HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第三章「目次」 >  歩き遍路一巡・14 そえみみず峠
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ルート

 中土佐町と窪川町の町境、国道56号線に標高400mほどの山があり、その頂上を「七子峠」といい、途中にはトンネルが3個ほど有って、車がひっきりなしに通ってます。

 遍路の本には「そえみみずへんろ道」として、国道とは別ルートで「土佐中央と南西部を結ぶ、古くから人馬でにぎわった道」という主旨の事が書いてあり、
「毎年、草刈り行事の布施修行を行っている」とも書いてあります。
      

 今までの箇所には、こういう事は書いてありません。


 わざわざ、こーいう事を書いてあると言うことは・・・・、
 それはそれは草深い、ヒョットしたら迷子になるかもしれん、オトロシイ山だと想像されます。

 この七子峠を越すルートは3つ有ります。

 「そえみみず峠 : 今書いたような、オトロシそーな道」
 「国道56号線 : トンネル内で車に、ひき倒される恐れがある」
 「奥大阪越え : たぶん昔の国道か県道で、一番無難そーな道」

 前回会った一人歩きのネエチャンは「マムシが怖いから、そえみみず峠を通らない。」と断言してました。

 そーでしょうとも・・・ワシも怖い・・・・。
 しかも、今回は・・・よりによって雨まで降ってる・・・・・。

そえみみず峠

 今から登る山は、小雨に煙って山は見えず、どのルートを通るか迷いに迷い、ここで他のルートをとると後で悔いを残すと思い「そえみみず峠」を通る事にしました・・死ぬ覚悟で・・・。

 明日の新聞紙面に
 
「二人連れの遍路、そえみみず峠でマムシに噛まれて野垂れ死に!!」

 しかも、よりによって、わざわざ雨の中を、もの好きな・・皆で笑ってやりましょう。
 そして、死に際に・・・、大ゲンカした後が・・・・登りルートの選択が原因か・・・・?


と、載る可能性が頭の中を駆けめぐりましたが、ワザと無理して払いのけます。

 3kmほど村の道やタンボの道を歩いて「そえみみず峠」登り口に着くと、かなり傾斜がある細い山道があり、しかも、やっぱり草が茂っており・・いかにも、そこらでマムシがたむろしてそぉです。

 そりゃあ、ヒビリますわなぁ・・・・最初から、こんな道を見せられたら・・・ワシだって・・・

 しかし、その斜面を登ると、今まで通った峠と同じような道でした。

 山道は落ち葉が溜まっており、雨量が多いと山道は、川と化して水が走る所でしょう。

 マムシもどこかに避難しててくれると、いいんだが・・・・と思いつつ、杖を引きずりながら歩きました。

 杖を引きずるのは、メンドウだとか、疲れてるからではありません。

 これは地中の虫達が、杖を引きずる音を聞いて踏みつぶされないように、早く逃げて欲しいなぁ・・という心遣いです。

 故郷の祭りの時、御輿が通る前に鉄の杖を引きずりながら歩いてる人を見て、そう聞いた事があるので、そのマネしとるわけです。

 お遍路の杖を、このような使い方をして良いのかわかりません。
 引きずるよりも、杖をついた方が登ったり降りたりしやすいんですが・・

 杖に付いてる、オマケの鈴が「チリりりりン・・」と鳴ります。
 ヒモが切れかかって、いつ鈴が落ちるかハラハラしながら使ってますが・・・。

 シ〜〜ンとした山道は、たまに鳥の声が聞こえ、他に物音一つしません。
 まさに静寂の世界・・・・・。

 30m先が見えない霧雨にかすむ杉木立・・・・まさに幽玄の世界・・・。

 そんな時「ガサッ」と音がしたら、そりゃあ、もうビックリこきますわなぁ。

 「で・・で・・出たぁぁぁぁ〜 (>_<)・・・・」と叫びたくもなりますわなぁ・・いくら不信心者でも・・。
 越後屋をそのまま置きざりにして、走って逃げたくもなりますわなぁ。

 でも、ガマンにガマンを重ねて越後屋の手前、そんな素振りも見せません・・・後で何を言われるか、わからんので・・・。

 歩きながら越後屋と話をしていなくとも、ワシはだれかと一緒に居るという安心感がありますが、一人で歩いてる人や、特に女性の一人歩きの人達は心細いと思います。

 これで、オマケの鈴も無かったら、ホントウに静けさの中に居るでしょう。

 本には、山中を歩く時に持鈴を鳴らすと魔除けとかになると書いてありますが、不信心なワシラは、持っていませんでした。

 でも山中を歩く時、あまりにも静か過ぎるので、魔除けと言うよりもあまりにもサミシ過ぎるので、こりゃあ必要でねぇか・・と思い、次の37番岩本寺で越後屋が持鈴を買いました。

 1000円 : 持つ所が無く、釣り鐘型の鈴
 1500円 : 持つ所がある
 3000円 : どうせ買う気が無かったので、良く見なかった。

 そいで1000円と1500円とでは、やっぱし音に値段の差があったそうで、1500円のを買いました・・・あのケチンボな越後屋が・・・・。

 あっ・・そえみみず峠でしたね・・・。

 結論から言うとマムシは居ませんでした、ミミズは居ましたが・・・。
 山道も今までの峠越えと、あんまり変わりませんでした。

 新聞に出なくて、良かったです・・・はい。
 あっ・・・出た方が、面白かったですか・・・・すみません・・シクシク。

 昔は人馬が通ったと書いてありましたが、人はともかく馬はキツカッタでしょうね。
 細くて、急な坂道で・・ワタシャ、馬でなくて良かったと思いました・・・シミジミと・・・。

 そえみみず峠を越えた後、他の歩き遍路さんと会ったので聞いてみると、国道を通ったと言ってました。

 やっぱし、この峠越えは、お遍路さんからは恐れられてるようです。
 でも、歩いてみると他の峠越えと、あまり変わらない印象でした。

                               00/07/31記載


 

編集後記(そえみみず峠)

 今でも、ここの箇所だけは国道を歩くのを勧めない。

 車でそこを運転した立場から言っても、トンネルやS字カーブが連続しており、できれば歩いて欲しくないと思う。

 もっとも高速道路が出来たら、車の交通量が減るかもしれんが・・
 それでも、どうかなぁ・・



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