入っており、きっと道端に落ちているペットボトルを拾いながら来たんやろねぇ・・エライなぁ。
「道の駅宍喰」に到着すると、外の休憩所でエンドレス風のトッツアン遍路が食事しており「ここに来て休まないか?」と声を掛けられたましたが「中の方が涼しいので、そちらに行きます。」と断りました。
暑いところを歩いて来たので、中はクーラーが効いており涼しいでんなぁ。
ソファに座り、口を開けてボケッ~と涼んでいると、先程ののエンドレス風遍路がやって来て、σ(*_*)以上にボオッ~とした雰囲気で話かけてきました。
「私は5年生(小学生の時の事かな?)の時から遍路をしている。
私は高野山の森というエライ家の長男に生まれたのだが、お大師様に「お前は遍路に行って困っている遍路を助けなさい」と言われ、お姉さんに家督を譲って来た。」
うむぅ・・・正直言って・・自分は、お大師様の生まれ変わりだとか・・・お大師様から、お告げがあったとか・・・という話しをする人とは、できる事ならば関わり合いにならず、避けたいんだけどなぁ。
「はぁ・・はぁ・・・」と黙って適当に相づちを打ち、早く向こうへ行ってくれんかなぁ・・と思いながら聞いてるフリをし、越後屋は完全に無視して、目をつむって涼んでいます。
あんたは、いいよなぁ~・・、無関心を装う図太い高等技術と、何事にも負けない強い精神力を持っていて・・
σ(*_*)は話し掛けられると、つい相手をせにゃアカンと思っちまう、お人好しの気弱な性格だから、あんたの性格がうらやましい。
そのうち「自分は接待で貰ったお米や野菜は、全部自分の物にせず、困っている遍路に分けている。」と言ったのを聞いて、初めてこのボオッ~としたトッツアン遍路をマジマジと見ました。
以前に托鉢している尼さん遍路と話した時、「托鉢で得たお金を全部自分のために使ってしまうと、本当に困っている遍路を助けようと思った時に助けられない事がある。」という言葉を思い出したのです。
おぉぉぉ・・・ボオッ~としているように見えても、あの尼さん遍路と同じ事を言うでねぇか・・と改めて見直しちゃった。
貰った物は自分のために全部使うのではなく、いつかどこかで困っている遍路と出会った時に助けるために、あえて乏しい中からも余裕を残す心がけ・・σ(*_*)のような欲深いモンには、忘れていた言葉で「ハッ!!」としました。
「道の駅」を出発し、リヤカーを引いて前を歩いてる先程のお大師様のお告げを聞いたトッツアン遍路に追いつくと、また話しかけて来ます。
さっきと同じように適当に相づちを打ってると「これから、以前に接待を貰った家に寄って行くが、アンタも来ないか?。」
「えっ・・でも、それって相手方の迷惑じゃないですか?」
「いや、来た時には寄ってくれと言われてるから・・」
しかしなあぁ・・・「また寄ってくれ」と言われても、接待した人は、ホンマにそれを本心で言ったのかなぁ、義理やお愛想で言ったような気がするんだけど・・・。
以前に焼山寺を下りて「鍋岩」で野宿した時に、地元バサマと話をして、やっぱりこの接待の話しが出ました。
バサマは、軽い気持ちで遍路にオニギリをあげたら、それから毎日家へ来るようになっちまったそうです。
いいかげん来るのを止めて欲しいと思ったけど、よぉ~言えないでいると、親戚の人が「あんた、ハッキリ断りなはれ」と言われて断ったらしいが・・このお告げを聞いた遍路も、そのタグイのような気がする。
困っている他の遍路を助けるという心がけは、立派で見習わにゃアカンし、「寄ってくれ」と言われると普通の人でも真に受けちまうかもしれん。
しかし、こおいうもんは相手側の立場・雰囲気もチビッと考える必要があると思う。
その事を、お告げを聞いた遍路に話しても、なんせ「自分はお大師様の命により遍路しとるんじゃ」と固く信じてる人だから、わかってもらえんかったよおです。
σ(*_*)もそれ以上は言ってもダメと思い、言わんかったが・・
お告げの遍路は接待を貰ったという家の方へ向かうので、途中で別れました。
今日の予定地の甲浦駅に着くと、だれも居ない待合室のテーブルの上に一冊の本とタオルが置いてあり、だれかが忘れていったのでしょう。
本の題名をみると「教養主義の没落」と書いてあり、題名を見ただけで頭痛とメマイがしそうな難しそうな本です。
言っちゃあぁ悪いけど地元の人は、こんな本は読まないだろうし、読むとしたらこの駅を利用した旅行者か遍路が忘れて行ったんでしょう。
暑い中を、こんな難しい本を読みながら旅をして面白いんかなぁ・・σ(*_*)とは住む世界が完全に違うなと、この本を見ながら思っちまった。
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