HOME > 遍路・巡礼 > 「秩父34観音霊場」目次 > 11 釘跡 (西光寺)
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秩父34観音霊場の16番札所「西光寺」へ行くと、本堂横の縁側付近で住職が色紙のような物を書いてます。
ここの境内は落ち着いた日本庭園の雰囲気で、酒樽を堂にした「大黒堂」や、古い「札堂」が有りました。
四国遍路の言葉に、寺を巡る事を「寺を打つ」と言い言葉が有り、 今でこそ紙の「納め札」を納札箱に入れてますが、昔の納め札は薄い木で出来ており、堂の柱などに自分の「納め札」を「釘で打ち付けた」言葉より来たそうです。
ここの「札堂」には、そおいう「納め札」を打ち付けた跡や、錆びた釘が刺さったまま多数残ってました。
四国では、あんまり釘跡を見る事が無かったですが、これだけの釘跡が残ってるのを初めて目の前にして、「打つ」という語源を初めて実感します。
昔のままバンバンと打ち込められた釘や釘跡が、今も残っているのは、日本広しと言えども、ここにしか残っていないんじゃないかなぁ。
(後年 小豆島88箇所を遍路した時にも「釘跡」が残ってる寺が有りました。2020/7追記)
西光寺は参拝客も来なく、静けさを味わいながらボケエッ~と休んでおり、この様子では、だれも来ないだろうと思い本堂で尺八を吹き参拝しました。
そしたら、曲半ば頃より「チリン・チリリ・リン・・」と鈴の音をさせて団体客がザワめきと共に、ワンサと押し寄せて来るじゃありまへんか。
あっ・・来ちまったか・・と思いながら、尺八を吹きながらゆっくり正面の座を譲り隅っこの方へ移動しました。
付近を取り巻いて賽銭入れたり、珍しそうにジロジロ見ていた団体のオバハン達がσ(*_*)の参拝が終わると「今吹いた曲は、お経ですか?」と聞いて来るので、そんなようなもんだと答えました。
たまに、そのような事を聞かれるので、そおいう場合は曲名と少し解説すると、わかったのかわからんのか一応納得したような顔して引き下がってくれます。
そお言えば、四国の時には「尺八の「般若心経」か?」と聞かれた事があったなぁ。
ベンチに戻り、今度はσ(*_*)らがヒマつぶしに団体の参拝風景を見物しました。
先達の合図で団体が参拝し始めましたが、お経唱えている途中で一人のオババが集団から離れて、σ(*_*)らが見物してる近くのベンチへ来ます。
どうしたオババ?・・皆にバレんようにサボリに来たのか?・・と思ってると、袋から紙切れやら鈴やらをゴソゴソと取り出し始めました。
オババァ~・・何もこんな時に荷物整理なんかしなくても、後で出来るじゃろおがあぁぁ~・・・と思いながら眺めていると、団体のお経が終わり、このバサマが音頭を取って御詠歌を詠い始めました。
御詠歌の歌詞が書いてある紙をベンチに置き、それを見ながら鈴を振り、鉦を叩き・・・
大変でんなぁ・・・忙しいでんなぁ・・・一人三役ほどの事を、いっぺんにやるのは・・だれか手伝ってやれよ、人ごとみたい顔してねえで・・。(^O^)
優しい眼差しで見ているとオババが「あっ・・間違いました。すみませぇ~ん。」と突然言ったので、思わず「(^O^)プッ・・」と吹き出して笑っちまった、スンマヘン。
そりゃあぁ一人三役もこなして忙しいんだもん、間違ってもしょうがないわなぁ。
もう一度最初からやり直し始め、また間違わないかなぁ・・と、ワクワク・・ドキドキしながら楽しみに・・あっ、違った・・心配しながら見ていると、今度は最後まで大丈夫だった。
良かったなぁ、バサマ・・今度は間違わなくて・・σ(*_*)も陰ながら心の中で、秘かに応援してやってたんやでぇ~・・(^O^)。
団体の参拝が終わると、住職が本堂の戸に2枚の紙を貼って何か説明し始め、何やろ・・と思ってると、これからこの紙に絵と字を書き、それも単に、ただ書くだけではなく、両手で同時に書くと言います。
おぉぉ・・そりゃあぁ・・珍しいと思い、群がってるジジ・ババ集団を押しのけ割り込み見物しました。
最初の細い紙に真言のような物を書き・・おぉぉ・・確かに両手で同時に書いとるでぇ。
見物してるオバハン達からも「はぁ~りゃあぁぁ~・・・!!」と感嘆の声が上がります。
σ(*_*)がデジカメで、両手同時書きの様子を撮ってるのを見たオババが、連れのジサマを突いて「あんたも、早よぉ~撮れ」と言ってるようですが、ジサマは見物するのに忙しく「はっ?」という顔しております。
オババがσ(*_*)を目顔で指差して「あの人が撮ってるように、撮れちゅうとるがにぃ・・」と叱っており、ジサマは言われるがまま、シブシブ撮っていました。
ジサマ、あんたは結婚以来ずう~っ・・と、オババに尻に引かれとるようやなぁ。(^O^)
少し説明の後、今度は大きい紙に地蔵さんを描き、次いで「いろは文字」をやっぱし両手同時に動かして書き始めました。
オバハン達の声は更に「ほぉぉん~りょおぉぉぉ~・・!!」というドヨメキ・感嘆・絶賛も加わり、大いに盛り上がりをみせます。
なかなか見応えが有り、どこかの道端でやってたら、絶対にこのタイミングで投げ銭をしてたと思う。
その後は住職が描いた色紙の注文受付で、バサマ達が先を争って注文して買っており、そやろねぇ、目の前で両手同時に描いた人の色紙だもん、そりゃあぁ珍しくて価値が有りますわなぁ。
σ(*_*)も記念の土産に買おうかと思ったけど、歩くのに荷物になるので止めといた。
着いた時に広間で描いていたのは、この時のための色紙だったのね。
予め団体から連絡が有った時だけ、両手で描くのを見せてくれるようで、偶然にもそれが見物できて運が良かったと思う。
一段落すると、先達がオバハン達に「本堂右横に「回廊堂」というのがあり、四国88箇所の本尊さんが奉ってあり、どうたらこうたら・・うんぬん・・・・一生懸命に拝んで来いやぁ~、堂内で騒いだらアカンでぇ~、静かになぁ~」と、小学校の先生が小さい子達に言うように注意説明します。
オバハン達も小さい子のように素直に「はあぁ~い」と声を合わせて返事してゾロゾロと回廊堂の中へ入って行きましたが、あんたらは小さい子か・・・(^O^)
静かにせい・・と言われとるのに、ザワザワと大声で話すのが響いており、このトシヨリ達は、いくつになっても他人の言うことを聞かないトシヨリ達じゃ。
団体が帰り、再び静寂な境内・・・
今度こそだれも来ないじゃろなぁ・・と思いながら尺八を持って「回廊堂」へ入りました。
本堂で参拝するのと同じように、入口で呼吸を整え、尺八を構え吹き出してからゆっくり一歩を踏み出し・・・
ゆるり・ゆるり・・・と尺八を吹きながら、「コ」の字形の回廊を歩き四国88箇所の寺名を見ていくと、その寺での出会い出来事が懐かしく思い出されます。
響きが良く、四国の地蔵院「閻魔堂」と良く似た感じでした。
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