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       (椎の木茶屋跡・桜茶屋跡・石堂茶屋跡・松畑茶屋跡


     熊野古道・影絵      小雲取越え風景、熊野古道・中辺路を歩く    H16/12/26 UP 


小雲取越えの「一期一会」/熊野古道・中辺路を歩く

「足切地蔵(尾切地蔵)」小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く    長い坂道、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く    麓の集落を見下ろす、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 熊野古道・中辺路「小雲取越え」は、小和瀬橋を上った所から少し行くと「足切り地蔵」というのが有り、説明板も無く名前からして不気味で何か陰気な場所で、この辺までは歩いていても、たいした事なかったんです。

 「おぉぉ・・・こんなもんか、たいした事無いなぁ・・・ダハハハ。」と越後屋と談話しながら、ヨッコラ・・ヨッコラ・・・・・と歩いてましたが、その少し行った坂道付近から、昨日の足の痛みが未だ完全に取れてなく痛み始めました。

 この坂道の傾斜角は、四国で例えれば「屋島寺」へ上がる舗装された坂道と同じほどの角度で、まだこっちは舗装されてなく、土だから良いよおなもんだけど・・・「椎の木茶屋跡」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 昨日、ヨダレ垂らして早く寝て安眠をむさぼり、今朝は7時までグッスリ寝たので、ここ数十年間こんなに十分な睡眠は取った事は有るんだろおか・・と思うほど寝たんじゃけど、やっぱし疲れが取れてないらしく、そのうち吐き気までしました・・・吐かんかったけど・・・。

 越後屋は、さっき道を間違えたのを親切に教えてやったのに、その恩も忘れてワシを置いてトットと先へ行って見えなくなります。

 うんうん・・・あいつの性格が、よぉ~表れとる・・ウソでもええから、心配そおな顔の素振りでもすりゃあ、ええのに・・。

 山から見下ろすと大きな川がU字になって曲がって見え、その付近に人家も小さく見えます。昔の水飲み場、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 10歩ほど歩いては立ち止まり・・・・・・5歩ほど歩いては道端の石に腰掛けて息を整えて足を休ませ・・高山病の症状とよぉ~似ており、ホンマにここでバッタリと倒れて野垂れ死んじまうかと思ったでぇ。

 やっと石ころだらけの所に、丸木を渡したベンチが有る所へ来て、越後屋はノホホンと座って待っています。

 看板は無かったが、どおやらここが「椎の木茶屋跡」のようで・・そやろおねぇ、ここに茶店が在ったら助かりまんなぁ・・見晴らしも、ええしぃ~。

 少し休息して再び坂道を上り、途中で平坦な所に石で囲った昔の「水飲み場」が有りました。

「桜茶屋跡・石垣」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く     「桜茶屋跡 休息所」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く     「桜峠」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 しばらく行くと石垣の跡が在り、「おぉぉ・・・桜茶屋跡も近いぞ」と思ってたら、その石垣の外れに東屋の休息所があり、やっぱり越後屋は、ノホホンとした顔して「早く来んか・・」という顔して待ってます。尾根道、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 あぁたぁは、いいよねぇ・・・ワシは、今にもコロッと死にそうな体調なのに・・

 ここで昨日の夕食に出た夏蜜柑をリュックから取り出し、荷物を少しでも軽くしようと食べました。

 ホントは夏蜜柑は好きでないので、よっぽど宿に置いてくるか、だれかにやろおかと思ったんだけど、ケチだから持って来たんです。

 食べてみると少し酸っぱいが、不思議に全部食べれて、その後は先程のシンドさは無く、やっぱし疲れていると酸っぱい物は効くよおです。「石堂茶屋跡・休息所」若者達、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 少し行った桜峠は、峠と名付くからには見晴らしが良い所かと思ってましたが、大きな杉の木と俳句の石碑が在るだけで、見晴らしは良く無く、ここまで石碑を運ぶのもキツかったでしょう。

 桜峠をゆるやかに下っていると、今日始めて「小雲取越え」を逆行しているジサマと出会い、少し話をすると大阪の人で「大阪から「王子巡り」をしており今日中に那智まで行く予定。

 ここへ来るまで民宿にも泊まったが野宿もしてきた。四国は3年前に遍路した。今は70才だ」
と言ってましたが、年よりも若く見えました。

 「石堂茶屋跡」に東屋の休息所があり、休んでると遠くから話声が聞こえ、若い三人のアンチャンがやって来て、コンビニ弁当を食べ始め、聞いてみると地元の「小口」の人で、今朝9時頃出発したと言います。「賽の河原地蔵」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 ホントは、ワシらもこの「石堂茶屋跡」の休息所で昼飯にしょうかと思ったんだけど、先に食べられちゃったからマネするみたいので、食べずに先に出発しました。

