HOME > 紀行文「目次」 > イザベラ・バードの道「地図と目次」(関東・東北編) > 89 白 沢
掲載日 2016.8.17 旅行日 2015.7.7
大館は大雨で足止めされた旅客で満員であった。 私は疲れきった足をひきずって、宿を次から次へと探した。
雨は以前として烈しく降り続けている。 これから北へ向かう道筋の道路や橋の災害のウワサが、刻々と伝わってくる。
高梨健吉「イザベラ・バード 日本奥地紀行」より
大館駅までスムーズに来れ、ホッとして一休み。
駅舎で地図の整理をしてから、観光案内所でヒマそうにしているネーチャンに「矢立峠付近に日帰り温泉が有るか」と聞くと、道の駅の横に有り、ついでに矢立峠のコース図をもらった。
大館駅前には犬の銅像が有り「忠犬ハチ公」像かと思ったら、そお言えばここは秋田犬の発祥地だったのかもしれない。
今朝早く、雨雲が去って、明るい青空が払ったようにきれいに現れた。 今日の旅は、川がもっと減水するまでは遠くへ行けないので、たった7マイルである。
太陽は燦々と輝き、山に囲まれた谷間を照らした。 狭い川は緑と赤の小石の上に光る水を投げかけ、円錐形の山々の間の暗闇をきらきら明るくしている。
私達は5つの浅瀬を渡ったが、きびしいものであった。 あらゆるものが破壊されていた。今まで一つだけだった水流が、いくつかになっていた。 相当の距離の間、道路らしいものはなくなっており、10マイルも橋一つなかった。
土地の大部分は山腹から流されてきた丸太や、根こそぎになった樹木、小石で一面におおわれていた。
高梨健吉「イザベラ・バード 日本奥地紀行」より
イザベラ・バードが「狭い川は小石の上に光る水を投げかけ・・」と書いてある川は「下内川」の事だと思ってました(実は違っていた)。
橋の上から川を眺めると、流木等が挟まっており、そんなにキレイな川とも思えなく普通の川です。
見ようによっては、小石の上に水は光っているが・・どちらかと言うと小石というよりも砂利石だなぁ。
「長面」集落を行くと、道筋に沿う家の前に流れる小川にキレイな水が流れており、透き通った水の底には小石と共に、今では珍しい水草も生えています。
その情景を見て、イザベラ・バードは、この小川の流れを見て「狭い川は緑と赤の小石の上に光る水を投げかけ・・」と書いたのかもしれない。(すみません、違ってました)
次の「長面袋」集落にも同じように小川が流れており、ますますその思いを強くしました。
ところで・・・これを書いてる時に羽州街道を調べてみると、「長面」方面の道は羽州街道筋でなく、下内川に架かる橋手前のカーブをまっすぐ行くのが羽州街道だったよおです。
なんせ、この「イザベラ・バードの道」をたどってみようとしてからは時間が無く、地図作成を大急ぎでやり、下調べもあんまり細かく詰める事ができませんでした。
ここの箇所も川とか浅瀬を渡った記述が多いので、地図をニラメッコして「長面」集落を通って「白沢」へ向かったのだろおと推測したのです。
なもんで、「小川の流れ」の想像は違ってるかもしれません・・すみません。
しかし、それはそれとしてキレイな小川の情景でした。
「長面袋」集落外れの道端に、藁人形が飾ってあり、おぉぉ・・さすが東北!!・・何か怪しいモンが飾ってあるでぇ。
「粕田」集落の入口にも「粕田人形様」と書いた説明看板が有り、ネットで調べてみると「人形道祖神」と言って、秋田県独特の物らしい。
集落入口付近に飾って、悪いヤツとか、電波の押し売り「犬HK」が来ないように手を広げて「通せんぼ」しており、いずれも掌・指が大きいのが特徴らしく、確認すると、しっかりと指が5本作ってありました。
「白沢」へ行く途中に、タイヤで作った「道祖神様」も有り、これはさすがに指までは無かった。
羽州街道を通れなかったが、道を間違えたために、こおいう珍しい「人形道祖神」を見れたのだと思う。
ひどい雨の中をここに到着し、これから先は道路が通行止めとなっていることを知ったが、宿の主人と伊藤との間で口論が長く続くので当惑した。
彼は、今まで外国人がこの白沢に宿泊したことはない、と言った。 大雨のため2日もここに足止めされている。
晴れそうだったので、二頭の馬と三人の男を連れて正午に白沢を出発した。
自然そのままの谷間で、多くの山の峯が側面から谷間に下りてきて、暗いピラミッド型の杉が茂り、実に絵のような眺めであった。 これこそ日本の美観である。
高梨健吉「イザベラ・バード 日本奥地紀行」より
恥ずかしながら「YouTube」に尺八独奏「惜別の唄」を載せており、聞いて頂ければ泣いて喜びます。
当「遍照の響き」ホームページに掲載されている写真がで販売されています。
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