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  H19.12.14 UP


初めての歩き遍路

遍路用品

 車で八十八ヶ所巡りが終わったので、そのままついでに歩き遍路をやってみました。

 今までは、いい加減な気持ちでやってましたが、今回からは根性いれて(チョビッとね)白いハッピも笠も買いました。

 越後屋は、心を入れ替えて杖までも買いました。
 ワシは買わなかったけど・・・・

 なぁ〜んか、商魂に乗せられてるような気がして、あんまり遍路用品は買いたくなかったのです。

 肝心なのは気持ちじゃ、カッコウじゃない・・と強がりを思っております。
 なんせ、ゴードラ(寅年生まれで強情な性格の人を言う地方の方言)生まれなもんでして・・・・

 ホントウは、その他に輪袈裟・数珠・持鈴も必要らしいです。

 1番寺の敷地内で販売してる所で、初めての人は遍路用品を買い揃えてるようですが、念のため、あんまり客の入ってない近所の遍路用品店へ行きました。

 やっぱす、客はいません・・・・かわいそーなほどに・・・一人も・・・。
 しかし、杖の値段は寺よりも500円ほど安いので、そこで買いました。

 杖の材質も書いてある文字も、そりほど違わず同じようなのに、寺で買う方がブランド品で、有難みもちがうのでしょうか?

歩き遍路 1番〜5番

 1番から2番までの距離は、わずか1.2kしかなく、県道沿いですのでたいした事はありません。

 2番から3番までの間は、前回に車で通った県道とちがい2番寺の駐車場脇の小道を歩きます。

 すぐに県道と一緒になるかと思いましたが、寺の墓の中を通る道が遍路道で、それから少し山道を歩き、アッと言う間に町道?へ出ました。

 町の四つ角の所では、どの方向の道へ行けば良いのかわかりません。
 しかし、そこは越後屋、目ざとく電柱に貼ってあるシールを見つけました。

 老眼になったと嘆く越後屋ですが、遠くの物は、よ〜見えるようです。

 シールは丸い直径5センチほどの物で、遍路笠をかぶった遍路が杖をついてる赤いシールと、矢印(→)の付いた二つのシールがあります。

 このシールは、分かれ道の箇所の電柱に、たいてい貼ってあるので迷わずに目的地まで行けました。

 各々方も将来、歩く気になったら分かれ道で電柱のシールを探して下さい。
 このシールのお陰で、どりだけ安心して歩けた事やら・・・。

 3番から4番までの半分くらいは町道?を歩きますが、途中から田んぼの畦道やら、人家の庭先みたい所を経由して山の麓の道を歩きます。

 そして、やっぱし墓の中の道を通り、高速道路が出来たため、少し遍路道が分断されたようです。

 遍路道を示す15センチ四方の看板(これも所々に建っている)に、先ほどのシールと同じマークが白地に赤で描いてあり「遍路道を保存するように配慮願います」という趣旨の事が書いてありました。

 4番寺で、お参りして休んでいると、3番寺で見かけた三人連れのオバチャンが寺に着きました。

 確か3番寺で、それぞれリュック担ぎ出発準備をしながら
「アメ玉でも、しゃぶりながら行かんとね・・・」と言ってました。

 声をかけて聞いてみると、こりからズッーと歩き通すつもりだと言う。

「あのぉ〜・・ワシら遍路道を歩いて来たのですけど、県道を歩いてきたのじゃないですか?(?_?)」

オバチャン1
「そおです。寺で道を聞いてきたのだけど・・・・('_')」
 〃   2
「あらぁ〜・・・、やっぱし、道が゛有ったんだわぁ・・(;_;)」
 〃   3
「・・・・・・・・・(-_-;)」

「やっぱしねぇ、県道だと遠回りになったでしょう。

  実はワシ・・「へんろ道保存会」が発行した本を寺で借りて、大きい声で言えんから、小さい声で言うけど・・・・××ーして持ってるんです。(と言って地図を見せる)

  その本は、今では手に入りにくいですが、納経所か宿に有ると思いますので見せてもらった方が良いですよ。(注:今はネットでも手に入ります)


