HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第二章「目次」 >3 行 者
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国道から遍路道への羽根の分岐点で、タバコ自販機に1000円札を入れ、タバコを買おうとしたら、ボタンを押してもタバコは出てきまへん。
ん?・・おかしいなぁ・・と、もう一度ボタンを押しても出てこず、なんじゃあぁぁ~・・こりはぁぁぁぁ~・・・・と、あきらめて返却ボタンを押してたら、釣り銭しか戻って来まへん。
「コラアァァ~・・金返せえぇぇ・・(T_T)ワアァ~ァン」と、泣きながら返却ボタンをガチャガチャ押しても、自販機はワシ知らんがなぁ~・・と返事もしまへん。
自販機を置いてる店にモンク言おうと思ったが、朝9時なのにまだ店が閉まってます。
せっかくの休みの日で、寝坊をしてるのかもしれんと思い、タバコ2箱位で叩き起こすのも気の毒だから、しかたなくあきらめました。
中山越えの頂上付近に、室戸岬・行当岬が良く見える峠があります。
これが室戸岬の見納めかと、しばし岬を眺めて出発しようとしたら、付近の木に発泡スチロールがブラ下がっており、何か書いてあります。
「ゴミ捨てるな」という看板かなと思って読んでみると「道中気をつけて土佐の自然を楽しんで下さい」と書いてあります。
おおぉぉ・・地元の人が取り付けてくれたんかな、アリガタイ事じゃ。
その裏をひっくり返して見ると「たびへんろ ついていけない くやしさが まんがんねがう この地から」とマジックで俳句が書いてありました。
自分も自由気ままに遍路したいのだが、何らかの事情でそれも叶わず、遍路している人を見るたびに、うらやましく思う心が、この句から滲み出ています。
通り過ぎて振り返ると、発泡スチロールは風に揺れてクルクル動いてました。
でも発泡スチロールは柔らかいので、取り付けた紐の部分から擦れちまい、せっかく取り付けたのに、あのままだといつか千切れてしまうでしょう。
中山峠を越えて、下の国道を歩いてると「三光院」の看板があります。
道路から見える建物は普通の民家のような建物だったので、大した事無いだろうと思い、いつも「今度来た時ね・・」と思って通り過ぎていたのですが、今回は訪ねてみました。
行ってみると、やっぱし見えていた建物は普通の民家でしたが、その奥に、道路から見えない広いグランドのような境内が有り、ちゃんとしたお寺が有ります。
国道の看板は車用で、裏から入ったようで、本来の参道は別の方角から長い石階段を上がってくるようです。
その石階段を上がった所に、チッコイけれども、石の仁王様が建ってます。
木造の仁王さんは、どこにでも有るけれど、石造りの仁王さんは、ここで初めて見た珍しいモンでした。
境内の堂前で男の人が掃除をしており、住職さんかと聞くと、住職は留守で自分は弟子だと言います。
見れば出来たばかりの真新しい堂のようで、この堂の新築法要が2日後にあり、護摩も焚くとの事で、そお言えば来る途中の店先に、あちこちポスターが貼ってありました
参拝の許可を貰って、まだそのだれも使ってない未使用の堂内を入らせてもらいました。
護摩壇付近の調度品の真鍮は金ピカで、その前に置いてある金襴豪華な分厚い座布団は、まだナイロン袋に入ったままです。
その分厚い座布団を最初にナイロン破って使ちゃったら叱られるだろおし、そうかと言ってナイロンの上に座ってやるのも気が引けるし・・・
付近を見渡すと来客用の座布団が有りましたが、やっぱしナイロンがかかってます。
そのナイロンを破ってまで使用するコンジョは無いので、畳の上に座って参拝しました。
本尊さんの前に有る鐘も、叩く棒にもナイロンがかかっており、これも遠慮して叩かなかった。
本当は、どんな音するか、叩いて聞きたかったんだけど・・・・
なんせ、うっかり叩いて傷を付けちまったり、乗っかってる座布団から鐘を転がり落としちまったら、弁償せにゃアカンかもしれんからなぁ。
いつもなら、ガァ~ン・・ガァン・・ガァン・・と3回叩くんだけど・・
この鐘を叩く音にも、やっぱしその人の心情が現れ、余韻を残し味わって叩く人もいれば、とにかく叩けばそれでいいんじゃ・・という人もいます。
尺八を吹き始めると、今までお掃除機で庭掃除をしていたお弟子さんが、掃除を止めて堂の外でジィッ~と立っていたらしい。
越後屋が「構わないので仕事を続けてください」と言ったら、音を出さないようにホウキで掃き始めたらしく、すんまへん、気を使わせちまって・・・
参拝が終わって、堂前の階段に座って休んでいると、お弟子さんが話しかけてきました。
「尺八は始めて聞きましたが、行者さんですか?」
「いえ、ただの一般庶民ですがなぁ。」
と答えたが、日焼けしたヨレヨレの小汚い作務衣を着て尺八吹いてると、その姿・カッコウとか、やってる事等が珍しいもんだから、行者だと思われるのかもしれまへん。
そお言えば「庵の坊さん」と初めて会った時も、まず「行者か?」と聞いてきたなぁ。
四国には、行者かワケわからんようなσ(*_*)みたいのが、よけい歩いてますからなぁ。
普通に「行者か?」と聞かれた事から、今も「行者」ちゅうモンが四国のどこかに存在しており、何かの修行をされとるのかもしれまへん。
歩いていても僧衣を着た人は見た事が有るが、いかにも「これが正真正銘の行者だ」と傍目から見てもわかるカッコウの人は、まだ見た事が無い。
もっとも、言われている「行者」とは、どのようなタグイの人なのか、よぉ~わからんが・・・
「三光院」を出て奈半利の町並みを歩いてると、「岡御殿」というのがあり、見学料200円払って入りました。
そんなに広くはないですが落ち着いた家で、庭に五本の樫の木が植えてあります。
「青龍姥目樫」ちゅう名前が付いており、それを龍に、なぞらえてあると説明看板があります。
ふむ・・そおいう風に言われてみれば、あれが龍のアゴで、シッポがアレか・・と思えない事もない。
お茶とお菓子付きで、庭を眺めながら殿様気分で過ごし、こおいう風に広々とした庭を眺めながら尺八を吹ければ良いでしょうなぁ。
お土産に扇の形をした壁飾り(250円)を買ったら、この家の家紋の入ったコースターみたいのをオマケしてくれました。
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