外国人旅行者の計画の立て方/イザベラ・バードの道(大谷川)

　明日には私は、ぜいたくな生活に別れを告げて奥地に旅立つ。　なんとかして日本海に出たいと思っている。江ノ久保刑場へ行く道
　ここでは新潟へ行くコースについて以外は、何の情報も得られない。

　ブラントンの地図をじっくり研究してから、一箇所に決めて「私は田島へ行く」とはっきり言った。
　そこに着けば、その先に行くことができるだろう。

　　　　高梨健吉「イザベラバード　日本奥地紀行」より江ノ久保刑場へ行く道

　イザベラ・バードは日光に戻ってから旅館で、ブラントンの日本地図から、どおやって新潟へ行こうかと考えたらしいです。

　当時の「ブラントンの地図」なんて見た事ないですが、たぶん新聞紙程度の大木さの紙に日本地図が書いてある程度の物だったのではないでしょうか。

　σ(*_*)が越後33観音霊場を歩いてた時に、一人の自転車旅行している外国人さんと話しましたが、あの時はＡ３程度の日本地図を頼りに旅行してました。江ノ久保刑場へ行く道

　日本語は、ほとんど出来なく読めなく、ローマ字でないとわからんと言っており、あちらさんの旅行は、スケールがデカイですねぇ。

　日本人ならば、A4程度の地図1枚で見知らぬ外国の土地を、言葉もわからず、たった一人で旅行できるだろうか・・できないだろなぁ。

　こちとら日本人ならば、詳細に予定を立てないと実行出来なく、時間単位の計画を立てちゃいます。江ノ久保刑場へ行く道・庚申塔

　しかし、たいていの外国人旅行者は、出たとこ勝負のような計画で詳細な計画は立てません。

　さすがイザベラ・バードも外人さんで、途中の詳細な計画を立てず「行けば、その先は何とかなる」と思って、とにかく「田島」へ行く事にしたよおです。

　私たちは日光のすばらしい社殿や草原な杉の森を後にして、長くて清潔な街路を下っていった。
　そして日光街道の杉の茂みがもっとも深い所で左に曲がり、小川の川床のような路に入った。

　この道はやがてひどい悪路となり、大谷川の粗い丸石の間をうねうねと通り、木と枝と土で作られた一時的な木の橋をしばしば渡るのである。江ノ久保刑場へ行く道・庚申塔

　　　　高梨健吉「イザベセ・バード　日本奥地紀行」より

　この日光街道の杉並木から、どのように大谷川を渡ったのか、コースが全くわかりまへん。

　次の「小百」へ行くには、旅行者の常としてたぶん最短コースを通ったと思い、そこからの道筋に見当を付けて、杉並木付近に旧道が無いか調べましたが、わからんですなぁ。

　やっと松尾芭蕉も通った「奥州古道（古日光道）」が有ったらしいが、今では道が無くなって不明らしい。日光野口病院

　大谷川対岸から「小百」へ行くには「大笹沢」と「江ノ久保」を通る二つのルートがあり、「大笹沢」コースは最初の道が険しそうなので、何となく「江ノ久保」ルートを通ったような気がします。

　で・・調べてみると、「江ノ久保」コースには罪人を処刑した「江ノ久保刑場」が有り、杉並木からそこへ通じてたらしい道が有りました。

　だいたい昔の処刑場ちゅうもんは「悪い事したら、こおなるんじゃぞぉ」という、見せしめのため人通りの多い街道筋に罪人の首を並べたりするので、何となく距離的にもこちらの道を通ったような気がします。　違ってたら、ごめんね。

　日光杉並木のどこら付近かな・・と思いながら探すと、杉並木の石畳と国道がぶつかる付近に、ガードレールの付いた砂利道が有ったので行ってみました。日光野口病院

　あんまり使われてないような道で木が茂っており、「刑場」へ行くにはふさわしい雰囲気ですなぁ。しばらく行くと墓らしい物が立っており・・ますます不気味な雰囲気・・

　よぉ～く見ると庚申塔で、これが有るという事は、やっぱり昔は盛んに使われていたという旧道の証拠で、たぶんイザベラ・バードもここを通ったと思う。

　やがて「日光野口病院」の前に出て、病院からは大谷川へ向かって新しい道が出来ておりますが、たぶん旧道は病院沿いの道をそのまま行けば良いだろおと思って行くと、病院職員の駐車場で行き止まりになっていた。

　　　

　先に続く道はないかと探したが、わからず、あきらめて病院前の道を行き大谷川へ出てみました。

　大谷川は、けっこう川幅は広く、この川のどこかをイザベラちゃんは渡ったのでしょう。