  
で、道の所々にシールとか看板が有って・・・(と説明する)」

オバチャン2
「あらぁ〜・・・・・知らんかったわ・・・(/_;)」
  〃  3
「全然、気付かなかった・・・・(T_T)」 

 オバチャン達と分かれて5番へ行き、今日の行程は終わりました。

 その頃から小雨が降り始め、バス停でバスを待っていると、先ほどのオバチャン達は6番方向のバス停でバスを待ち始めていました。

 オバチャン達は、根性出して、今後も県道でもかまわず歩くのか・・・
 バスで行く事にしたのか・・・・
 中止するのか・・・・・ 

 地図をコピーできたら、してあげたかったなぁ・・・・
                           「本日の行程 10.6Km」 

                                    00/05/17記載


予行演習

 同行二人の皆の衆。
 はい、歩いてみました、予行演習で歩いた続きを・・・・

−−− 家を出る時 −−−−−−−−−

「杖とか、ローソク入れとか、ややこしい物は置いていったら?
  どうせ今日は、次ぎの寺まで行かなくて、歩くだけだから・・。」


「しかし、杖は大師様の代わりと言われてるのに・・・。」

「いいんじゃ、どうせワシらは信心も無い、ニセモノの遍路だから。
  笠と白いハッピだけ着て行こう。気は心じゃ。(^^;ナハハ・・・」


越後屋
「ブツブツ・・・・・」

 国道と一緒の道を、しばらく歩き「羽根」という所から中山越えという遍路道に入ります。

 「羽根」集落に家が立ち並んでおり、自転車に乗った女子中学生が、すれちがいざま「さよらなぁ〜」と言ってくれます。

 まだ、お遍路さんに、挨拶する習慣があるのでしょう。
 すんませんねぇ・・・ニセ者の遍路なのに・・・気が引けるなぁ・・ 

 歩いてると、民家の中からジサマの声で
「お遍路さん。接待させてください。」

「ゲッ・・・このニセ者に接待してくりるとは、バレたら、どーしょう。(/_;)」

 再び、家の中から接待する声がする・・・・・。

 せっかくの接待を断り、知らない顔して行くのも悪い気がして、バレたら訳を話して許してもらおうと思い、笠を取って家の中へ入った。

ジサマ
「あぁぁ・・・、わざわざ、ご丁寧に笠まで取られなくても・・・
    立ち止まらせて、すみません。」


 「同行二人」と書いて有る笠は、寺で参拝する時や坊さんに会った時でも、笠を取らなくても良いらしいですが、不信心なニセ者のワシらは、何も書いてない笠をかぶってました。

 ジサマは一人暮らしのようで、部屋の中が丸見え・・・・

 狭い部屋には病人用のベッドが有って、その側に立っており、杖も置いてあるので足が悪いのでしょう。

ジサマ
「足取りも軽く歩いての所、立ち止まらせて申し訳ありません。
    わずかばかりですが、ぜひ接待させて下さい。」

と言って、1円玉の包み(銀行でくれる50円分の筒状の物)を、越後屋とワシにくれました。

 接待を受けた時は、自分の「納札」を、お礼に渡すのがホントウらしいです。
 しかし先にも書いたように、荷物を手抜きしたもんだから持っていません。

ジサマ
「杖を持ってないようですが、よかったら私の使ってたのを差し上げましょうか?」

「バレた(心の中で)・・・・・・。

  アッ、いえ・・私どもは室戸から来て、車で少しずつ区切りながら歩いており、杖は車の中にあります。
  この区間は、山越えだけなので持ってきておりません。」

と、お礼の言葉を言い、家を出ました。

 このジサマは、歩き遍路に、いつも接待をしてるのでしょう。
 先ほどもらった1円玉の包みが机の上にたくさん積んであり、納札も壁に貼ってありました。

「やっぱす、いくらニセ者でも、杖は持って歩かないと・・・。」

「そーだなぁ・・・、今度、売ってたら買おうかなぁ・・・。

  
いくら、ニセ者でも、こーやって接待されたり挨拶さりたら、そりなりのカッコウしとらんと、相手の人に対して失礼になるだろうなぁ。
 
 ワシ・・ホントウに申し訳ない気がして・・・・。」

 こ〜いう風に心境の変化が出てくるのも、大師様からの導きなのでしょう。

 うむ、仏教講座みたいになったかな?

                            00/05/21記載

27番 神峯寺

 はい、ヒマなもんで飽きもせんと、次ぎの日に続いて27番神峯寺まで歩きました。

 神峯寺の麓の村の川には、小魚が泳いでおり、一匹や二匹なんてものじゃなく、群をなしてます。
 ここ何十年も、川で自然に泳いでいる魚を見た事はありません。

 最近見るのは、たいてい水槽の中か、池の中・・・
 今の都会の子供なんて、川で泳いでる魚なんか見た事ないだろなぁ・・・・。

 そいでもって、小川で石の間に手を突っ込んで、小魚を取りなんかもしたことないだろなぁ。

 お魚さんも、幸せですね・・・・
 何の心配もなく、泳いでおれて・・・溺れないようにね・・・。

 ところで、この寺は高い山の上に有り、約4Kほどの半端じゃない急坂をヨタヨタと上っていきます。

 はい、きついですねぇ・・・、もう、年ですねぇ・・・・。
 物好きですねぇ・・・・、何がおもしろいんでしょうかねぇ・・・。

 やっぱす、目標が無いと、できませんねぇ・・・・
 今のとこ、たいした目標もないけど・・・・。

 歩いてる側を、車遍路の自動車やマイクロバスが通り過ぎます。

 車の中の人はワシらを見て、すまなそーに頭を下げてくれ、数ヶ月前、ワシらもそうして通り過ぎました。

 でも、ただワシらはボッーと歩いとるだけですから・・・・
 ワシらの事は気にせんで下さい・・それほどの信心もないんで・・・。

 前回は、ワシの方が先にハゲてしまって・・・あっ、いやバテましたが、今回は越後屋が先にバテました。

 でも、心やさしいワシは、見捨てる事なく待ってやりました。

 途中で休んでいると、歩き遍路の人が通り過ぎて行き、お互い軽く挨拶をかわし、その瞬間に仲間意識というものが芽生える気がしました。

                                   00/05/23記載


編集後記(歩き遍路・予行演習)

 室戸に居たおかげで、ちょっとした余暇の時に付近の遍路道を歩く事が出来ました。
 やっぱし現地に居る者の強みですなぁ。!(^^)!

 神峯寺へ行く途中に出会った歩き遍路の人との挨拶は、ホンマに「あっ、同じ仲間同士だ」という気がして、今までの車遍路では味わえない感触でした。

 えっとおぉぉ・・・、この頃はまだデジカメ持っていなく、今までは借物で写真を撮ってました。

 で、自分でデジカメを買ったのは、愛媛付近なので、それまで写真は有りまへん。
 今思っても、デジカメ買って記録しとけば良かったなぁ・・と反省しとります。


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