 山道を歩いてると山脇に石仏が有り、写真を撮ろうと思ったら「賽の河原地蔵」と説明があり、キツイもんだから下ばっかし見て歩いてると、こおいうのを見逃しちまうんだよねぇ。

 やっぱし、「小雲取越え」は、キョロキョロしながらユックリ歩かないと・・・・・「林道の石畳」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 この少し前に「ここで笛や楽器を鳴らすと、良く響きます」という木札が有ったが、ここまで楽器を持って来る物好きな人間はワシぐらいだろと思い、それに疲れていて、とてもじゃないけど尺八を吹く元気も有りまへん。

 でも確かに、そこで吹けば山林に音が吸い込まれるような静かな奥深い雰囲気の場所でした。

 やがて舗装された車道を横切りますが、この舗装道路には古道の道筋にわざわざ石を敷いて古道を示してくれてます。見晴らしの良い高台、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 しばらく行くと見晴らしの良い場所に石仏があり、今までの「小雲取越え」で見晴らしの良い箇所は桜峠へ登る途中だけで、他は空も見えないような薄暗い杉木立の道だったので久しぶりです。

 そこを通り過ぎると、さっきのアンチャン達が後ろから大声で何か話しながら近づいて来るのが聞こえ、先程の見晴らしの良い所で「ヤッホー」と叫んでるのが聞こえました。

 あの速さでは、ひょっとしたら走りながら「小雲取越え」をしとるんでねぇか・・と、笑いながら越後屋と話していると、後から坂道をホンマに走りながら何か叫びながら駆け下りて来ました。

 「その速さなら、12人のオバハン(宿で一緒だった何とか会の団体)がワシらの先を歩いてるから追いつけるかもしれまへんでぇ」と笑いながら言い道を譲って見送りました。尾根道2.小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 ところが、少し行くとアンチャン達が立ち止まっており、何じゃ?どおした?・・ションベンか?・・と思って尋ねると、ここのポイントで写真を撮ってくれと言います。

 そこには「拍手ポイント」と木札がぶら下がっており、今まで3カ所、そのような所が有ったそおで、さっきの「ヤッホー」も、そのポイントだと言います。

 「小雲取越え」箇所には何カ所か、そのようなポイント箇所が有るらしきく、はらあぁ~・・そおなの気が付かなかったなぁ。

 「さよか」と了解し木札が見えるように囲ませて、わざわざ拍手させて撮ってやり、ついでにワシらも記念写真を撮りました。

 「松畑茶屋跡」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く     ゆるやかな道、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く     「諸川を望む」、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 「松畑茶屋跡」のベンチで昼飯にして休み、静かでんなぁ・・・・・・ほんとは、こおいう所でゆっくり尺八吹いた、らええんやろおけどなぁ。

 休息して再び歩き始めると、やがて10人ほどの逆行して来るくるジサマ団体と擦れ違い、ワシらの姿を見て、コソコソと「正式な姿で歩きはってるでぇ」と仲間と言ってます。山道、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 正式かどおかはわからんが、小和瀬橋のリーフレットにそんな絵が描いてあったから、そおいう事にしとこ。(^_-)

 もうすぐ「諸川」という所で、都会風の若いネーチャン二人と出会い、「諸川から小雲取越えをしようと思ったが、登り口を間違って遅くなった。「小口」まで何時間かかるのか?」と聞いてきたので

 「だいたい5時間らしいけれど、今はすでに2時近く。今から行くと7時頃になるかもしれまへんでぇ。
 今の7時頃は何とか明るいけれど、少し急いだ方が良いでっしゃろおなぁ。
 30分ほど前にジサマの団体と擦れ違ったから、追い付けるかもしれまへん。」

と言って別れたけど、あのネーチャン達は無事に「小口」へ着いたやろか?西国巡礼の標識札、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 ところで、今までの写真に、このような白くて丸い円盤状の物が、「青い標識」の所々に取り付けてあったのに気がつかれましたでしょうか?

 これは「西国霊場巡り」の人達が付けてくれていた物で、この後の行程でも、もんのすごく役立ちました。ありがとうごぜえます。

 「西国霊場巡り」はワシらと同じ方向へ向かいますが、後で聞くと熊野古道・中辺路を歩く人達は、ワシらと逆に田辺市方向から那智へ向かう人が多いそうです。「諸川」付近、小雲取越え、熊野古道・中辺路を歩く

 「諸川」からバスに乗って那智まで車を取りに戻りましたが、そのバスで途中から、先程のアンチャン3人が乗り込んで来ました。

 やっぱし若いだけあって、けっこうな距離を歩いてますねぇ。

 「やぁ」と言って挨拶し、小口の分かれ道の所でバスを降りましたが、そこから自転車で「小口」まで帰るとの事でした。

 バスから降りたアンチャン達は、笑顔で手を振って見送ってくれ、熊野古道・中辺路での「一期一会」で「小雲取越え」の良い想い出になりました。


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「惜別の唄」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。



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