HOME > 遍路・巡礼 > 四国遍路第三章「目次」 > 歩き遍路二巡・3 日和佐
H20.7.12 UP
早朝、JR由岐駅に降り立ち、待合所の老婦人と話す。
やはり、この経路、遍路の通りほとんど無し。
「由岐」の町並を通り過ぎ、「田井ノ浜」に向かわんとするが海に突き出てしまふ。
この場所、昨年春まだ欲深き頃(今もあまり変わりなし)、この地までゼンマイ採りに遠征・侵略せし所なり。
その時、一人の遍路この場所で迷ひおり「遍路道はどこなりや」と尋ねられしが、「当方も初めての地にて不明なり。申し訳なきや。」と答えし。
その時と同じ状況に陥り、思い出し失笑す。
遍路図面を開きて、再度よくよく確認すれば、途中の目標旅館を通り過ぎ去り、図面に記してある「橋本」「つるかめ」二つの旅館の間の道を右折れしなければならず。
戻りて見れば通り過ぎた時、高等寺子屋の男生徒が自転車で駆け下りて来た道なり。
遍路印無きやと探すれど、見つからず。
住宅密集している所なれば、持参の遍路札を取り付ける事も出来ず。
この地を通る人有れば、注意さりたし。
「田井ノ浜」すぐ近くにて、砂浜の海岸なり。
いと美しき風景、夏来たれば、ビキニギャルが寝そべり、これまた目の保養になりし所と思われる。
殿方、想像して喜ばれたし。(^^;)イッシッシッ・・・
海岸脇に道あれども、昔の先人を偲ばんと、わざと砂浜歩きを試みる。
無人の砂浜を歩む老爺・婆の遍路姿を見ても、たぶん・・だれも喜ばんであろう。(^^;カッカッカツ・・・
「木岐」を通り「白浜」といふ小さき集落を通りおる時、一人の老爺が自転車に鍬などを積み込むを挨拶し、老爺追い越しざま挨拶し行き過ぎ、すぐに自転車を止める。
老爺を追い越し、10歩も歩み過ぎた頃、先ほどの老爺、我らを後ろから呼び止め歩き寄る。
ポケットから手を出しながら「今、これしか持っていないが・・・」と言ふ。
頂き見れば、セロファンに包まれたチョコレート片、2個づつくれるなり。
老爺が畑仕事をする休息の合間に食すオヤツであろうに、ありがたく頂戴す。
我ら両名、ただ歩くのみの者に、この善意を受ける価値がどれほどありや。
しばし心痛みつつ、チョコレート片を口に含みて山に登りむ。
山座峠手前より車道に居出て歩み、峠に「四国の道」有り。
遍路道そのまま車道を歩みて、麓「田井」集落に通じ、距離2.5km。
しかるに「四国の道」も同じく「田井」集落に通じ、距離1.0km。
1.5kmの差は時間にして30分ほどの短縮である。
しばし迷ひし、遍路道となっていないが時間節約のため、この「四国の道」を歩みて「田井」の麓に出る。
麓に日和佐教育委員会が設置したる標識に「旧へんろ道」と記してあり。
見れば、そこに野仏一体と、その後ろに崩れかけたる石の塊有りて、その石が遍路石なり。
さらに先を行く海岸端にも遍路石有りし、この石もかなり風化崩れおりしが、先の遍路石と石材は同質と思われ、今回通ったこの「四国の道」も遍路道であった可能性がある。
海を左に見て、まもなく「奇勝・恵比寿洞」有り。
海に突き出た大きな岩?下が海蝕、大きな穴が空きて、向こう側が見えるとかで有名らしき。
恵比寿洞を過ぎれば、すぐに日和佐の海岸と遠くに23番薬王寺の特徴有る屋根が遠望す。
日和佐海岸、ウミガメが産卵に来る浜として有名。
その砂浜、広大にして美しく、カメだけでなく、キレイナ人魚のネエチャンも倒れてないかと、秘かに思ふのは、そりがしだけではあるまい。(^^;)ソオダロォ オトッツアン
恵比寿洞と日和佐海岸の途中、小さき岬に、これまた拍子抜けするような、いと小さき「波切不動尊」有り。
この岬、別名「恋人岬」と言ふらしく、看板に書きしを見れば、「恵比寿洞に在る神社に祈れば、恋が必ず成就する」と記す。
越後屋曰く「例えば、でえかんを好きな人が100人ぐらい居て、その人達みんなが成就を祈ったら、どおなるべえか?」と、うれしい事を聞いてくれる。
でえかん、答えて曰く
「そんなもん、こっちの選ぶ方の権利で、選り取りみどりじゃ。(^o^)
それがし、平等に必ず成就させてやる・・・ワシ、優しい人間だから・・
あったら、ええのぉ・・だれか祈ってみてくれぇぇ・・今からでも遅ぉないぞ。 !(^^)!」
なぜか、越後屋・・・ソッポむく・・・
だれか、ワラにもすがるつもりで試してみんことを奨む。
薬王寺山門付近、片隅に一人の歩き老遍路座りて、スケッチしているので挨拶に向かふ。
聞けば、今朝22番平等寺を出発し国道を歩んだとの事。
当方、海岸端の道を歩むと伝えたところ、それが昔からの正規な道だと言ふ。
荷物見れば寝袋有り、「野宿せしや」と尋ねしば、「たまにする」と答ふ。
数日後、この遍路と室戸の職場の帰り道で偶然会ひ、しばし語らふ。
四国剣山の山小屋に住み、1年おきに巡ると言ふ。
ここまで「牟岐」の軒下で野宿、「東洋大師」で宿泊したと言ふ。
薬王寺、前回来し時、階段に1円玉が多数置いてあり、越後屋立腹すること、はなはだしく手をつけられず。
今回、念のため「階段にお金を置かないように」という注意立札を、しっかり確認しつつも、やっぱり置いてある。、
薬王寺本堂と大師堂との間に霊水有りと前回教えてくれし、霊水の存在場所を確かめんと、境内をウロツキ、ホッツキ廻る。
それらしき所無けれど、本堂左脇に「肺大師」といふ小さき堂有り。
近づき見れば、お堂下に小さきキレイな水溜まり場有りて、お堂下より、わずか滴のような水がしたたり落ち出る。
そこに柄杓・漏斗置き有り、お堂に掛けた布に「お水ありがとうございました」と記す物有るゆえ、これが霊水と思はれる。
普通、霊水となれば、御利益を得んと行列をなして求める光景を、何度か見たが、この地の霊水は、あまり人が知らないのか訪れる人も無し。
もっとも、ここで記したから、ひょっとすると、そのうち有名になるかもしれんが・・。
01/03/06記載
編集後記
特になし
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