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 熊野古道・中辺路     「清姫の墓」境内、熊野古道・中辺路を歩く   H17.3.11  UP


清姫伝説に想う/熊野古道・中辺路を歩く

 滝尻から田辺市近くにある熊野古道・中辺路「稲葉根王子」まで、車道を歩くようなので車で行きズルしました。

 途中に「清姫の墓」というのが有り寄ってみますと、説明書きが一杯有るんですなぁ・・目移りするくらいに・・

 読んで見ると、「安珍・清姫物語」は架空物語かと思ってましたが、どおやら清姫は実在の人物らしいです。

 しかも「清姫の墓」と紹介してあるもんだから、あの伝説の蛇になっちゃった清姫の亡骸を、だれかが引き取って葬ったのかと思ったら、それもそうだけど、ここが清姫の出生地だとも書いてあります。清姫伝説の清姫堂、熊野古道・中辺路を歩く

 清姫は、この付近の庄屋さんの娘で、説明書きが有る付近の川渕で泳いでいたそおで、そいでもって家系図まで書いてあり、ワシらのように、どこにでも落ちてる一般庶民の「馬の骨」と違って、由緒正しい家柄の人だったよおです。

 そいで、全国の「真砂」「庄司」姓発生の地でルーツはここらしく、清姫様もその一族の長である姫様なので、世が世ならば話しかけてももらえなかったでしょう。

 「清姫之里の伝説」と書いた少し錆がかっている案内板がありましてなぁ、それには

 むかあ~しぃ、むかし・・・この村の庄屋ドンが朝の散歩してました。

 こりは、ヒョットすると、ネングの取り立て状況を視察しに行ったんかもしれまへんなぁ。

 なんせ、村の衆ときたら「今年はいつにない不作で、家に帰れば腹空かしたカカアと3人のガキが、口開けて待っており・・ウダウダ・・グズグズ・・何とぞお慈悲を・・・」と、ワンパターンの泣き言ばっかし言って、ネングを負けさせようとしとりますからなぁ・・

 あっ・・はいはい、散歩の途中でしたね。

 その時、黒蛇に呑まれそうになった白蛇を見つけたので、庄屋どんは口開けて、どうなる事か・・と、ボケェッ~と見ておったのではなく、カワイソーにと思って白蛇を助けたんですがなぁ。

 黒蛇にしてみれば、せっかくの朝メシを食えず・・こっちの方も気の毒な気がするが・・・

 そりから数日後、庄屋どんの家へ白装束を着た、カワイソーな女遍路が一夜の宿を乞い、そのまま庄屋どんと、ややこしい関係になっちまい、生まれたのが清姫だそおです。

 これがワシみたい小汚い男遍路だったら・・・きっと追っ払われるか物置の軒下に泊められ、庄屋の娘さんと、ややこしい関係になることなんて・・まず無いじゃろおなぁ。

 清姫が13才の中学生になった頃、あの有名な安珍さんが、「カワイイ娘やなぁ~。ヨメはんにしたいなぁ」と思って言い寄ると、清姫もウブなもんだから喜んじまったんです。
 きっと、お年頃なのでポーイフレンドも欲しかったんでしょう。清姫の墓、熊野古道・中辺路を歩く

 ところが、ある夜、安珍さんが清姫の影が障子に写ったのを見て、その姿が蛇身の形だったので、ビックリこいちまったんです。
 そりゃあぁ、そおでしょうなぁ・・ワシでも、そんなの見たら卒倒して気絶すると思う。

 だけど清姫は、そんな事を知らないもんだから「早くアンタの故郷へ連れてってぇ」とねだるので、安珍さんは「今、熊野参拝途中だから、帰りに寄るからね」と言って逃げちゃったんです。

 その後の話しは長くなるのでカットして、皆様ご存知の娘道成寺へと伝わるお話しになります。

 しかし、あれですなぁ・・清姫さんは、なぁ~も悪い事した訳ではないのにねぇ。

 純真で人を疑う事を知らなかく、どっちかと言うと、安珍さんの方が悪いような気がする。

 かと言って、正直に「あんた、蛇じゃったじゃないの。ワシそんなのイヤヤ。」とも言えなかったんでしょうなぁ・・きっとワシと同じような気弱な性格だから・・・

 安珍さんを非難する事は簡単だけど、果たして自分が、その立場になった時は、どおじゃろおか?、ワシも、きっと何とか言いつくろい、ゴマカシて逃げちゃうと思う。

 実に人間の心底とは、こおいうもんだよと心の移り変わりを見据えた、カワイソーな伝説だと思う。

一ノ瀬王子、熊野古道・中辺路を歩く   一ノ瀬王子スタンプ、熊野古道・中辺路を歩く   鮎川王子、熊野古道・中辺路を歩く

 車で「一ノ瀬王子」付近まで行き、高い木の下にポツンと小さい祠がありました。

 スタンプ箱の中にはノートが入ってたので開いて見てみると、けっこう書いてあり、たいていの人は田辺から本宮方向へ歩いてるよおで、ワシらとは逆方向です。

 ノートには「那智滝まで行く」と書いてある若い衆もあれば、「半年前に家を出て放浪の旅に出てる」という僧も居ました。稲葉根王子、熊野古道・中辺路を歩く

 この「一ノ瀬王子」にスタンプが有ったので、途中の「鮎川王子」にも有るかと思い、鮎川バス停まで引き返したら、石碑だけで何も無く ガッカリ・・・

 「稲葉根王子」付近のスーパーにお願いして車を置かせてもらい「稲葉根王子」へ行くと、地元の神社という感じで朱の橋が架かってます。

 スタンプをペッタンして、すぐ近くの山越えをしようと、「熊野古道・中辺路」標識に従って民家の道へ入って行くと途中で民家の犬が吠えます。

 構わず道を進むと民家にブチ当たり、この先に道が有るのか、民家の庭先を拝借して山に登るのかわかりまへん。稲葉根王子スタンプ、熊野古道・中辺路を歩く

 四国なら、確実に遍路札か何かが有るんやろおけどなぁ・・・先程の犬に吠えられながら「稲葉根王子」に戻り、地図を確認しても、やっぱりどおしても民家の所へ行く道のよおです。

 再び同じ犬に吠えられながら、ブチ当たった民家付近で迷っていると、付近の家でも犬を飼ってるらしく別の犬が吠え始め、やがて遠くの方からも犬が吠え始めました。

 まいったなぁ・・犬がアチコチで吠えやがってぇ・・・オマエラ、連帯意識が有って吠えとるのかもしれんが、少しはこっちの身にもなってみろ。南紀熊野スタンプラリー「稲葉根王子跡」、熊野古道・中辺路を歩く

 あきらめて犬の吠え声を聞きながら、車がバンバン通る車道付近で、通りかかった二人連れのオババに山越えの道を尋ねると

 「あそこが国道311号線、あっちへ行くと稲葉根王子・・」と、こっちが知っている事を説明してくれますが、肝心の山越えの道は知らんと言い、すまん・・・聞いたワシが全般的に悪かった。

 ここで、あきらめて新しい車道のトンネルを通り、トンネルを抜けると、だいぶ山越えの距離が縮まったような気がする。


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 恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「惜別の唄」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。

 当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がpixtaで販売されています。



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