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 室戸岬海岸、四国徒歩遍路   H18.3.4 UP



 最御崎寺は霧がかかっており、麓が晴れていても、ここは室戸岬の高台にある寺なので、海にも近いせいか、よく雲の中に入ります。最御崎寺・境内、四国徒歩遍路

 参拝が終わり、室戸岬灯台方向の海を眺めていると、越後屋から携帯電話が鳴ります。

 なんじゃ、せっかく旅情にひたり、思わず涙がこぼれ落ちそうなのに、無粋なヤツメ・・

 電話に出ると
「今、尺八持った人が寺へ行くから・・」と教えてくれました。

 おぉぉ・・さよか、遍路していて今まで尺八を吹いてた人と出会ったのは、2人しかいなく、それも慌ただしかったからなぁ。

 今回は最初から最後まで、ジックリと知らんフリして、ゆっくり聞かせてもらおうじゃねぇか。(^O^)ダハハハ・・・・最御崎寺より室戸市内へ、四国徒歩遍路

 後で越後屋に聞いたところ、駐車場で車から降りたトッツアンに
「寺まで遠いのか?」と聞かれたらしく、その時に尺八らしい物を持っていたので
 「尺八を吹かれるのですか?」
 「そうだ。」

 「聞きに行っても良いですか?」
 「聞きたいの?・・・それじゃぁ・・」
と言って、その場で「調子」を吹いてくれ、弟子に教える手前、実際に霊場巡って吹いてるらしい。

 本堂付近で早く来ないかなぁ・・と待っていると、σ(*_*)の着ているようなヨレヨレの小汚い作務衣じゃなく、高級そうなキチッとした茶色の作務衣を着て、いかにもそれらしいトッツアンが一人歩いて来ました。室戸海岸を歩く、四国徒歩遍路

 ヒッヒッヒッ・・・待ってたでぇ・・・早く聞かせてくんなせぇ・・・(^O^)

 あら、納経所へ先に行くのね・・・まぁ、先に済ませるモンは済ませておいた方が、良いかもしれまへんわなぁ。

 この世の中、次の瞬間に何がどうなるか、先がわかりまへんからなぁ。

 おっ、出て来た・・よっしゃあぁぁ・・・本堂へ行くぞ、さっきからワクワクして待ってたでぇ。拍手して迎えちゃおうかなぁ・・・!(^^)!

 あらっ・・一瞥して行っちゃうのね・・・そいじゃぁ、大師堂で吹くんかな?、あらら・・通り過ぎちゃうのね。 そいで、そのまま帰っちゃうのね・・・津照寺、四国徒歩遍路

 楽しみに待っていたのにぃ~・・ゴォラアァァァ~・・・木戸賃返せぇぇぇぇ~・・・(T_T)ワァ~ン

 しょうがないので、そのまま後ろを少し離れて付いて行き、気が変わったら吹くかもしれんと思ったが、とうとう駐車場に着いちゃった。

 越後屋が
「聞けた?」 「聞けなかった」とσ(*_*)

 そこで初めてトッツアンは、σ(*_*)が越後屋の相棒だとわかったようです。

 ううむうぅぅ・・せっかく黙ってコッソリ聞こうかと思ってたんだけど、アカンかったかぁ。室戸岬をの望む、四国徒歩遍路

 改めて初対面の礼儀として、流派を名乗った後、
「σ(*_*)はCDを聞いて自己流で尺八を吹きながら遍路をしていますが、貴方も尺八を吹かれてるそうですね」と言ったが、やっぱりσ(*_*)の「洋山流」は名も無きに等しいチッコイ流派なもんだから知らんようです。

 民謡関係の流派と勘違いされたが、尺八の流名を見せびらかして遍路しとるわけでもなく、説明するのもメンドウなので、あえて訂正はしまへんでした。

 相手の先生は、明暗流で某地方にて尺八を教えていると言います。

 試合に例えるならば、ここら辺が、道場へ乗り込んで「たのもおぅ~」と言い、初対面の挨拶をした部分でしょうなぁ。金剛頂寺・遍路道、四国徒歩遍路

 
聞かせてもらえませんか?」
 「えっ、いいですけど、貴方から吹いてください。」

 ヘッヘッヘッ・・・何言ってまんがなぁ、弟子まで持っておられるエラ~イ先生が何を、おっしゃいますやら。

 何事においても、エライ人が手本を見せるため先に吹くのが、常識でしょうがぁ。

 ここら辺は、お互いに剣を構えた所でしょうなぁ。

 「いえいえ、そおいう訳にはいきまへん。どうぞ、先に吹いてください。」
 「そお言わずに・・」

 この付近は相手の構えを見て、お互いに間合いを計ってる段階かな。金剛頂寺からの遍路道、四国徒歩遍路

 相手を先に吹かせて、その力量を見極めてから安心して吹こうと・・・考える事は、お互い同じでんなぁ・・(^O^)ダハハハハ・・・

 「やはり、こおいうモンは専門家である先生の方が、先に手本を見せて頂かねぇと。
 σ(*_*)のような自己流でやってる下々のモンは・・・・シノゴノ・・・・・」

 「いんやぁぁ・・そお言わずに・・ウダウダ・・・・」


 ジリジリ・・・と、間合いを計りながら詰め始めますが、どおしても、ここはエライ先生よりσ(*_*)が先に吹くわけにいきまへん。遍路道、四国徒歩遍路

 お互いに何度も譲り合う、涙ぐましい美しい光景が・・・・(^O^)

 「どうぞ、お先に・・どうたら、こうたら・・」
 「いえ、どうぞ、そちらからお先に・・・・・ああでもない、こうでもない・・・」

 ・・・延々と、いつ果てるともなく・・おい、日が暮れっちまうでぇ・・(^O^)ダハハハハハ・・・

 このままではラチがあかんと思い、よっぽどσ(*_*)が折れて先に吹こうかと思いました。

 しかし、やっぱし、どおしてもメンツを重んじる邦楽界の序列の事を考えると、σ(*_*)が先に吹くわけには、いかんわなぁ。

 やがてエライ先生も、そう思い始めたのか折れて
「それでは・・」と言い、近くの石灯籠に楽譜を置き「調子」を半分位まで吹きま遍路道、四国徒歩遍路した。

 
「それでは、次に貴方・・」と言うので、いつも本堂で吹いてる「手向」を吹き、エライ先生が曲の途中で止めたので、σ(*_*)も曲を最後まで吹かず半分くらいの所で止めました。

 それから少し尺八の話をして別れました。

 σ(*_*)としては、この吹き比べは、相手がどのような曲想で吹くのか、自分が持ってない何かが有ったならば、それを今後の参考にしようと思ったのです。

 たぶん相手の先生は、こいつはどれ位吹くんじゃろおう・・と思った事でしょう。

 偶然に何の約束もなく出会い、お互いに相手の力量を見定める吹き比べ・・という感じで、まさに野試合という気がしました。


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「五木の子守唄」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。


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